異世界スキルガチャラー

黒烏

ジャンキーズ・パーティナイト 3

「……ベネット!!」
「ニャハハ、名前を覚えてもらってるなんて嬉しいニャ。でもそんなにカッカしないで欲しいニャ。怒るのは体に毒だニャ?」
「うるせぇ! この俺から物盗りなんざしやがって、お前にだけは容赦しねぇぞコラァ!!」

怒号のような叫び声を上げてベネットに食い掛かる(凶暴な人格が表面に出ている)啓斗と、それを嘲笑するように見つめるベネット。
ベネットの両隣に立つ2人の少女は、ルカの方に意識を向けている。

「ヴェローナとレイラはそっちのオンナノコの相手してあげてニャ。アタシは怒り心頭っぽいカレと戦ってあげるから、邪魔しないようにニャ」
「はいはーい! じゃあレイラ、ベネットさんの言うことは絶対だからね、そっちのドラゴンみたいな女の人を倒そう」
「了解。では行きましょう、『ボス』にご迷惑をお掛けしないように努めます」

二丁拳銃をルカに向かって連射しながらヴェローナが突っ込み、その後方からレイラが非常に高い放物線を描かせながら手榴弾を投げてくる。

『流石のルカでもあの2人と2対1はまずい! 助けろ!』
「うるせぇな、それくらい分かってるっつの!」

ルカを助けるために走り出した啓斗だが、いきなり顔面を弾かれて後ろに吹っ飛んだ。
啓斗の顔面を蹴り飛ばしたベネットは、その顔の笑みを崩さずに向き直って大鎌を構える。

「君の相手はアタシだニャ。君がくれた〈ヴァリアブルリーパー〉をチョチョッと改造してもらって、扱いやすくしたニャ。早速実験台になって欲しいニャ!」
「その武器も俺らから盗んだモンだろうが……お前を分解してお仲間のところに捨ててやるから覚悟しやがれ!」
『おい、ルカを助けろと言ってるだろ! くそ、もう聞く耳も持ってないな』

冷静な「啓斗」の言葉を完全に無視し、【トリプル・スピード】を発動してベネットの懐に飛び込もうとする。
しかしベネットの方も手慣れたもので、近づかれた瞬間にタイミングを合わせて腹に蹴りをお見舞いし、柄の部分で突き飛ばす。

「ぐおっ!?」
「んー、弱くは無いんだろうけど動きが素人さんだニャー。ま、とにかく切れ味テスト行っくニャー!」

動きが止まった啓斗に向けて、ベネットは大鎌を振り上げる。その刃には、派手な音を立てながら電流が流れていた。

「あの世へご案ニャーい!!」
「させるかよ!」

白熱した腕をコンクリートの床に叩き付けて爆発を起こし、ベネットに向けて大量のがれきを飛ばした。
鎌を振り上げていたために防御の構えを取ることができず、ベネットも数メートル吹っ飛ばされた。

「あぎゃ! ちょっと予想外だったニャ、流石ニャね」
「……さっさとやられろよ、この野良猫がぁ!」

未だにニコニコしているベネットと、さらにヒートアップしている啓斗は、同時に相手に向かって突進していく。

「大鎌ぶん投げ攻撃ー!」

回転しながら飛んできた大鎌を間一髪でよけながら突っ込み、ベネットの顔面に殴りかかる。同時にベネットも啓斗の顔面に拳を振るった。
互いの頬に互いの拳が叩き込まれ、ベネットの顔面は爆発し、啓斗はさっきより強力に吹っ飛ばされて屋上から落ちて行ってしまった。

「ケイト君!?」
「よそ見は禁物! 撃ちまくりだぁぁぁ!!!」

思わず啓斗の方に注意がそれたルカの隙を突き、超至近距離でヴェローナが銃を乱射した。
その全てがルカの龍化していない生身の部分を捉え、そのまま顎を蹴り上げられて倒れてしまった。

「う、うう……」
「おっと、私はちょっと離れるね」

ヴェローナがバックステップして距離を取った数秒後、時間差で手榴弾が落ちてきたと思うとそのまま爆発した。

「……ううっ、くふっ」
「へぇ、この状態でも死なないんですね。ここまで耐久力が高い人は初めてですけど、逆に銃殺のし甲斐がありますよ。ね、レイラ?」
「爆発力向上のための参考になりそうです。できれば殺したくはないですね」
「えー? まあ、取り敢えず体中に風穴開けてあげましょうか!」

そうしてヴェローナが再び銃をルカに向けたその時、銃が別のところから飛んできた銃弾によって弾き飛ばされた。

「えっ?」
「ど、どこから銃撃が!?」

驚いたレイラが周囲を見渡すと、ベネットの奥に人影が2つあった。
1つは先ほどベネットが吹っ飛ばしたはずの啓斗。もう1つは、その男をここまで運び、そのまま銃撃した人物だった。

「ンニャ……あんたも来たのかニャ? ブルーワース巡査さん」
「犯罪者を取り締まるのが警察の仕事だ。それに、〈ジャンクヤード・ジャンキーズ〉の構成員が3人も現行犯逮捕が可能となれば、見過ごすわけにはいかない」
「んー、まあ参加者が増えたっていうのは良いことだニャ。巡査さんもパーティ、楽しんでいってニャ!」

爆熱拳バーニングフィスト】で殴られたはずなのに無傷のベネットはケタケタと笑いながら、ミューズに向かって襲い掛かった。

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