幼馴染と3人の異世界性生活

大津 千代

第34話 覚醒

剣同士がぶつかり火花が散る。サタナキアの力はかなり強く瑛斗の踏ん張る足が徐々に下がっていく。


「力ねぇなー。……カスが」


サタナキアが瑛斗にそう言うとぶつかり合っていた剣をなぎ払い瑛斗の腰に蹴りを加える。それは一瞬の出来事で瑛斗は守る事も出来ずに建物の壁に飛ばされてしまい、激しい音を立てる。


「エイト!」


アリスがそう叫んだ。そしてサタナキアがアリスの後ろに来ている。その影がアリスを包み込み、そしてそれにアリスが気づき後ろを振り向く。アリスとサタナキアが目を合わせた。


「邪魔者の1人は消えた…。後はお前と、あいつだけだな」


「よくもエイトを…!」


アリスがサタナキアを睨み見ている。そして余裕な表情を浮かべアリスを見るサタナキア。サタナキアは煽るようにアリスに話しかける。


「おーおー、怖いねぇお嬢ちゃん。そうしていられるのも、今の内だからな…」


2人がそう話している時、瑛斗は石を体からどかしていき動けるようにしていた。まだうっすらと砂煙があがる中瑛斗はゆっくりと立ち上がり体に付いている石や砂をはらっていた。そして瑛斗はうつむきながら破壊された石を避け歩いて行く。


サタナキアが地面に足を落としアリスに近づく。アリスは抵抗をしようとするがその大きさに完全に身動きが取れなくなってしまっていた。


「ビビって動けなくなっちまったか?アリス…お前も今から、あいつと一緒にあの世に行けるから安心しろ」


「勝手にエイトを死んだ事にしないでよ。エイトはあんな事じゃ死なない!」


「生意気なんだよ!」


サタナキアはアリスの首を持ち上に上げられた。アリスは苦しそうにし暴れるがサタナキアの力には勝つことが出来ずにされるがままの状態だった。


「離して…!く、苦しい…!」


「そのまま苦しみながら俺の手の中で、死ね」


瑛斗がうつむきゆっくりとサタナキアの元へと歩いて行く。それを見て葵が瑛斗の名前を呼ぶがそれを無視して瑛斗は足を引きずりながら歩いていた。そして2人の元に瑛斗は来た。


「……離せ。アリスを離せ!」


瑛斗のその言葉を聞きサタナキアが瑛斗を見る。そしてアリスを掴んでいた手を離しアリスが地面に落ちる。


「お前、生きてたのか…。甘かったか…」


「生きてるに、決まってるだろ…。お前を倒すまでは死ぬわけにはいかないからな」


「ほぉ…。そんな事言ってるけどどうせ口だけだろ――」


サタナキアが最後まで言い切る前に瑛斗は持っていた剣を振りかぶる。瑛斗の足が地面を蹴り、サタナキアに向かって行った。不意の攻撃にサタナキアは守るのが遅くなった。瑛斗の振りかぶった剣がサタナキアの腹部に直撃しそして貫通した。刺した後、素早く抜きサタナキアとは逆の場所に瑛斗は降り立った。


アリスがそれを見て、驚いている表情を浮かべている。それもそのはずだ、アリスは瑛斗にそんな事を教えた覚えはない。


瑛斗はサタナキアのバトル中に覚醒してしまっていたのだった。

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