戦力より戦略。

haruhi8128

地形は活かしてこそ地の利となる

「絶対無理ですよ!無理無理無理無理!!何考えてるんですか、死にたいんですか?!」

よく噛まないなーと思うほどの早口でレインがまくしたてる。

「ただでさえレベル低いんですよ?!リブレさんに至ってはレベル1カスですよ?!どうにもなりませんって!!」


言い方に問題あるだろ!少しは気ぃつかえよ!
まぁとりあえず涙は引いたようだ。

「これがどうにかなるんだよなー。……多分」
「多分じゃダメじゃないですかー!」
「まぁまぁ。ところでレインはどんな属性の魔法が使えるんだ?」
「え?えーと、まだレベル4なので個人の得意な属性がはっきりしてないんですよ。つまり、火・水・風・土・雷・光・闇の全てのランク1の魔法が使えます。ただ詠唱時間長すぎて、実戦では全く使い物にならないですよ?」
「だいたい何秒かかるんだ?」
「んーと、平均で8秒くらいだと思いますけど、8秒もあれば5回は殺されますね」

それは確かに。


とりあえずそれぞれの魔法の効果とクールタイムを頭に叩き込み、シミュレーションしてみたが…

「よし、いけるな」
「えぇ!!」
「レイン、作戦自体は簡単だ。やるぞ」

そう言って作戦を伝えると、

「確かにそれだけならできそうですが……。よくそんなこと気づきましたね。少しでも失敗したら逃げますからね!」

おぉ、条件付きだがゴーサインがでた。さて、初陣だ。


まずはフィールドに出て草原の中でを探す。

「あ!ありましたよ!」
「よし、ここに誘い込むぞ。レイン!」
「はい!」

まずレインの魔法の中で最も射程の長い風魔法でエネミーを引っ張ってくるプルする。射程ギリギリから狙ったのでポイントにエネミーがつくまでに約8秒。その間レインは水魔法を準備。ポイントにエネミーがついた瞬間発動。

「ほんとにこれでいいんですか?」
「あぁ。この草原はもとから草原だったわけじゃなく、湿地が変わったようだったからな。湿地が乾いて草原になったところはたいてい……」


ボゴンッ!

「地中に穴が残っている。そこに水を送り込めば、天然の落とし穴の完成だ」

だが、これでは倒せない。レインの雷魔法が間に合うまで時間を稼がなくてはならない。


頼むぞ、アシスト・ロッド。

「リヴィ・バインド」

移動阻害魔法"リヴィ・バインド"ただツタが絡みつくだけの持続性はほぼないものだが、少し稼げれば十分だ。

「お待たせしました!ミニマム・ボルト!」

あ、ご丁寧にもミニマム最小ってついてるのか。


まぁ水の中にいる獣系のエネミーにはこれで十分だ。


ガガッ、パリンッ。
ポリゴンが破砕し、リザルト画面が目の前に表示される。

「やった!やりましたよ!」

レインが大はしゃぎで駆け寄ってくる。

「正直リブレさんの作戦絶対無理だと思ってましたけど、いけるものなんですね!」

無理だと思ってたのかよ。


「このままやっていったらレベル10くらいにはすぐにいきそうですね!」
「なんでそう思うんだ?」
「え?だって僕今のでレベルあがりましたよ?僕が上がったってことはリブレさんも上がりましたよね?」

悪い予感がする……。

「いや、上がってないな」
「ステータスで確認してみてくださいよ。次のレベルに上がるまでに必要な経験値がでますから」


「えーと。あと831ってなってるな」
「え」

はしゃいでいたレインがかたまる。

「おい、どうした」
「僕が今レベル5になりましたけど、次にレベルがあがるまであと452なんですよ」
「……つまり?」
「レベル1なのに僕がレベル2つ上げるくらいでやっとリブレさんが1つあがるってことですね」


なるほど。ただでさえ弱いのにレベルも上がんないと。そういうことか。


……。



「ふざけんなぁぁぁぁぁーーー!!!」





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