戦力より戦略。

haruhi8128

力加減って難しいよね

なんか謎の気遣いをプリンセにさせてしまってるということに気づいた俺は謎の賢者モードに突入し、普通にプリンセとお風呂に入ることになった。
賢者モードなので決してプリンセのきれいな肌や未発達なその体に欲情したりはしないのだ。たぶん、恐らく。
まぁ、それはね?俺はそれなりに健全な男の子なわけですし?仮にも女の子とお風呂に入るという状況に興奮しなくもないが?決してそれは個人へのものではないのだ。多分、恐らく。

「髪洗ってくれる?」
「もちろん!」
だから髪を洗ってと言われても、無駄に士気が上がったりはしないのだ。
「おぉ…」
子供の髪ってふわふわなんだな…。俺も16歳だし、男子という点を考慮しても髪は潤いを保っているほうだとは思う。しかしこの髪はそんなもんじゃない。すべすべだし、ふわふわ。手がするする通って洗いやすいことこの上ない。

「…もういいんじゃないの?」
「あ、そっか」
洗うのに夢中になってそれなりに長い間洗ってるまんまだった。さすがに長すぎてプリンセも待つのに飽きたようだ。
「じゃあ、流すぞー」
桶のお湯を2回ほどかけて泡を落とす。ちなみにこの世界にはシャンプーとリンス、ボディーソープのような便利なものは存在しないので、すべて石鹸で賄っている。その石鹸もたいして質がいいわけではない。例えるならホテルのアメニティの質悪めのやつくらいだ。

ブルブルブルッ。
プリンセが頭を振って髪の水を飛ばす。
そういうとこは獣のほうからきてんのかな。髪はショート?ボブ?くらいでまとまってるけどやっちゃうのかな。
「じゃあ、次は私が洗ってあげるね?」
「お、じゃあ、頼むわ」
そう言って自分とプリンセの位置を交代する。

「よいしょ…」
プリンセは虎の状態だと俺の数倍あるわけだが、人間よりの状態の時は6歳児まんまの大きさだ。俺が座ってても少し高い位置に俺の頭があることになる。
「大丈夫か?」
「だいじょうぶ…」
ちょっと無理してるっぽいが本人がいけるって言ってるうちはいいだろう。そんな危険があるわけでもないし。

「かゆいとこないですかー」
「大丈夫。上手いよ」
まあ少し力が弱めってところはあるが、そういうのもありだろう。
「力加減は?」
「もうちょっと強くできるか?」
「わかった」
力加減も調節できるらしい。

「あ痛たたたた!?」
いきなり頭部に対する圧力が強くなったので転げて逃げる。
「ご、ごめんなさい…」
「そんなに力の振れ幅でかいの!?」
自分の力がわからないって子供か!?あ、子供か。

「普段けっこう加減して生活してるんだな…」
「たぶん獣人族わたしたちは普段は最小の力で過ごしてるよ。じゃないと色々壊しちゃうから…。ほんとにごめんなさい」
「いや、いいよ。洗って貰ってるだけでうれしいし」
ほんとに頭壊されるかと思ったけどな…。

「よーし、明日も頑張るぞー」
「おー」
風呂を出た後も賢者モードは続き、結局そのまま寝ることに。それ自体はレインともあったしな。
こんなことしてるけど結局状況をよくする考えも浮かんでないし、国の方針の会議も聞いてないからわかんないしな。
明日からは前途多難だ。「明日からも」の間違いか。

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