俺氏、勇者。「役立たず」と罵られた挙句、装備や路銀を奪われ無理矢理パーティーから追い出されたので真の仲間を求めていざ冒険の旅に出る。

芽中要

プロローグ

 勇者。
 それは世界に数人しか存在しないSSSトリプルエスランクのレアクラスだ。
 レアということはそれに見合った能力を持ち合わせていることは語るまでもない。
 一騎当千の力を持った特別な存在。
 それが勇者なのだ。
 勇者の争奪は国家間の戦争にさえなり得る。
 それなら、勇者を集めてパーティーを結成すれば向かうところ敵なしだ。
 しかし、古来から現在に至るまで勇者同士がパーティーを組んだという事例は存在しない。
 それは何故か。
 理由は簡単だ。
 勇者同士のスキルは干渉し、相殺されてしまうからに他ならない。
 勇者の強さの秘密はユニークスキルによる恩恵が大きい。
 ユニークスキルがなければ、勇者の存在価値はガタ落ちだ。
 そんな理由で勇者同士は別々にパーティーを組むことを余儀なくされる。
 そんな特別な存在である勇者ではあるが、そのユニークスキルは千差万別だ。
 対象の防御力に関係なく必ず両断する能力だとか、それとは真逆にどんな攻撃だろうが防いでしまう能力だとか、わかり易く言えば反則チートクラスの能力を持っている。
 そして、俺のユニークスキルはというと。
 俺は「加護」を司る勇者。
 俺自身の戦闘力は人並み以下だ。
 俺のユニークスキルは「勇者の加護」。
 その効果は「俺以外の仲間を対象としてパーティー人数分だけすべての能力に倍率を加算する」。
 例えばパーティーが二人なら二倍、三人なら三倍、といった感じだ。
 簡単に説明すれば、俺がただそこにいるだけで何倍もの戦力の底上げになる。
 それが俺のユニークスキルだ。
 使用条件は「ユニークスキルの効果を他人に知らせないこと」。
 口頭はもちろん、文字で伝えるのも該当する。
 内容自体を知られることは構わないが、俺から伝えることは絶対的な禁忌タブーだ。
 もし、その禁忌タブーを冒せば、その時点で俺は勇者としての力を失う。
 どんな解析技能をもってしても看破できないステルススキルであり、バフがかかっていること自体もわからないようになっている。
 加えて被対象者の認識を歪める効果も持っている。
 そんな俺ではあったが、「役立たず」と罵られた挙句、無理矢理パーティーから追い出された。
 俺が在籍していたパーティーの人数は六人。
 実力が六倍になっているのだから、それはカン違いもするだろう。
 俺たちは強い、役立たずの勇者なんていなくても十分やっていける、と。
 最初の内こそ勇者ということで持ち上げられたものだが、次第に「勇者とは名ばかりの役立たず」として疎まれるようになりこの度めでたく追い出された、というわけだ。
 お前なんて真の仲間じゃない、と。
 有用な装備や路銀なんかはそのほとんどを奪われて。
 こうして今度こそ俺の存在を疎ましがらない「真の仲間」を求めて俺の新たな冒険は始まった。

「俺氏、勇者。「役立たず」と罵られた挙句、装備や路銀を奪われ無理矢理パーティーから追い出されたので真の仲間を求めていざ冒険の旅に出る。」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

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コメント

  • Reelu

    どんな風に成長するのか気になる

    0
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