異世界スキルガチャラー(旧バージョン)

黒烏

遥か天空の戦い

「一斉射撃……開始!」

パワードアーマーの両腕両肩のガトリング砲から、ルカめがけて無数の弾丸が発射される。
だが、ルカはその尋常ではない動体視力と反射神経をもって銃弾を避けながら少女に接近し、そのまま飛び込むように拳を叩きこむ。

「……っ! 予想外の動きですね」

拳が命中する寸前で後方に飛び退き、そのままガトリングを乱射する。
無論、ルカには一発は命中せずに避けられ、そのまま追撃の拳が振るわれた。アーマーの腕で辛うじてガードしたが、衝撃でほんの少し後退させられた。

「この肉体の変貌といい、なんの装備もしていないのにこの強さといい、データにありません。対策を練りながら戦う必要がありそうですね」
「グッシャオオオォォ!!」
「無駄ですよ、はあっ!」

ガードするためにクロスさせたアームを思い切りルカに向かって振り広げ、彼女の体を弾き飛ばす。

「新機能1を試しましょうか。装具『雷電刀』、起動!」

少女が言葉によってコードを送信すると、アーマーの右脚から剝き出しの刀身が、左脚から持ち手である柄の部分が出現する。
それは自動的に空中へ浮き上がると刀身と柄は合体し、ルカの身長ほどもある大太刀となる。そしてその刀身は、雷を纏ったかのように電撃を発し始める。

に頼んだ特注の絶縁体で作った柄のおかげで、刀身だけにこの5000万ボルトという落雷に匹敵する電圧を誇る電気を纏わせることができました。さて、普通の人間なら即死ですが、あなたはどうでしょうか?」

大太刀をアーマーの両腕で腰の位置に構え、吹っ飛ばされた衝撃で体勢を崩している鱗だらけの怪物に向けて突進する。
走って接近するなんて単純なものではない。アーマーの背中にある噴出機から、ジェット噴射のような炎を吹き出して高速で近づくのだ。

「一刀……両断!!」
「ガウ!」

太刀でルカを真っ二つに切断する勢いで、アーマーの両腕を高く掲げ、そのまま彼女めがけて一気に振り下ろす。
直前で体勢を立て直したルカは、振り下ろされた刀を両手でタイミング良く挟み込むように、いわゆる真剣白刃取りの形で止めた。

「では、電撃を差し上げましょう」

白刃取りをした両腕から、少女が落雷並みの威力だという電撃が全身に流れ出す。

「アガガガガガァァァ……」
「ほう、即死しませんか。しかし、いつまで耐えられますかね?」

流れ続ける尋常ではない威力の電流に、ブスブスと鈍い音を立てながら体が焦げていくのが分かる。龍人となって理性が危うくなっているルカだが、このままではいくら再生能力があるとしても追いつめられるということを理解した。

「離、レロ!!」
「なっ、この風圧は……くうっ!?」

耳をつんざくような咆哮と同時に、その口内から暴風のブレスが放出される。その風圧によって、パワードアーマーごと少女は吹っ飛ばされた。

「死ネ! 【ウィンド・スライサー】!」

その掛け声とともに周囲の風が円盤状に形を成し、グルグルと回転しだす。
その円盤は2つ、4つ、8つと倍々式に増殖していき、最終的には60を超えるであろう数になった。そしてその無数の円盤は、全てが少女に向かって飛来していく。

「まずい、コード『エマージェンシーバリア』起動! 私を守ってください!」

そうすると、アーマーに搭乗している少女を中心に、半円形のいかにもバリアというようなものが展開される。
円盤状の風の刃はそのバリアに全て阻まれ、「カキン、カキン」というような音を立てて弾かれ、そのまま消滅した。
だが、そんな風の刃とは比べ物にならないほどの風圧を少女は感じ取る。この超高層ホテルの屋上の冷え切った空気が、全てルカの口の中に収束していくのが見えた。

「コード『緊急回避』を! あ、駄目、間に合わっ……!?」

先ほどパワードアーマーを吹き飛ばしたブレスとは比べ物にならない風圧と、そして凍り付くような冷気をも取り込んだブレスがルカの口から放たれる。
それは圧倒的な速度で少女に迫り、咄嗟に構えて防御した大太刀をへし折ると、そのままアーマーを屋上から吹き飛ばした。

「噓……この破壊……力、一体……?」

衝撃でパーツがバラバラにされていくアーマーに登場したまま、少女は250階建ての超高層ホテルお屋上から真っ直ぐに、地上へと落ちていった。

「ヤッタヨ……ね?」

その場に膝をついたルカの姿は、翼と尻尾が生えている以外は元に戻っていた。
急いで息を整え、精神を集中させる。

「……ちゃんと作戦通りにやらないと! 大地よ、鳴動せよ! 【グラウンドクェイク】!」

そう叫ぶと同時に、轟音とともに大地が震動を始める。屋上から離脱して啓斗と合流するため、ルカは屋上から飛び降りた。
そして300階あたりに到達したときだろうか。


ドゴォォォォォォォォン!!!


強烈な爆発音が響き渡り、無数のガラス片がルカに向かって飛散してくる。反射的にガラス片を回避し、その後驚愕する。
まさかと思い、上を見上げると、ルカがこちらを見るのを待っていたかのように起爆スイッチをチラつかせるガスマスクの少女の姿があった。

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