異世界スキルガチャラー
指名手配犯「剥ぎ殺しのベネット」
ルカを途中でバイクに乗せて突っ走ること2時間、啓斗たちは巨大な門の前にいた。
もちろんただの門ではなく、現代的に重武装した兵士のような人々が何人も立っており、上空には数台のドローンが常に巡回している。
兵士たちの視線を出来るだけ無視しながらバイクを停めると、門に付いているスピーカーから女の声が聴こえてきた。
『そこの方々、この国に来訪された理由と自身の身分を簡潔に答え、パスポートを提示してください』
啓斗とルカは懐からお互いのパスポートを取り出して見せ、啓斗が説明を始める。
「自分たちは本日この国に外交のため来訪する予定のヴァーリュオン国王の使者です。こちらへ向かう最中に事故が起き、到着が遅れてしまいそうなので、その旨をお伝えするために早くやって来ました」
『分かりました、少々お待ちください』
女性の声がしばらく途切れた後、門が両開きに自動で開く。
『確認しました。どうぞお通り下さい、ヴァーリュオンの使者様』
そのままバイクを発進させ、中に入る。
すると、真っ直ぐに進む大きな道路と、左右に続く舗装されていない砂利道という分かれ道があった。
「こちらです! まっすぐ進んでください!」
声のするほうを見ると、正面の奥の方に、現代の警察制服を白くしたような服に身を包んだ人物がこちらに向かって手を振っていた。
「よし、ここからは未知の場所だ。ルカ、気を引き締めていくぞ」
「うん、ナビゲーターさんが出てくる腕時計、絶対に取り返そうね!」
改めて気合を入れると、啓斗たちは声に招かれるまま奥へと走って行った。
目に入ったのは、今までに漫画やアニメでしか見た事のないほどに巨大な機械都市だった。
見渡す限りに広がるのは高層のビル、工場、排気ガス。
全体的に鋼色な建物が多く、その郡の中を大量の車やバイクが走り、上空にはドローンが飛んでいる。
遠くには飛行機と思われるものが発着している様子が見えた。
単調な色の中、唯一カラフルな色が見えるとすれば、車やバイクの塗装、そして住人が着ている服の色くらいだろう。
「こんにちは、お二方の案内のために配属されました、ミューズ・ブルーワースと申します。以後お見知り置きを!」
ビシッと敬礼する制服の人物は、男なのか女なのか分かりにくい服装をしていた。
上下白の制服はズボンなのだが、髪の毛は金髪でショートヘアと言われればそうも見える短さであり、身長は目算で175センチメートル前後、顔立ちも女性寄りの中性的な顔立ち。
若々しい笑顔からはこの人物が男だった場合好青年であり、女だった場合は美少女と呼ばれるであろうことが分かった。
「さて、そのバイクを駐輪するには……」
「あ、いえ、お気になさらず。ルカ、降りてくれ」
「うん」
ルカと啓斗が降車した後に啓斗が指を鳴らすと、バイクは跡形もなく消滅した。
「なっ!? こ、これが魔法というものなのですか!?」
「まあ、一応そうですね。自己紹介が遅れました、自分は藤崎 啓斗といいます」
「私はルカです。宜しくお願いします、ミューズさん!」
「はい、宜しくお願いします! では、早速ですがホテルにご案内しましょう。どうぞついてきてください」
ミューズは手で合図すると、キビキビとした足取りで歩いていく。
啓斗たちもそれに続きながら、ミューズと会話を交わす。
「……それにしても、道中の事故とは物騒ですね。一体何が?」
「実は、何者かに襲撃されたんです。いきなり遠距離からスナイパーライフルで狙撃してきたので、恐らくここの住人かと」
「なんと! それは憂慮すべき事態ですね。犯人の顔は見ましたか?」
「はい、赤毛で頭に猫耳が……」
「な、なんですって!?」
啓斗が説明を言い終わる前にミューズが大声を出したせいで、ルカが体をビクつかせる羽目になった。
「おっと、取り乱してしまい申し訳ございません。それは、この女ですね?」
ミューズは胸ポケットから小型の円盤を取り出すと、何やら操作する。
すると、3Dホログラムでベネットの顔が映し出された。
「そいつです、どうやら体が機械のようなんですが……」
「コイツはベネット・レッドクルー。この国でも相当危険な犯罪者です。全身が機械のアンドロイドなのですが何故か自我を持ち、製造所から脱走した後にジャンクヤード……おっと、ジャンクヤードのお話もしなければなりませんね。
ジャンクヤードは名前の通り「ゴミだまり」でして、浮浪者や産業廃棄物が散乱する無法地帯なんです。そのジャンクヤードに逃げ込んだ後、犯罪者どもの仲間入りをしたんですよ」
ミューズは険しい顔になりながら話を続ける。
「この国はまともな人たちが住む「中央街」と、中央街を取り囲むように「ジャンクヤード」が存在しているのです。ジャンクヤードに居る奴らは人権も適応されないので、もはや人じゃありません」
「なるほど……それで、コイツはどんな犯罪を?」
「色々ですよ。空き巣、強盗、恐喝、殺人、放火、施設爆破、密輸、密売……その中でも、追い剥ぎが有名です」
「追い剥ぎ?」
「ええ、奴のことを知らない観光客を言葉巧みに裏路地に引きずり込んで、金品を奪うんです。しかも、被害者を殺害してから目立つところに投げ捨てて行くので、その度に懸賞金が上がってます。通称「剥ぎ殺しのベネット」なんて呼ばれてますよ。ベネット・レッドクルーとかいう名前も、奴が勝手に名乗ってるだけです」
そんな話をしているうちに、ミューズが足を止めた。
「ここです。では、チェックインを済ませましょうか」
