不死者の俺は平和に生きたい

煮干

死なない少年

夏のうだるような暑さ、ゾンビのようにふらふらとした足どりで俺は帰路をたどっていた。

交差点を渡ろうとしたその時、けたたましいブレーキ音が響く。

俺の体は宙で五回転半ほどして、頭から落ちた。

生々しい鈍い音が響き、水の入ったコップが割れたように辺り一面に鮮血が広がる。

だが、俺はすぐさま立ち上がった。

トラックを運転していた人は慌てて降りたが、俺の顔を見るとホッと胸を撫で下ろした。

「よかった、伏見明ふしみめいさんで…。」

「よかったじゃないよ!痛いんだからな!」

「すいません。では、自分は仕事に戻りますので失礼します。」

運転手は深々と頭を下げると、再びトラックで走り出していった。

俺が下を見ると、広がっている血に散らかった脳の破片。たまらず大きなため息が出る。

帰ったらお風呂に入ろう。


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