戦力より戦略。
今後の方針
やっとの思いで謁見の間に戻ると、どうやらこれからの方針が決定したところだったらしい。
「おぉ、戻ってきたか。ちょうどよい。お主らも聞いてくれ」
王様が最後に方針の確認をするところだったようだ。
「まず、国民の避難はカイル殿が予見した日の1週前には完了させるのじゃ。いくらカイル殿とはいえ、その未来が前後することもあろう。余裕はあった方がよいじゃろう」
道理だな。
基本的に、未来は不確定なものだ。
カイルさんを疑うわけではもちろんないが、警戒しておくにこしたことはない。
「次に、兵の皆じゃが、各々の意思に任せるということでよいかの?」
「というと?」
「基本的に逃げるということになっても、この国を守ろうとするものもいるじゃろう。それはわしらからすれば大変喜ばしいことじゃが、強要するわけにもいかん。なにしろ命懸けじゃ。家族のおる者は家族と共におりたいじゃろうし、そうでなくとも幻想級と事を構えるなんてことをしたがるものは少ないじゃろうからな」
「……戦力になるのか?」
「なぁに、卓越した力はなくとも数がそろえば話は別じゃろ。基本的には個人の意見を尊重したいと思う」
「そうか」
まぁ、自分から残りたいと軍属の兵士が言うなら止める理由はないか。
「あとは、王族についてじゃが、これはお主らが戻ってきてから判断しようかと思う」
「おい、待てよ」
俺は思わず口を挟む。
「王様たちは国民が逃げるのと一緒に逃げるべきだろ。この国のトップだろ? 1番上がいなくなったら下が混乱するぞ」
良くも悪くも、王政というのはトップに依存している。
王さえいれば問題ないと思う反面、王がいなければどうなるかわからない。
民主制でトップが入れ替わるのが当たり前である俺たちはそういうものだと割り切っていられるのだが、代々王家がある国でトップの交代などほとんどありはしないだろうからな。
「……もし、幻想級を退けようということになった時、1番戦力になるのはわしらじゃ。そこはお主も否定せんじゃろう?」
「そりゃあな」
3人とももれなく二つ名持ちだ。
ルーリアに至っては世界で35位だったか?
俺が指揮するとすれば是非欲しい戦力ではある。
「それに、国を守ろうと兵が戦っておるのに、王が逃亡するわけにもいかんじゃろう。最悪でも、わしは残る」
「……本気か?」
「無論じゃ。その時にはルーリアに王位は譲る。もう、任せられるじゃろう」
「まぁ、それもお主らが情報を持ち帰らんことには始まらんのじゃ。しっかり頼むぞ」
「あぁ、任せてくれ」
また失敗できない理由が増えたな。
「で、お主らはなにゆえここに戻ってきたのじゃ?」
「あ、そうだった」
エルメにお願いしに来たんだった。
「エルメ、俺たちが潜入するときに明かりが欲しいんだけど、どうにかできるか?」
「どんなのがいいのよ?」
「? 種類があるのか?」
普通、火って言ったら1つだろう。
「私は【炎の巫女】。火に関しちゃ、大抵のことはできるのよ」
「おぉ、戻ってきたか。ちょうどよい。お主らも聞いてくれ」
王様が最後に方針の確認をするところだったようだ。
「まず、国民の避難はカイル殿が予見した日の1週前には完了させるのじゃ。いくらカイル殿とはいえ、その未来が前後することもあろう。余裕はあった方がよいじゃろう」
道理だな。
基本的に、未来は不確定なものだ。
カイルさんを疑うわけではもちろんないが、警戒しておくにこしたことはない。
「次に、兵の皆じゃが、各々の意思に任せるということでよいかの?」
「というと?」
「基本的に逃げるということになっても、この国を守ろうとするものもいるじゃろう。それはわしらからすれば大変喜ばしいことじゃが、強要するわけにもいかん。なにしろ命懸けじゃ。家族のおる者は家族と共におりたいじゃろうし、そうでなくとも幻想級と事を構えるなんてことをしたがるものは少ないじゃろうからな」
「……戦力になるのか?」
「なぁに、卓越した力はなくとも数がそろえば話は別じゃろ。基本的には個人の意見を尊重したいと思う」
「そうか」
まぁ、自分から残りたいと軍属の兵士が言うなら止める理由はないか。
「あとは、王族についてじゃが、これはお主らが戻ってきてから判断しようかと思う」
「おい、待てよ」
俺は思わず口を挟む。
「王様たちは国民が逃げるのと一緒に逃げるべきだろ。この国のトップだろ? 1番上がいなくなったら下が混乱するぞ」
良くも悪くも、王政というのはトップに依存している。
王さえいれば問題ないと思う反面、王がいなければどうなるかわからない。
民主制でトップが入れ替わるのが当たり前である俺たちはそういうものだと割り切っていられるのだが、代々王家がある国でトップの交代などほとんどありはしないだろうからな。
「……もし、幻想級を退けようということになった時、1番戦力になるのはわしらじゃ。そこはお主も否定せんじゃろう?」
「そりゃあな」
3人とももれなく二つ名持ちだ。
ルーリアに至っては世界で35位だったか?
俺が指揮するとすれば是非欲しい戦力ではある。
「それに、国を守ろうと兵が戦っておるのに、王が逃亡するわけにもいかんじゃろう。最悪でも、わしは残る」
「……本気か?」
「無論じゃ。その時にはルーリアに王位は譲る。もう、任せられるじゃろう」
「まぁ、それもお主らが情報を持ち帰らんことには始まらんのじゃ。しっかり頼むぞ」
「あぁ、任せてくれ」
また失敗できない理由が増えたな。
「で、お主らはなにゆえここに戻ってきたのじゃ?」
「あ、そうだった」
エルメにお願いしに来たんだった。
「エルメ、俺たちが潜入するときに明かりが欲しいんだけど、どうにかできるか?」
「どんなのがいいのよ?」
「? 種類があるのか?」
普通、火って言ったら1つだろう。
「私は【炎の巫女】。火に関しちゃ、大抵のことはできるのよ」
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