異世界スキルガチャラー(旧バージョン)

黒烏

2500連目 苦心の末の再会

部屋に一人残された啓斗は、何よりもまず最優先で腕時計の縁のボタンを押してナビゲーターを呼び出す。

「おい、おい! いるか!?」
『わっ、啓斗様じゃないですか。ようやく腕時計取り戻したんですねー、待ちくたびれましたよ……』

どうやらナビゲーターは寝起きのようで、髪がバサバサで目をこすっていた。

「お前、俺たちが必死こいて腕時計取り戻そうとしてた時にまさかのんびり寝てたのか?」
『え、いやいやいやそんな訳ないでしょ! 私だって色々とこの変な奴らについて調べてたんです。で、終わったから休憩してたんですよ』

あくび混じりにそう言うと、ナビゲーターは啓斗の目の前にいくつかのホログラム画面を出現させる。
そこには、先ほどまで戦っていたヴェローナやレイラ、ベネット、更にはジェド、ローグ、見たことのない女までが全身像と共に解説されていた。

『一応今の状況は把握してますので、全部をじっくり読み込む時間が無いのも知ってます』
「そうか。じゃあ、俺は今からガチャ引くからその間に口頭で解説を簡単に頼む」
『はいはい了解でーっす。じゃあガチャシステム起動でー』

ガチャシステムが起動されると、啓斗は半分腹立ちまぎれに〈TAP!〉の文字を思い切りバシッと叩いた。
久しぶりに見るように思える無数の光球を目にしながら、ペラペラ話しているナビゲーターの言葉に耳を傾ける。

『ここの奴らは〈ジャンクヤード・ジャンキーズ〉って言いまして、構成員は全部で5人。地下シェルターを拠点にしていて、マギクニカの警察からはテロリスト認定をされてます』

ここで、無数の銀光球に包まれながら虹色の光球が現れ、啓斗の肉体に吸い込まれた。

『ここの奴らはマギクニカの裏を牛耳ってるらしくて、本気を出せばマギクニカに大混乱を巻き起こすくらいは容易いらしいです。一人一人に持ちポジションがあるらしいですけど、それぞれがめちゃくちゃ危険です』

ここで啓斗は、今回出たURスキルを確認するために腕時計を操作してスキル一覧を呼び出す。

『特に啓斗様が気を付けるべきなのは、まだ出会っていないこの眼鏡をかけた緑髪の女、ミリアです。この国は機械産業が発達してますが、それと「生物兵器」を組み合わせた怪物を生み出してる、恐らくはこの国で最も危険な化学者です』
「……なるほど。『ゲーム』ってやつの想像がつくな」


URスキル【敵対鏡像】
スキルを発動すると、術者の目の前に鏡を生成する(この鏡に術者は映らない)。
この鏡に最初に映った生物の姿かたちと能力を全て複製した鏡像を作り出すことができる。鏡像は複製元の生物を最優先で攻撃する。


スキルの確認を終えつつ、啓斗はナビゲーターの解説にさらに耳を傾ける。

『で、例のベネット・レッドクルーとかいうアンドロイドなんですけど……私の情報システムを駆使しても素性がよく分からないんですよね。それでちょーっと休憩してた時に啓斗様がお戻りに』
「なるほど、つまりあの猫人アンドロイドが一番謎ってことか」

と、その時。
部屋全体がガコンという音とともに揺れる。
その後、エレベーターに乗って下へ下がっているような感覚が、いや実際に降下していっている。

「おいおい、何が始まるってんだよ……」
『ゲーム、ってやつでしょうね、恐らく。まあ、死なないように頑張りましょうか』

しばらくするとまた部屋が揺れ、降下が止まる。それと同時に、ドアがついている壁そのものが上に上がっていった。

「……『ゲーム』、か。馬鹿にしやがって」
『あれ、啓斗様あのやばい人の人格じゃないですよね? 口調がかなり荒いですけど』
「ちょっとな」

聞こえてくるのは、恐らく画面越しから聞こえてきているであろう無数の歓声、見えるのはローマのコロッセオを彷彿とさせるような円形闘技場。
これは先に進まなければならないようだ。そう考えて部屋から外に出た瞬間、上から顔を覆い尽くすような仮面を被せられた。

『あー、こういうのですか。下らないですけど、まあ戦いの練習くらいにはなりそうですね。あ、残MPには十分ご注意を』
「もうかなり使ったからな、少し危ないかもしれない」

仮面を外そうと少し努力して諦めた後、啓斗はゆっくりと闘技場へ向かって歩いていく。
『ゲーム』は、啓斗が闘技場内に足を踏み入れると始まるようだ。

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