不死者の俺は平和に生きたい

煮干

刺客

インターホンが鳴る。朝から誰だろう?ネット注文はしてないし…

「どいて下僕!魔法少女マジかの変身セットかな。」

モニターをのぞこうとすると、ジェミーに突き飛ばされた。お前がしたのかよ!てかなんだよその魔法少女の変身道具って。嗜好しこう完全に子どもだな。

「ジェミーさん…どうしたジェミー?」

瞳孔が開き、小刻みに震えている。さっきまでの笑顔は消え、怯えていた。

「なんで……こいつがいるの…。」

ジェミーは後退り、尻餅をつく。俺がモニターをのぞくと、そこにはシスターの正装に身を包んだ女の人がいる。カメラを見つけると手をふってきた。

「ジェミー、この人がどうしたんだ?」

「私の…私の家族を殺して…私に…私に!?」

突然ジェミーは口をおさえるが、としゃぶつは指のすき間からこぼれ落ちる。そのとしゃぶつを空いた手でかき集めようとする。

「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。死にたくない……死にたくない…。」

「ジェミー!」

呼ぶ声に気づかない。

「おい!」

肩を揺さぶるとようやく気づいたようだ。

今度は涙を流し始めた。

「下僕……逃げて…。」

「……嫌です。僕は自分の意思で貴方につかえました。今回も自分の意思で動きます。」

「ダメ!死んでほしくない!」

「俺は不死身なんで死にません。だからジェミーさん。ここで待っていてください。必ず帰ってきます。」

俺は小指を立ててジェミーに見せる。ジェミーは俺の小指を不思議そうに見る。

「同じようにして。」

言われるままにジェミーは小指をたてた。俺はその小指に小指をからませた。

「指切ったではなしてね。」

ジェミーはうなずいた。

「指切りげんまん、嘘ついたらはりせんぼんのます、指切った。」

俺は小指を離すと、玄関に勢いよくかけていった。後ろからジェミーが俺の名前を呼ぶ声が聞こえるが、もう後にはひけない。


門の向こうにシスターがいる。話し合いで終われるといいな…。大きく一回深呼吸、よし、開けよう。

「足がくたびれちゃった。」

「そうですか、じゃあお帰りください。」

「これを見てもまだいきがれる?」

女の人は裾をめくる。見えたのは生足ではない、ピストルだ。

「ええ、お帰りください。」

ここは日本だ、むやみやたらに銃を発砲なんてできるはずがない。

「殺れ。」

その合図と同時にシスターの後ろから銃口が現れた。銃声が響き、俺の心臓を撃ち抜く。俺の回りに血だまりができた。

「自業自得ね。死んで教会に歯向かったことを悔やみなさい。」

ダメだ、腹がよじれるほど面白い。奇っ怪な俺の笑い声が邸宅に反響する。

「死んで悔やめ?悪いが俺は死ねないんだ。不死身でね...。」



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