不死者の俺は平和に生きたい

煮干

覚えてろよ?

目が覚めると頬がひりつく。俺の頭上には目を見開いたジェミーがいた。だいたい検討はついている...。

「どうして死なないの!?血がドリンクバーみたいに尽きないんだけど!」

ドリンクバーか...生まれて初めて言われたな。

俺が起き上がろうとすると踏みつけられた。

「どけて、敵意とかないから。」

だがいっこうにジェミーはどけない。それどころか力を強めた。

「ねえ、私の下僕にならない?」

「その前に足をどけてくれ。」

「なるのならどけてあげなくもないわ。」

なる以外の選択肢がないじゃん!

「分かった分かった。なりますからどけてください。」

「誠意を見せなさいよ。」

「いや無理だろ!この状態で何をしろっていうんだよ!」

日本が世界に誇れる最高の誠意のポーズの土下座すらできないぞ。

「それもそうね。なら靴をなめたらいいわよ。」

「嫌だよ、女の子・・・の靴をなめたものなら警察にお世話になるからな。」

あ...なんか地雷を踏んだ気がする...。

ジェミーは顔を真っ赤にして震え始めた。

「確かにペッタンで背は低い...けどこれでも七十年は生きてるのよ!」

なんだ年下か。

俺は服の襟を掴んで持ち上げられる。見た目からは想像もつかない怪力。

「どう!?これでも幼女扱いする!?」

「ごめんごめん。しないから離して。」

ジェミーは案外すんなりと聞き入れてくれた。

「こっちには秘策があるのよ…。」

勝ち誇ったような笑顔、嫌な予感しかしない…。

「近隣の住民に他の女に駆け落ちしてお父さんに捨てられたって言ってやるわ!それよりも今ここで大声で言うこともできるのよ?」

「わー!分かった!血はいくらでもやる!だから…な?」

てかこいつ自分で見た目が幼いって認めてるやん…。

「じゃあ下僕になる?」

俺はうなずく。ジェミーの顔を見るといい笑顔をしている。

めちゃくちゃ殴りたい。だができない。

いつか覚えてろよ?



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