妖精の羽

ささみ紗々

恋 そして結末へ

青い画面が変わり、ニュースが始まった。
「えっ」
と声をあげたのも束の間、ニュースは信じられない事実を語った。


『昨夜から飛鳥山で行方不明の、春山柊二さん(22)は、未だ見つからず、捜索活動が続いている状況です。
彼と一緒に卒業旅行へ来たという友人が、涙ながらにインタビューに応じてくれました……』

いやいや、顔写真出てんじゃん……俺じゃん。え待って、どういうこと……?

『先日から飛鳥山で行方不明になっていた春山柊二さんが、昨日午後見つかったとの情報が入っております!柊二さんに憔悴仕切った様子はなく、命に別状は無いとのこと……』


……場面が変わった。

『柊二がちゃんと生きてて、ほんとに良かった……あの芳樹もパニック状態でさ、ほんとどうしたらいいか分からなくて……
でもな、一個気になったんだよ。あいつがヘリコプター出戻ってきた時』

陸人だ。

『あいつ、セッちゃんってずっと呟いててさ。あれ、セッちゃんで合ってるかな…小さい声で聞き取りづらかったけど、確かにそう言ってたと思う』
『そうそう、帰ってこれたことを喜んでたけど、なんかこう……目を離したら悲しそうな表情しててさ』

それから芳樹に、潤……?これは、なんだ?

俺が、俺だけが、山へ行ったことを忘れている?遭難したことも、セッちゃんって子のことも。
その時俺に何があった?

俺はDVDに目を移した。

「セッちゃん……?」

あの子の名前は?……そうだ、あの子はセツナちゃん。セツナ……あの子がセッちゃん?
梨乃があの時俺に伝えようとしたことは、何だった?

「今、セツナちゃんと住んでいるんだけどっ!」

「……あのさ、やっぱ覚えてないんだよね?あの日……遭難した日のことは」

そうだあの時セツナちゃんはこう言った。

「……っはっは!!あっはっはっは!知ってるよそんなこと!ほんと、あの頃のまま!」

あの頃の、まま……?


思い出せそうだと頭を捻るけれど、次第に激痛が襲ってくる。
俺はまたこのまま、思い出せないままで……っ!
良くない!ダメだ思い出せ、"あの頃"何があったのか!

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