異世界スキルガチャラー
1600連目 回復と捕食
「さて、取り敢えずスイッチしよーかな。ボクじゃ当たり障りなくあの人たちと付き合うのは難しそうだし」
『ルカさん達のことですか?まあ、確かにあの人たちが「ケイト」だと認識しているのはあの冷静沈着な啓斗様ですからね』
「そういうこと。んじゃ、またねー」
最後にガチャ使用の決定ボタンを叩きながらそう言うと、啓斗の目が縦にぐるりと回転した。
『わっ……怖っ!!え、どうなってんですかそれぇ!?』
「………俺に聞くな。本人ですらよく分かってないんだよ。で、こりゃまた酷いやられようだな?」
啓斗は既に、雰囲気や喋り方など全てが元に戻っていた。
『ええまあ。それなりに死にかけてましたからね。てか今も相当瀕死ですからね?現在進行形で回復スキルピックアップのガチャ引いてますから、数秒我慢してください!!』
腕時計から無数の銅・銀の光球がいつも通り排出され続け、金の光球が8個、虹色が1個排出された。
リカバリースキルガチャと言うだけあって、SRから上のスキルが全てHPや状態異常の回復スキルであるのが分かる。
だが、自分の意識が朦朧とし出したのも何となく分かってしまうので、まずはURスキルの確認を急ぐ。
URスキル【ゼノ・ヒール】
最大HPの80%を、使用した瞬間に回復させる。
ただし、1回使用するたびにMPを1000消費する。
確認してすぐに啓斗はこのスキルを行使した。
出血が止まり、取り敢えずはすぐに立ち上がれるコンディションまで回復する。
「やれやれ、一応命は繋げたな」
『HP回復して傷口は上手く塞がりましたが、出血量は尋常じゃないですね。完全には治せませんから、すぐお城に戻った方がいいですよ』
ナビゲーターの言葉を受けて立ち上がる啓斗だったが、失血の影響か膝が少し震えた。
「くそ、膝が笑ってるな……」
『あんまり無理なさらないで下さいね』
足元が覚束無いながらも、彼は少しずつ屋根が吹っ飛ばされた家屋に歩き出した。
『そうそう、ルカさんの方もモンスターのリーダーに勝ったらしくて周囲から敵の気配消えてます。向こうもこっちに来てるっぽいです』
「そうか、じゃあ安心だな。俺はゆっくり戻るよ……」
『了解しましたー。あ、私はちょっと用事がありますので離れますねー』
そう言うとナビゲーターは、ホログラムの体をふわりと浮かせてランドグリーズの落下していった方向へ飛んで行った。
「あいつ……いや、まさかな」
啓斗はナビゲーターが何しに行ったかぼんやり把握しながらも、見なかったことにして歩き出した。
『えーっと、この辺に落ちたはずですからー……お、いたいた!!』
ホログラムを飛ばしてランドグリーズの遺体を見つけたナビゲーター。
彼女は、いつも通りペットを呼んだ。
『おいで、「スナっち」!』
「ワン!」
ナビゲーターの合図に合わせてどこからともなく現れたスナっちは、ランドグリーズの遺体を見るなり嬉しそうに一声鳴いた。
『うん、食べていいよ! 遠慮なくガッツリ行っちゃってー!』
「ガウガウ!!」
スナっちはヨダレを口から零れ落ちさせながらランドグリーズの腕にかぶりつく。
肉が千切れる音、骨が砕ける音、そして咀嚼音の3つだけが早朝の街に響き渡る。
「ゴリゴリ、グチグチ、ガツガツ、ゴクン。ムシャムシャ、ボキボキ、ズルズル、ペチャペチャ」
普通の神経をした人間がこの現場を目撃したら確実に卒倒するであろう、血飛沫の舞う食事風景。
だが、ナビゲーターはいつも通りのにこやかな笑みで……いや、いつもよりも一層満面の笑みでその光景を眺め続けている。
約1分後にはランドグリーズの死体は影も形もなくなり、そこにはランドグリーズの「姿をした」スナっちが立っていた。
身長や体の構造・肉付きはもちろんのこと、身に付けている甲冑までも完全に模倣している。
『よーし、スナっち!急いで啓斗様の所まで戻るよ!』
「あえおえあ!!」
完全にランドグリーズの姿をしているスナっちだが、その口から発せられたのは言語ではないただの「音声」だけだった。
『まあ、まともに喋れる姿になったのも初めてだしね。後で言葉の勉強でもしようか』
「おいえーう!!」
そしてスナっちは、両手両足を地面につけた四足歩行で全力ダッシュし始めた。
ヴァルキリーは人間と限りなく同じ肉体構造をしているために四足歩行スタイルでは非常に入りにくいはずなのだが、恐ろしく速い。
『わ、ちょっ!スナっち速すぎー!!待ってー!』
「えあー!!!」
「ふぅ、ようやく着いたな……」
「やっと、着いた……」
ルカは正面玄関から、啓斗は破壊された壁から。
同時にこの天井が吹き飛んでいる家屋に到着した。
「あ、ケイト君! 良かった、やっぱり無事だったんだね!」
「ルカ、お前も無事でよかった。あの大群のリーダーを倒してくれたみたいだな。ありがとう」
「えへへ、結構頑張ったよ。……あ、見て! 虹が出てる!」
