戦力より戦略。

haruhi8128

シェルターは頑丈に

「で、どんな感じだ?」
「主、なぜ首をかしげておるのじゃ?」
「お前のせいで元に戻したら痛いんだよ! あ痛たたた……。大声出させるなよ……」
「ご、ごめんなさいなのじゃ」

流石に悪気を感じたのかオーシリアは素直に謝る。

「もうそれはいいや。徐々に治るだろ。で、ここはなんだ? シェルターみたいなものか?」
「シェルターってなんだい?」
「あ、そうか。えっとだな、まぁ身を守る場所って感じかな。ほら、地上でなんかあっても地下には影響いきにくいだろ?」
「なるほどね。やけに広いわりに柱が多いのはそういうわけか」

広いのは多くの人が入れるように、柱が多いのは上の衝撃でここが潰れないようにするためだろうな。
まだ柱が少なくても衝撃に耐えられる設計とか生まれてないだろうし。
生まれたとしても魔法なんてもんが存在するこの世界で採用されるかは怪しいけど。

「けっこうさっきの二人のやり取りも反響してたけど誰も来ないしね。僕の気配察知にも何も引っかからない。ひとまず、安心していいんじゃないかな」
「キラがそう言うならそうなんだろうな」

俺も体質の関係で人の気配を探るのは得意なんだが、キラみたいに便利なもんじゃないからな。
索敵はキラに頼る形になる。

「今回は戦闘の危険はあんまりないからな。キラは自分のリソースを索敵に割いてもらえると助かる」
「了解。頭脳労働は任せたよ?」
「あぁ。ただ、時々意見を聞くかもしれないからな」
「それはもちろん大丈夫だよ」


俺たちはキラの先導で大きくひらけたシェルターのような場所から通路へと歩く。

「それにしても、妙だな……」
「なにがだい?」

俺は通路を歩きながら疑問点を口にする。

「今まで一度も分かれ道を見てない」
「……確かに」
「ここがシェルターであったとしても、偉い人を逃がす機能も備えてるはずだろ? あの出口の位置的に。
ってことは追手が来ることが想定されてなきゃおかしいだろ。あのシェルターの天井から逃げられるとはいえ、こっちに逃げてくることを考えてないはずがないだろ」
「そうだね。出口に追手が待ち伏せていたらどうしようもないんだしね」

「そう、となるとこの通路は何の為のものだ?」

疑問は解けることはなく、とりあえず先に進む。
ほんと、清々しいまでの一本道だ。
一本道ってどういうところにあるっけ。
思いつくのは、ボス部屋、これと対をなして玉座。
で祭壇もしくは神殿といったところか?

ここは一応国の中だしボス部屋ってことはないだろう。
玉座もこんなとこに作る理由が無いし却下。
となると祭壇みたいなものか?

「リブレ君、この先ひらけるよ」
「待て。一応見てみる」

スルー・アイで奥の部屋に何も危険なものがないか確認する。

「大丈夫そうだ。というかこれは……」

俺は部屋へと足を踏み入れる。


「おぉ……」
「これは……」
「わぁ……」

俺の読み通り、そこには祭壇のようなものがあった。

ここで俺の祭壇に対するイメージなのだが、祭壇には二種類あると思う。
1つは何かを祀るもの。
これは祀る対象が良いものとも限らない。
もう1つは何かを伝えるためのものだ。

そして、これは後者に該当するようだ。

「これはなんだ……?」

なぜそう考えたのか。
それは部屋の壁一面に壁画が残されており、それがある1つのことを示しているようだったからだ……。

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