ミューズがそう言って指さした先には、何階建てか想像もつかないほど巨大なビルが建っていた。
もちろんただの門ではなく、現代的に重武装した兵士のような人々が何人も立っており、上空には数台のドローンが常に巡回している。
兵士たちの視線を出来るだけ無視しながらバイクを停めると、門に付いているスピーカーから女の声が聴こえてきた。
『そこの方々、この国に来訪された理由と自身の身分を簡潔に答え、パスポートを提示してください』
啓斗とルカは懐からお互いのパスポートを取り出して見せ、啓斗が説明を始める。
「自分たちは本日この国に外交のため来訪する予定のヴァーリュオン国王の使者です。こちらへ向かう最中に事故が起き、到着が遅れてしまいそうなので、その旨をお伝えするために早くやって来ました」
『分かりました、少々お待ちください』
女性の声がしばらく途切れた後、門が両開きに自動で開く。
『確認しました。どうぞお通り下さい、ヴァーリュオンの使者様』
そのままバイクを発進させ、中に入る。
すると、真っ直ぐに進む大きな道路と、左右に続く舗装されていない砂利道という分かれ道があった。
「こちらです! まっすぐ進んでください!」
声のするほうを見ると、正面の奥の方に、現代の警察制服を白くしたような服に身を包んだ人物がこちらに向かって手を振っていた。
「よし、ここからは未知の場所だ。ルカ、気を引き締めていくぞ」
「うん、ナビゲーターさんが出てくる腕時計、絶対に取り返そうね!」
改めて気合を入れると、啓斗たちは声に招かれるまま奥へと走って行った。
目に入ったのは、今までに漫画やアニメでしか見た事のないほどに巨大な機械都市だった。
見渡す限りに広がるのは高層のビル、工場、排気ガス。
全体的に鋼色な建物が多く、その郡の中を大量の車やバイクが走り、上空にはドローンが飛んでいる。
遠くには飛行機と思われるものが発着している様子が見えた。
単調な色の中、唯一カラフルな色が見えるとすれば、車やバイクの塗装、そして住人が着ている服の色くらいだろう。
「こんにちは、お二方の案内のために配属されました、ミューズ・ブルーワースと申します。以後お見知り置きを!」
ビシッと敬礼する制服の人物は、男なのか女なのか分かりにくい服装をしていた。
上下白の制服はズボンなのだが、髪の毛は金髪でショートヘアと言われればそうも見える短さであり、身長は目算で175センチメートル前後、顔立ちも女性寄りの中性的な顔立ち。
若々しい笑顔からはこの人物が男だった場合好青年であり、女だった場合は美少女と呼ばれるであろうことが分かった。
「さて、そのバイクを駐輪するには……」
「あ、いえ、お気になさらず。ルカ、降りてくれ」
「うん」
ルカと啓斗が降車した後に啓斗が指を鳴らすと、バイクは跡形もなく消滅した。
「なっ!? こ、これが魔法というものなのですか!?」
「まあ、一応そうですね。自己紹介が遅れました、自分は藤崎 啓斗といいます」
「私はルカです。宜しくお願いします、ミューズさん!」
「はい、宜しくお願いします! では、早速ですがホテルにご案内しましょう。どうぞついてきてください」
ミューズは手で合図すると、キビキビとした足取りで歩いていく。
啓斗たちもそれに続きながら、ミューズと会話を交わす。
「……それにしても、道中の事故とは物騒ですね。一体何が?」
「実は、何者かに襲撃されたんです。いきなり遠距離からスナイパーライフルで狙撃してきたので、恐らくここの住人かと」
「なんと! それは憂慮すべき事態ですね。犯人の顔は見ましたか?」
「はい、赤毛で頭に猫耳が……」
「な、なんですって!?」
啓斗が説明を言い終わる前にミューズが大声を出したせいで、ルカが体をビクつかせる羽目になった。
「おっと、取り乱してしまい申し訳ございません。それは、この女ですね?」
ミューズは胸ポケットから小型の円盤を取り出すと、何やら操作する。
すると、3Dホログラムでベネットの顔が映し出された。
「そいつです、どうやら体が機械のようなんですが……」
「コイツはベネット・レッドクルー。この国でも相当危険な犯罪者です。全身が機械のアンドロイドなのですが何故か自我を持ち、製造所から脱走した後にジャンクヤード……おっと、ジャンクヤードのお話もしなければなりませんね。
ジャンクヤードは名前の通り「ゴミだまり」でして、浮浪者や産業廃棄物が散乱する無法地帯なんです。そのジャンクヤードに逃げ込んだ後、犯罪者どもの仲間入りをしたんですよ」
ミューズは険しい顔になりながら話を続ける。
「この国はまともな人たちが住む「中央街」と、中央街を取り囲むように「ジャンクヤード」が存在しているのです。ジャンクヤードに居る奴らは人権も適応されないので、もはや人じゃありません」
「なるほど……それで、コイツはどんな犯罪を?」
「色々ですよ。空き巣、強盗、恐喝、殺人、放火、施設爆破、密輸、密売……その中でも、追い剥ぎが有名です」
「追い剥ぎ?」
「ええ、奴のことを知らない観光客を言葉巧みに裏路地に引きずり込んで、金品を奪うんです。しかも、被害者を殺害してから目立つところに投げ捨てて行くので、その度に懸賞金が上がってます。通称「剥ぎ殺しのベネット」なんて呼ばれてますよ。ベネット・レッドクルーとかいう名前も、奴が勝手に名乗ってるだけです」
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