鬱ノ宮天使の憂鬱(仮)

芽中要

プロローグ①「異世界転移は突然に」

 目の間に楽園エデンが広がっていた。
 一糸纏わぬ美少女達の眩い裸体がそこにある。
 彼女達が裸なのは必然だ。
 ここは浴場なのだから。
 見渡す限りのおっぱい、お尻、おっぱい、おっぱい、お尻、お尻。おっぱい。
 素晴らしい眺めだ。
 総天然色フルカラーライブで見る、初めての異性の裸にオレは感動さえ覚えていた。
 難があるとすれば、彼女達の眼差しがオレへの敵意に満ち、満ち溢れているという点だろう。
 それも無理からぬ話。
 浴場に突然現れた怪しい男。
 不審者以外の何者でもない。
 ここでオレが取れる一手は唯一つ。
「すみませんでしたぁっ!!」
 土下座。
 そう日本が誇る最上位の謝意を表す謝罪の作法、ジャパニーズDOGEZAをおいて他になかったのである。

「ようこそ、選ばれし者よ。貴方のお越しを心よりお待ちしておりました」
 同人誌即売会のコスプレイヤーよろしく、ファンタジー世界全開の神官のような衣装を纏った女性が開口一番そうオレに語り掛けた。
 選ばれし者。
 確かにそうかもしれない。
 オレの身に着けているこの制服は県内、いや、国内でも屈指の進学校のものだ。
 オレがそこに入学することになった切っ掛け、それは一言で言えばいじめが原因だ。
 いじめられる原因。それはオレの名前にあった。
 オレの名前は鬱ノうつのみや天使たかし
 ただでさえ、鬱ノ宮なんていう変わった名字だというのに、読みは兎も角、字面が「天使」なので恰好のいじめの標的になった。
 学校生活は悲惨の一言に尽きた。
 自殺を考えたのも一度や二度の話ではない。
 それからというもの、オレは死に物狂いで勉強し、オレを知っている者が誰もいない、オレがいた馬鹿学校の連中だったら絶対入れないようなレベルの学校に入学した。
 それがオレが今の学校に入学するまでの経緯、という訳だ。
 オレは名前の所為でいじめられていた経緯を説明し、「鬱ノ宮」を「宇都宮」に「天使」を「タカシ」としても認めてくれるように便宜を図って貰えるようお願いした。
 名前の読みが変わっている訳ではないので、これは割とすんなり受け入れられた。
 そんな憂鬱の種が無くなった、新生活にもようやく慣れてきた矢先、訳も分からずに異世界に召喚されたのだった。

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