幼馴染と3人の異世界性生活

大津 千代

第36話 決着

瑛斗の振り下ろした剣がサタナキアのコアに直撃する。サタナキアのコアにヒビが入って行きそしてそのコアの光が徐々に消えていく。サタナキアの動くスピードが落ちていき膝から崩れ落ちる。サタナキアが声にならないような声を上げている。


「…やったか?」


瑛斗が短くそう言いサタナキアを見る。瑛斗がコアに刺さっている剣を抜こうとした時、突然激しい光に包まれた。瑛斗、アリス、葵の3人はその激しい光に、それぞれに腕を上げ目を隠した。激しい光に包まれてしばらく経ち、その光は無くなっていき、そしてサタナキアの姿も無くなっていた。瑛斗の持っていた剣が地面に落ていたのをアリスが見つけた。瑛斗はその剣の近くに倒れていた。


「エイト…!」


アリスが瑛斗に小走りで駆け寄る。瑛斗の体を抱き上げるがその目は開くことは無い。アリスは耳を瑛斗の胸に当て鼓動を確かめていた。かすかに心臓の動いている音が聞こえ、アリスは安堵の表情を浮かべる。


「よかった…。死んで無かった…」


アリスは瑛斗を、一旦地面に寝かせると葵の元へも向かった。檻の鍵を壊し葵を檻から出した。2人は瑛斗の元へと戻って行った。


「瑛斗…、死んじゃったの?」


「ううん、死んでは無いよ。多分気絶してるだけだと思う。しばらくしたら目を覚ますと思うよ」


「よかった…。死んでたら私…どうしたら…」


「エイト、いろんな意味で頑丈だから簡単には死なないと思うな。それに人はいつか必ず死ぬものだから…」


「それはわかってるけど…。さよならも言わずにいなくなっちゃうはなんか…嫌でさ。私決めてるの。瑛斗が死んだら私も一緒に死ぬって」


葵が指先で優しく、眠っている瑛斗の頬をなぞるように触る。葵にはただ眠っているだけなのに何故だか瑛斗の顔が微笑んでいるように見えた。


「アオイちゃん、とりあえずエイトを運ぼっか。私の背中に乗せてもらえる?」


「うん!わかった」


アリスがしゃがみ葵が力を振り絞り瑛斗の体を抱き上げアリスの背中に乗せた。アリスは瑛斗のおんぶし建物を後にした。階段を下り建物の出口へと向かっていく2人。その途中に戦った覚えが無い、敵兵士達が倒れていた。葵が出口の扉を開け、2人は外に出た。雨はあがっていて雲の切れ間から晴れ間も見えていた。


その時、2頭の馬が2人の元へと来た。それはアリスの国の兵士だった。さっき倒れていた敵兵士はアリスの国の兵士たちが倒したのだった。この2頭の馬に乗っている人たち以外はすでに戻っていたようだった。


「アリス様、お待ちしておりました。エイト様は…ご無事で?」


「うん、大丈夫よ。気を失ってるだけみたい。乗せてってもらってもいい?」


「はい。そのつもりで待っておりましたので…」


「ふふ、ありがとう。アオイちゃん向こうの馬に乗ってもらっていい?」


「うん!わかったよ」


馬に瑛斗を頑張って乗せ、瑛斗を挟み込むように座った。そして2頭の馬は走り出し、風を切るようにアリスの国へと戻って行ったのだった。

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