戦力より戦略。
世界とはなんだろう
「アグ・ラグの効き目はどうだ?」
「?」
何のことかわからないという顔をするレイン。
3本の靄をしっかりと処理しながら俺は背中に乗っているオーシリアに問いかける。
「うむ、効果はあるようじゃぞ。わしの魔法は無属性じゃからな。なんに耐性があろうと関係ないのじゃからな」
「リブレさん、なんですか、それ?」
アグ・ラグ。
オーシリアが出てきたときに出来るようになった魔法だ。
24時間かけてかけた相手のHP・MPその他もろもろを引き下げるのだ。
つまり、効果が最大限発揮されるのは明日なのだが、明日になれば今まで与えたダメージが回復されている可能性が非常に高い。
よって、接敵からある程度時間が経った今が畳みかける契機というわけだ。
まぁ、そりゃ時間が経てばたつほどこちらが有利になるのだが、ここから先は夜が明ける前に決着をつけるというタイムリミットがつく。
ダンジョンなら1日粘ることも可能だったが、夜にしか現れない幻想級には同じことは出来ない。
「さぁ、腹を括ろうか」
ここ数十分。
俺の小太刀が効くという事がわかってからずっと考えていたことがある。
それはどうやってこの戦いに幕を下ろすか。
ここで俺たちが決着をつけれずに幻想級が退いても、特に問題はない。
倒せないものと判断し、全員揃って逃げるだけだ。
だが、それは同時にエルフを見捨てるという事も意味する。
少し前までなら俺とエルフの関係は皆無に近く、レインが守りたいと思うから守る。
その程度の認識だった。
わかりあえないものと思ってたしな。
だが、商人がやらかしてくれたおかげでレイン以外のエルフと関わり、曲がりなりにも俺を慕ってくれてる少女や、理解してくれるその親たちにも出会えた。
彼らを自分と無関係とするのは流石におかしいだろう。
まぁ、端的に言えば俺もここで諦めるのは心苦しいのだ。
寝覚めが悪い、とかいう次元ではなく、後悔するだろうということだ。
さて、ここまで俺が長々と理由をこねくり回したその真意は。
「俺が行くしかない」
「「!?」」
近くでその呟きを聞いていたレインとケインが驚くのが眼に映る。
「なぜですか!? そんなことをしなくても!?」
「俺たちで削り切ればいいのだろう!?」
「それが出来るか?」
打って変わって黙る2人。
そう、2人の攻撃は確かに効いている。
だが、決定打にはなりえない。
なぜなら、幻想級だって本当にヤバくなったら保身に走るに決まっているのだから。
つまり、靄を身を守るためだけに使うのである。
ここまで戦闘を続けてきて、俺はこの世界に対する印象を変えていた。
それは「現実に似たゲーム世界」から「ゲームに似た現実世界」というものへである。
エネミーには思考回路がない。
ただのアルゴリズムで動いているなら前者でよかったのかもしれない。
人との関わりは抜きとするとだ。
だが、幻想級には思考回路があるように感じられ、それに俺たちは翻弄された。
ならばこれはゲームではない。
現実だ。
保身に入った幻想級。
それにとどめを刺せるのは俺しかいない。
「妥当だろ?」
「でも……! でも……!!」
「?」
何のことかわからないという顔をするレイン。
3本の靄をしっかりと処理しながら俺は背中に乗っているオーシリアに問いかける。
「うむ、効果はあるようじゃぞ。わしの魔法は無属性じゃからな。なんに耐性があろうと関係ないのじゃからな」
「リブレさん、なんですか、それ?」
アグ・ラグ。
オーシリアが出てきたときに出来るようになった魔法だ。
24時間かけてかけた相手のHP・MPその他もろもろを引き下げるのだ。
つまり、効果が最大限発揮されるのは明日なのだが、明日になれば今まで与えたダメージが回復されている可能性が非常に高い。
よって、接敵からある程度時間が経った今が畳みかける契機というわけだ。
まぁ、そりゃ時間が経てばたつほどこちらが有利になるのだが、ここから先は夜が明ける前に決着をつけるというタイムリミットがつく。
ダンジョンなら1日粘ることも可能だったが、夜にしか現れない幻想級には同じことは出来ない。
「さぁ、腹を括ろうか」
ここ数十分。
俺の小太刀が効くという事がわかってからずっと考えていたことがある。
それはどうやってこの戦いに幕を下ろすか。
ここで俺たちが決着をつけれずに幻想級が退いても、特に問題はない。
倒せないものと判断し、全員揃って逃げるだけだ。
だが、それは同時にエルフを見捨てるという事も意味する。
少し前までなら俺とエルフの関係は皆無に近く、レインが守りたいと思うから守る。
その程度の認識だった。
わかりあえないものと思ってたしな。
だが、商人がやらかしてくれたおかげでレイン以外のエルフと関わり、曲がりなりにも俺を慕ってくれてる少女や、理解してくれるその親たちにも出会えた。
彼らを自分と無関係とするのは流石におかしいだろう。
まぁ、端的に言えば俺もここで諦めるのは心苦しいのだ。
寝覚めが悪い、とかいう次元ではなく、後悔するだろうということだ。
さて、ここまで俺が長々と理由をこねくり回したその真意は。
「俺が行くしかない」
「「!?」」
近くでその呟きを聞いていたレインとケインが驚くのが眼に映る。
「なぜですか!? そんなことをしなくても!?」
「俺たちで削り切ればいいのだろう!?」
「それが出来るか?」
打って変わって黙る2人。
そう、2人の攻撃は確かに効いている。
だが、決定打にはなりえない。
なぜなら、幻想級だって本当にヤバくなったら保身に走るに決まっているのだから。
つまり、靄を身を守るためだけに使うのである。
ここまで戦闘を続けてきて、俺はこの世界に対する印象を変えていた。
それは「現実に似たゲーム世界」から「ゲームに似た現実世界」というものへである。
エネミーには思考回路がない。
ただのアルゴリズムで動いているなら前者でよかったのかもしれない。
人との関わりは抜きとするとだ。
だが、幻想級には思考回路があるように感じられ、それに俺たちは翻弄された。
ならばこれはゲームではない。
現実だ。
保身に入った幻想級。
それにとどめを刺せるのは俺しかいない。
「妥当だろ?」
「でも……! でも……!!」
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