ログボしか取ってないクソゲーに転移したので無双しようと思います

名無し@無名

諦めは大事

 

『いやだから、この舞台になってるゲームは「エタニティ・ラスト・テイルズ」では無く「ヘコヘコクエスト」です』

「ーーは?」

『ヘコヘコクエストです』

「なんだよそのゲーム、聞いた事ないぞ!?」

『またまたぁ、よく言いますよ。毎日プレイしてくれてるクセにぃ』

 いや、何かの間違いだろう。だって僕がまともにプレイしているのなんてエタニティ・ラスト・テイルズくらいだぞ?寧ろそれ以外のゲームに裂く時間など有りはしない。

『じゃあそのスマホ見て下さいよ。そこにちゃんと有りますから』

「……スマホ!?」

 そうだ、ゲームの世界に転移しているけど僕はスマホを持っているままだ。
 よく見ると、画面上では充電とアンテナのアイコンが消えている。成る程、ゲームの世界だから電力や電波を気にする事がないのか。
 そしてスクロールの一番目の画面には、エタニティ・ラスト・テイルズが存在している。しかし、妖精はその2つ隣の画面にスクロールしろと言ってきた。言われた通りにすると、そこに有るのはダウンロードしたけどプレイしていない。そう、ログボを回収するだけで放置しているゲーム達だった。
 僕は律儀な性分なのか、落としたゲームのログインはどれだけ多くても欠かさない。それがジャスティスなのだ。
 それは兎も角、その羅列されたゲームの中にそれは有った。

「ヘコヘコクエスト……これか!?」

 大体のゲーム、そのゲームアイコンの殆どは可愛い女の子キャラやメインモンスターになっている。しかし、このゲームは例えるなら『男性用トイレのマーク』である。下手をすればゲームなのかも分からない。これなら近場のトイレを探すアプリと言われた方が納得できる。
 そそられない、圧倒的にそそられない。
 そもそも、何をするゲームなのか知らないし、と言うか何故ダウンロードしたのかも謎だ。

『いやーしかし、ウチの社長も思い切りましたよねぇ。「我が社のゲームを愛して下さる皆様に、最高のサプライズをプレゼントしよう」っていきなり言い出したんですよ。それでユーザーの皆さまの、その精神のみを現実世界から抜き取りゲームの世界に転移ですよ?昨今の科学技術でも不可能なレベルの事を、多額の費用を投じて実現させたのですから』

「……おい待て、じゃあ僕は今、精神だけ引っこ抜かれてゲームの世界に来ているって事でいいのか?なら現実での僕の身体は!?と言うか時間とかどうなるんだよ!?」

『はい?まぁ時間は経過し続けていますね。そんで、精神を抜かれた方々は「アヘ顔ダブルピース」?と言う表情のまま、意識不明となるそうです。そのアヘ顔なんちゃらが何の意味かは私には分かり兼ねますが』

「最悪じゃないか!!」

 終わった。マジで終わった。
 なんだよアヘ顔ダブルピースで意識不明って。それなら寧ろ殺してくれよ。僕の両親はそれを見てどう思う?部屋を開けたら息子がアヘ顔で倒れてんだぞ?
 しかし、このゲームを作った社長がとんでもないサイコ野郎だと言うのは確信した。

『まぁこうなった以上、津田さんもこの世界を楽しみましょうよ。ゲーム上のアバターの能力や所持品は、全て津田さんのステータスとして還元されますから』

「……そんな気になれるかよ」

『まま、そう言わずに。ログイン勢だったら貯まってるんじゃないですか?『石』』

「石?……あー、ガチャする為のか?」

 それを聞いて少しだけ興味が湧いた。ガチャと言う甘美なワードは、どんな絶望的な状況でも脳を溶かすらしい。
 だがしかし、とりあえずガチャは置いといて、俺は俺自身のステータスを確認する事にした。

『スマホのヘコヘコクエストをタップして下さい。この世界では、スマホのアプリ上で自身の情報を見る事が出来ます。ガチャとか装備も同じですね。因みに、他のアプリは存在こそしますが起動できませんのであしからず』

 妖精に言われた通りにアプリを起動する。すると、俺のステータス、装備品を弄る画面が出てきた。


 ●名前:あなたさらな

 ●ランク:6

 ●装備
 武器:プラチナダガー『S』Level.4
 頭:胴の兜『N』
 胴:布の服『N』
 腕:ただの籠手『N』
 足:くつした『N』

 ●アバター装備
 頭:無し
 胴:津田のダサいシャツ
 腕:無し
 足:津田のダサいパンツ

 ●紹介文
『よろしくお願いします!』

 ●フレンド
『0人』


 うん、見事にチュートリアルのみをクリアした状態だ。ガチャは自らの装備を引くのか、ご丁寧に始めのガチャで少しレアなのが出ている。そして、外見装備と見受けられる項目。これは悪意たっぷりに僕の私服をディスって来やがる。成る程、ここを弄れば外見を変えられるのか。
 当然、リセマラなどしていないので出たモノをそのまま装備していると言った所だろう。名前も適当に決めたままか、なんとなく理解できたぞ。



 なら、僕の為すべき事は見えた。



「己の強化……そう、ガチャの時間だ!!」

 みんな大好き、ガチャである。

コメント

  • 名無し@無名

    161555様
    なんなんでしょうね本当(困惑)

    1
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