異世界往復⁉︎ 喫茶店de株取引

小久保篤希@商業高校生

第1話「両替」

「よし! 無事に異世界到着っと」

 とある都市の中心街。その中にある広々とした公園。滑り台やブランコ……。その近くに細長いベンチが縦に2つ並べられている。
 彼もそのベンチに座っていたが、急に起き上がり、体を伸ばす。

「それにしても、中学時代に初めて来たときと変わってない! なんか凄いな」

 彼は一回だけ、この地に足を踏み入れたことがあった。それも、3年以上前の話。なんでも、初めてこの地に降り立った時は、現実で死んだ ︎
 かと思った。

「取り敢えず、金銭をどうにかしないと……。都市の方行ってみようかな」

 この地に来る前、事前に500万円くらいが入った通帳などをカバンの中に入れ、この地に持って来ていた。流石にこの大きい財産を奪われたくはないため、早く安全な場所を探すことを前提として、取り敢えずどこかへ走った。

「それにしても、金額多すぎたな……。100万円程度で十分な気がする」

 しかし、なぜ、彼が500万円もの金額を所持しているか。これはいつものことでああり、皆に自慢している訳ではない。親が社長で、大量のお金が貰えるという訳でもない。ただ単に心配性なのである。

「ん? なんだこの紙切れ」
「えーと、日本硬貨から異世界硬貨に両替致しましたと……」
「金額は日本硬貨10万円分を、異世界硬貨100万円分に両替か」

 彼は、なんとなく財布を取り出し、中身を確認する。中身には、なんと、銀、金といった貴金属で出来た硬貨が、光り輝いてずっしり財布に挟まっていた。硬貨の形状は、現代日本の十円玉や百円玉のように丸い。

「うわっ……凄く眩しい」

 金属独自が持つ金属光沢と、太陽光の反射が組み合わさり、強烈な光を放つ。硬貨が光を放っているという訳だが、実際、触れてみると熱くはなく、逆に冷たい。

「それにしても、10万円分を財布の中に入れる技術が凄いわ」

 財布内が「ずっしり」してるというだけあって、財布内は今にも硬貨が溢れそうな感じで収まっている。だが、明らかに言えることが一つ。数が異様に少ない。

「今後、本当にどうすればいいのか……」

 分厚い財布をカバンにいれ、取り敢えず近くの原っぱで休憩をする。
 芝生のような優しい触り心地の良い草の上に寝っ転がり、何かを考え始める。
 ただ、何かを考えているだけなのに、時間はあっという間に過ぎていく。
 太陽は時間が経つにつれ、西へ西へ沈んでいき、東から月が出てくる。
 気温も徐々に低くなり、昼間とは大きく違った気温となる。
 太陽が沈み、空は暗く暗くなっていく。代わりに星座が夜空に広がっている。

「明日、ギルドでも行こうかな」

 彼は、空を見つめ、星空を眺めながら、数時間が過ぎた。どうやら10分程度休憩するはずが、夜中まで休憩してしまったらしい。その後、夜更かししました。

 2話へ続く。 

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