泡沫〜ウタカタ〜

透華

森林〜シンリン〜

森へ行くと、私はいつも決まった木の根元

に座った。

その木はとても背が高くて、太くて、緑が

深い。

寄りかかっているととても落ち着いて、穏

やかな気分になる。

泣きたい時は目一杯泣いて、スッキリでき

る、そんな木だった。

でも、今日はいつもと違っていた。

木の前に大きな水溜りが出来て、太陽の光

を反射している。

雨は降っていない筈なのに…。

私は木の根元に座ると、水溜りを眺めた。

すると、私の足元に影が落ちる。

私の影かと思ったが、それにしては長過ぎ

る。

でも、足音も何も聞こえなかった。

振り向くのが怖い…。

後ろに誰か居たりしたら、それが幽霊だと

したら…、色々妄想は膨らんで行く。

私は覚悟を決めると、イッセーノーセで後

ろを振り返った。

すると、そこには太陽を受けてキラキラと

輝く銀髪の青年が立っていた。

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