アトランダワールド
竜人族の意地
「愚かな…我らと戦うことを選んだか…」
翌日の朝、テレポートでフィーナとフィール、フェニを引き連れて竜人族の村の前に移動した僕は少し残念そうに呟く。
「少し威圧して実力差を理解させてあげればいいのではないでしょうか?」
フィーナの提案に乗り僕は自分の魔力を一気に解き放つ。
「なんだ、あの魔力は…」
「桁違いじゃねえか…」
竜人族たちが慌てふためく。
「聞け!竜人族の者たちよ。今ならまだ降伏させてやろう。すぐにその場に跪き我に忠誠を誓え」
「誰がてめえなんかに忠誠を誓うか…おい、お前ら俺は今から竜人族を代表してやつらに戦いを挑む。俺が死んだ場合お前らはやつらの軍門に降れ、わかったな?」
竜人族の長が村の者たちに言うが村の者たちは当然のように反対する。
「お前らなぁ、俺が勝てない化け物相手にお前らで勝てると思ってるのか?命の無駄遣いはやめろ」
「それなら長も…」
「俺は竜人族の意地ってもんをやつらに示さねえといけねえ…支配された後この村をちゃんと存続させるためにもな…」
竜人族の長は周りの竜人族にそう言い残し1人前に出る。
「俺は竜人族の長、ウルル、汝らに決闘を申し込む」
「よかろう、我に代わりフェニが受けて立つ」
「リーダーの出る幕じゃないってことかよ…イラつくな…」
大きな舌打ちをしながらウルルはフェニの前に移動する。
ウルル
レベル:76
武力:55
魔力:0
耐久力:21
その他:0
なかなかのレベルだがフェニに勝ち目はないな…
「さて、お嬢ちゃん痛い目にあいたくなければすぐに逃げるんだな」
「逃げる必要…ない…」
「舐められたもんだなぁ」
ウルルは叫びながらフェニに剣を振るう。ウルルの剣はフェニの身体を分断した。
「ちょっと…いきなり攻撃するのはどうかと思う…」
フェニは何事もなかったかのように身体を再生させる。
「この化け物め…」
ウルルは何度もフェニの身体を分断するがフェニはあっさりと傷を回復させる。
「う〜ん、そろそろ飽きちゃった…」
息を切らしながら攻撃をしてくるウルルに向かいフェニは微笑みながら言う。
「そろそろ本気で行くね…」
フェニはそう呟きウルルの剣を指2本であっさりと止める。
「な…」
ウルルは驚きながら剣をフェニの指か取り返そうとする。直後、パキンという音とともにウルルの剣はあっさりと砕かれた。
「弱いって…本当に可哀想…」
フェニは最後にそう呟きながらウルルの胴体に一発フェニックスの炎を纏った全力の拳を打ち込む。フェニックスの炎と言っても傷を癒す優しいものではない。相手の身体を蝕む強力な炎だった。
「これで…終わり…」
勝者はあっさりと勝利を述べ敗者は声を出すことすら許されなかった…
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