幼馴染と3人の異世界性生活

大津 千代

第20話 夢と現実

瑛斗は寝ている時、不思議な夢を見た。それはなぜかアリスと結婚し結婚式をしている夢だった。そして色々な人に祝われている中、葵が2人の元へと来て花束を瑛斗に手渡した。


「エイト…キスしよう?」


「皆の前でするのか…なかなか恥ずかしいな」


そういう瑛斗だが、アリスの方へと向き2人は向き合った。そして2人はゆっくりと動かし2人の唇は近づいて行く。目をつむり後少しで重なるところで、その夢は虚しくも覚めてしまった。目を開けると天井が見え、瑛斗は目を覚ました。周りを見るが葵とアリスはいる様子は無かった。


目を覚ましたと同時に、部屋のドアが開いた。


「あ、瑛斗起きたんだ。おはよ」


入って来たのは、葵だった。瑛斗の分の朝ごはんを持って来たのだった。瑛斗は体を起こそうとするが動かそうとすると治療した部分が痛みがなかなか動きづらいのだ。それを見て葵が朝食を部屋にある机に置き、瑛斗に駆け寄る。


「まだ無理に動かないの!アリスちゃん言われたでしょ?」


「い、いや…全く言われてない…」


「え、そうなんだ?とりあえず…しばらくは動かないの。わかった?」


「はい、わかりました…」


その後、朝食を葵が持って来て瑛斗に朝ごはんを食べさせてくれた。老人ホームのおじいちゃんやおばあちゃんようだったが、これもこれでいい感じだった。異世界で夫婦生活をしているような感じだった。


「ねぇ…私たちってもう元の世界に戻れないのかな。これからずっとここで暮らして行くのかな」


スープを飲ませようとした時、葵がボソッとそう言った。


「確かに…俺らもう戻れないのかもね。葵の胸揉んでも何も変化無かったし…。けど逆にこっちの方が新鮮じゃない?生活しづらい部分もあるけど俺はこっちの方がいいかな」


瑛斗は葵の後ろに来ていたアリスに気づいていたがそれはあえて、葵には言わなかった。


「うん…そうだよね。私もこっちの方が楽しいし…アリスちゃんともっといろんな事したいし…」


それを聞き、アリスが葵の耳元に口を近づける。


「いろんな事、しよっか?アオイちゃん?」


耳元で話しかけられ、葵は驚き、後ろを振り向いた。


「わっ!びっくりした…。いつからいたの?アリスちゃん」


「結構前からいたけど…。楽しい事する?お風呂でやったやつ…」


「そ、そんな事はしません!瑛斗、ご飯あげるから口開けて」


いきなり話を振られた瑛斗は少しだけ反応に遅れたが、葵の言われた通りにし朝食の続きをもらった。アリスには見えていないが瑛斗にご飯あげている葵の顔は赤くなっており、その事はあえてアリスには言わないようにした。


朝ごはんを終え、アリスと葵は部屋を離れ瑛斗は部屋に1人きりになってしまった。その間に「向こうの世界では何が起こっているのだろう」、そんな事を考えていた。実際のところ、瑛斗たちのいた世界では2人が行方不明となり捜索等を進めていたが見つからず、結局捜索は中止となってしまっていたのだった。そう思うと、両親にかなりの迷惑をかけてしまっているがもう戻れないのだから、仕方のない事だった。



その後戻って来た2人にまた、いじられる瑛斗だったが、瑛斗はその事が幸せに感じられていた。そしてその日からアリスの指導のもとにちょっとしたリハビリのようなものが始まったのだった。

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