戦力より戦略。

haruhi8128

折角なので

「ただいまー」
「おかえり」

そんなこんなやってるうちにリオンが帰ってきた。

「あ、来てたんだー」
「お邪魔しています。それと、ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」

リオンにも俺にした説明を繰り返し、改めて頭を下げるメガネ領主。

「うん、いいよー。私はちょっと戦えなくて残念だったけどねー」

これには領主も苦笑。

「こちらとしては被害が出る前に未然に防げて良かったです」
「それなら、リブレにお礼を言っておいてよー。私、リブレが止めなかったらやっちゃってたからー」

リオンは基本的に戦闘を好む。
それが自分に実力が近くなくともだ。
家の周りに張ってる三下なんか相手にさせたらどんな惨劇が巻き起こされるかわからないからな。
一応、釘を刺しておいたのだ。

「それはありがとうございました」
「いや、お礼を言われることではない。そんなことより、今回はこの謝罪のためだけに来たのか?」
「はい、そのつもりでしたが……。他に何か?」
「いや、ちょっと商談でもしとこうかと思ってな」

領主に会う機会なんてそうないし。
この前全員回ったのを除けば。

「商談?」

首をかしげる領主の前にメイドたちからラーメン、箸、レンゲが差し出される。

「まぁ、まずは食ってみてくれ。毒見が必要と言うならするけど」
「いえいえ、ありがたく頂戴します。毒には慣れてますから」

慣れてるて。
やっぱあれか。
幼少期から少しずつ毒を取り込んでっていうよく聞く訓練が行われていたのか。

「これは……美味しいですね……」
「だろ?」

ファーストインプレッションはよし。

「で、うちはこれを軸にささやかな店をしているわけなんだけど」
「これは売れるでしょうね。新しいですし、味も申し分ない」
「だが、この頃問題が出てきてな」
「そもそも、顧客が少ないという事でしょうか。外で食事を買うという文化はあまりありませんからね」

メガネしているだけあって、鋭い。
そっち方面の考えがあるなら話が早いな。

「そうなる。それで、俺たちとしてはこれで食っていくために何か一計を案じたいところなんだが」
「その相手に僕たちを、ということでしょうか」

心なしか、メガネがキラリと光った気がする。

「もちろん、今回のことをダシにするつもりはない。あくまで、対等な関係としての話だ。一考してもらえるか?」
「まずは、話を聞いてからでしょう。一計を案じると言っても、ある程度方策は浮かんでいるのでしょう?」

かなり高く買われてるな。
まぁ、考えてるからこう言ってるわけなんだけど。

さぁ、一勝負といこうか。

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