空を見上げると、雨が本当に止んでいる。
そして、美しい虹が出ていた。
『ルカさん達のことですか?まあ、確かにあの人たちが「ケイト」だと認識しているのはあの冷静沈着な啓斗様ですからね』
「そういうこと。んじゃ、またねー」
最後にガチャ使用の決定ボタンを叩きながらそう言うと、啓斗の目が縦にぐるりと回転した。
『わっ……怖っ!!え、どうなってんですかそれぇ!?』
「………俺に聞くな。本人ですらよく分かってないんだよ。で、こりゃまた酷いやられようだな?」
啓斗は既に、雰囲気や喋り方など全てが元に戻っていた。
『ええまあ。それなりに死にかけてましたからね。てか今も相当瀕死ですからね?現在進行形で回復スキルピックアップのガチャ引いてますから、数秒我慢してください!!』
腕時計から無数の銅・銀の光球がいつも通り排出され続け、金の光球が8個、虹色が1個排出された。
リカバリースキルガチャと言うだけあって、SRから上のスキルが全てHPや状態異常の回復スキルであるのが分かる。
だが、自分の意識が朦朧とし出したのも何となく分かってしまうので、まずはURスキルの確認を急ぐ。
URスキル【ゼノ・ヒール】
最大HPの80%を、使用した瞬間に回復させる。
ただし、1回使用するたびにMPを1000消費する。
確認してすぐに啓斗はこのスキルを行使した。
出血が止まり、取り敢えずはすぐに立ち上がれるコンディションまで回復する。
「やれやれ、一応命は繋げたな」
『HP回復して傷口は上手く塞がりましたが、出血量は尋常じゃないですね。完全には治せませんから、すぐお城に戻った方がいいですよ』
ナビゲーターの言葉を受けて立ち上がる啓斗だったが、失血の影響か膝が少し震えた。
「くそ、膝が笑ってるな……」
『あんまり無理なさらないで下さいね』
足元が覚束無いながらも、彼は少しずつ屋根が吹っ飛ばされた家屋に歩き出した。
『そうそう、ルカさんの方もモンスターのリーダーに勝ったらしくて周囲から敵の気配消えてます。向こうもこっちに来てるっぽいです』
「そうか、じゃあ安心だな。俺はゆっくり戻るよ……」
『了解しましたー。あ、私はちょっと用事がありますので離れますねー』
そう言うとナビゲーターは、ホログラムの体をふわりと浮かせてランドグリーズの落下していった方向へ飛んで行った。
「あいつ……いや、まさかな」
啓斗はナビゲーターが何しに行ったかぼんやり把握しながらも、見なかったことにして歩き出した。
『えーっと、この辺に落ちたはずですからー……お、いたいた!!』
ホログラムを飛ばしてランドグリーズの遺体を見つけたナビゲーター。
彼女は、いつも通りペットを呼んだ。
『おいで、「スナっち」!』
「ワン!」
ナビゲーターの合図に合わせてどこからともなく現れたスナっちは、ランドグリーズの遺体を見るなり嬉しそうに一声鳴いた。
『うん、食べていいよ! 遠慮なくガッツリ行っちゃってー!』
「ガウガウ!!」
スナっちはヨダレを口から零れ落ちさせながらランドグリーズの腕にかぶりつく。
肉が千切れる音、骨が砕ける音、そして咀嚼音の3つだけが早朝の街に響き渡る。
「ゴリゴリ、グチグチ、ガツガツ、ゴクン。ムシャムシャ、ボキボキ、ズルズル、ペチャペチャ」
普通の神経をした人間がこの現場を目撃したら確実に卒倒するであろう、血飛沫の舞う食事風景。
だが、ナビゲーターはいつも通りのにこやかな笑みで……いや、いつもよりも一層満面の笑みでその光景を眺め続けている。
約1分後にはランドグリーズの死体は影も形もなくなり、そこにはランドグリーズの「姿をした」スナっちが立っていた。
身長や体の構造・肉付きはもちろんのこと、身に付けている甲冑までも完全に模倣している。
『よーし、スナっち!急いで啓斗様の所まで戻るよ!』
「あえおえあ!!」
完全にランドグリーズの姿をしているスナっちだが、その口から発せられたのは言語ではないただの「音声」だけだった。
『まあ、まともに喋れる姿になったのも初めてだしね。後で言葉の勉強でもしようか』
「おいえーう!!」
そしてスナっちは、両手両足を地面につけた四足歩行で全力ダッシュし始めた。
ヴァルキリーは人間と限りなく同じ肉体構造をしているために四足歩行スタイルでは非常に入りにくいはずなのだが、恐ろしく速い。
『わ、ちょっ!スナっち速すぎー!!待ってー!』
「えあー!!!」
「ふぅ、ようやく着いたな……」
「やっと、着いた……」
ルカは正面玄関から、啓斗は破壊された壁から。
同時にこの天井が吹き飛んでいる家屋に到着した。
「あ、ケイト君! 良かった、やっぱり無事だったんだね!」
「ルカ、お前も無事でよかった。あの大群のリーダーを倒してくれたみたいだな。ありがとう」
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