戦力より戦略。
お礼は素直に受け取りましょう
「私、どうすればいいのかな……」
「うん?」
ヤバい、1点を見続け過ぎて焦点が合わなくなってきた。
天井向こう。
「お爺さんの言ってることもわかるよ? パパもママと結婚したから私が生まれてきたわけだし……。確か、2人も私くらいの年齢のときに結婚したはずだし……」
偉い人の婚約とかが比較的早くに行われることを考えると、この世界での結婚適齢期は400歳かそこらってことかな。
アンリさんも美形ではあるが、リオンとはちょっと質が違うからな。
お母さんに似たのだろう。
さぞ美人なんだろうな。
「でも、私、まだそういうのわかんないし……」
聞いてなかったが、リオンのお母さんはどうなってるんだろうな。
亡くなっている可能性もあるから簡単には聞けないが、これだけは言える。
リオンのパワーはお母さん譲りだろう。
アンリさん、尻に敷かれてたんだろうなぁ。
「確かに、リブレはいい人だよ? でも、恋とかってよくわかんないし……。他の男の人と比べたら、そりゃ1番仲はいいんだろうけど……」
ヘスティアさんにもいいようにやられてたし、アンリさんは女性に強く出れないタイプなのかもな。
俺も人のことは言えないが。
あんなに強いのに。
いや、強いからこそやられっぱなしでも大丈夫なのか?
「ね、どう思う?」
「んぁ?」
必死に思考を他のところに飛ばしてたから凄い間抜けな声が出た。
ギリギリ返答にはなっているか?
「……聞いてなかったでしょ」
「聞いてたとも。聞いてた、聞いてた」
むー、と頬を膨らませている雰囲気のリオン。
なぜ雰囲気なのかと言うと、俺が見れないから。
「……なら、いいけどー。ね、リブレはどう思うの?」
もう一度問われ、俺は考える。
と言っても、経験のない俺にはわからん。
考える事項なしだ。
リオンのやわらかなラベンダーの色っぽい匂いを意識しないようにしながら、一応意見を言う。
いや、こんな考えしてる時点で意識しまくりか。
「俺のスタンスははっきりしてる。俺には、彼女がいる。現状、第六界に帰れる見込みはないわけだが、それでも彼女のことが一番好きだ。まぁ、あの爺さんから言わせれば、俺の気持ちなぞ些事らしいけど……」
俺は一応、本籍は第六界にあって、第七界には留学にきてるだけだ。
感覚的には。
よって、地元に彼女がいるのに留学先で目移りしました、とか普通にどうかと思う。
現地妻とかいる人は凄い。
メンタル強すぎ。
「……うん、そっかー。そうだよね、簡単なことだよねー」
妙にすっきりした声色で朗らかに笑うリオン。
どうした?
「えいっ!」
体勢をくるっと回転させて俺に正面からしがみつく。
いや、ちょ、当たってるって!
ほら、もう、潰れちゃってるじゃん!
ぐにぃって!
むにゅうって!
やわらかっ!
そんなに潰れてて痛かったりしないのか!?
「あの時、助けに来てくれるとは思ってたけど、本当に怖かったんだよ……。あんな男にまさぐられて……。自分ではどうにもできなくて……。正直、こんな事をされるくらいなら、とちょっと思ったりもしたんだよ……。
でも、リブレが助けに来てくれて、その後も一緒にいてくれて、本当にうれしかった。あの時はごめんねしか言えなかったけど、改めてお礼をさせてください」
そっぽを向いてる俺の顔をグイッと正面に向けてリオンは俺と目を合わせる。
「助けてくれて、本当にありがとう」
リオンの、誠心誠意のお礼。
俺にはそれがどれだけの感情を以て言われたのかがわかる。
ここまで正面からこられると気恥ずかしいけど……。
「どういたしまして、と言っておこうかな?」
お礼を言われた時は、素直に受け取るのが一番だ。
「うん?」
ヤバい、1点を見続け過ぎて焦点が合わなくなってきた。
天井向こう。
「お爺さんの言ってることもわかるよ? パパもママと結婚したから私が生まれてきたわけだし……。確か、2人も私くらいの年齢のときに結婚したはずだし……」
偉い人の婚約とかが比較的早くに行われることを考えると、この世界での結婚適齢期は400歳かそこらってことかな。
アンリさんも美形ではあるが、リオンとはちょっと質が違うからな。
お母さんに似たのだろう。
さぞ美人なんだろうな。
「でも、私、まだそういうのわかんないし……」
聞いてなかったが、リオンのお母さんはどうなってるんだろうな。
亡くなっている可能性もあるから簡単には聞けないが、これだけは言える。
リオンのパワーはお母さん譲りだろう。
アンリさん、尻に敷かれてたんだろうなぁ。
「確かに、リブレはいい人だよ? でも、恋とかってよくわかんないし……。他の男の人と比べたら、そりゃ1番仲はいいんだろうけど……」
ヘスティアさんにもいいようにやられてたし、アンリさんは女性に強く出れないタイプなのかもな。
俺も人のことは言えないが。
あんなに強いのに。
いや、強いからこそやられっぱなしでも大丈夫なのか?
「ね、どう思う?」
「んぁ?」
必死に思考を他のところに飛ばしてたから凄い間抜けな声が出た。
ギリギリ返答にはなっているか?
「……聞いてなかったでしょ」
「聞いてたとも。聞いてた、聞いてた」
むー、と頬を膨らませている雰囲気のリオン。
なぜ雰囲気なのかと言うと、俺が見れないから。
「……なら、いいけどー。ね、リブレはどう思うの?」
もう一度問われ、俺は考える。
と言っても、経験のない俺にはわからん。
考える事項なしだ。
リオンのやわらかなラベンダーの色っぽい匂いを意識しないようにしながら、一応意見を言う。
いや、こんな考えしてる時点で意識しまくりか。
「俺のスタンスははっきりしてる。俺には、彼女がいる。現状、第六界に帰れる見込みはないわけだが、それでも彼女のことが一番好きだ。まぁ、あの爺さんから言わせれば、俺の気持ちなぞ些事らしいけど……」
俺は一応、本籍は第六界にあって、第七界には留学にきてるだけだ。
感覚的には。
よって、地元に彼女がいるのに留学先で目移りしました、とか普通にどうかと思う。
現地妻とかいる人は凄い。
メンタル強すぎ。
「……うん、そっかー。そうだよね、簡単なことだよねー」
妙にすっきりした声色で朗らかに笑うリオン。
どうした?
「えいっ!」
体勢をくるっと回転させて俺に正面からしがみつく。
いや、ちょ、当たってるって!
ほら、もう、潰れちゃってるじゃん!
ぐにぃって!
むにゅうって!
やわらかっ!
そんなに潰れてて痛かったりしないのか!?
「あの時、助けに来てくれるとは思ってたけど、本当に怖かったんだよ……。あんな男にまさぐられて……。自分ではどうにもできなくて……。正直、こんな事をされるくらいなら、とちょっと思ったりもしたんだよ……。
でも、リブレが助けに来てくれて、その後も一緒にいてくれて、本当にうれしかった。あの時はごめんねしか言えなかったけど、改めてお礼をさせてください」
そっぽを向いてる俺の顔をグイッと正面に向けてリオンは俺と目を合わせる。
「助けてくれて、本当にありがとう」
リオンの、誠心誠意のお礼。
俺にはそれがどれだけの感情を以て言われたのかがわかる。
ここまで正面からこられると気恥ずかしいけど……。
「どういたしまして、と言っておこうかな?」
お礼を言われた時は、素直に受け取るのが一番だ。
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