幼馴染と3人の異世界性生活

大津 千代

第3話 アリスとアオイ

瑛斗の唇付近にサワサワとなにかが少しだけ触れている。その感触を感じ、瑛斗はゆっくりとまぶたを上げていく。そして肩付近を何かで触られているような感触あるのがわかった。だんだんと、視界が晴れてくる。そして赤い何かが目に入ってきた。


「あ、起きた?今、銃弾抜いてるから動かないでね」


アリスが瑛斗の肩を治療していたのだった。唇付近に感じたサワサワとした感触はアリスの髪の毛だった。撃たれた左肩を治療していたが、麻酔が効いているのか痛くない。しかしアリスの持っている治療器具が動いている感じはした。


仰向けになっている瑛斗の右側からヒョコッと葵が顔を出した。心配そうな顔をで、葵は瑛斗を見ている。


「瑛斗、大丈夫?痛く無い?」


「今は多分麻酔してるから大丈夫だよ。心配させてごめんな、葵」


2人の名前を聞き、アリスが反応する。治療をする手を止め2人を見た。


「アオイとエイトって名前なんだね。もしかして付き合ってるの?」


「え…まぁそうかな。葵とは小さな時から付き合ってるんだ。そういえば…名前なんていうの?」


瑛斗はその少女の名前を聞くのを忘れていたのを思い出した。アリスの目はうっすらと緑色なのがわかった。


「私は…シャトレーヌ・アリスって名前なの」


「え?シャトレーヌ・アリス?ここって…日本じゃ無いのか?外国…なのか?」


「ニホン?数を数える時に使う…時の?」



瑛斗がそれを聞き治療途中にも関わらず体を起こす。アリスを見つめる瑛斗。アリスは瑛斗がいきなり起き上がり驚いていた。


「ちょっと!まだ治療途中なんだから起きないで!」


「あ…ごめん」


つい感情的になってしまった瑛斗はアリスの言葉を聞き、体を仰向けに戻した。そしてアリスが治療を再開してを動かし始めた。天井を見上げる瑛斗はここがどこなのかまだわかっていないかった。日本ではない事は建物やアリスの名前を聞いてわかっていた。治療を続けているアリスに瑛斗は話しかけた。


「アリスさん。ここって…どこなの?」


「ここ?サイレントヒルってところだよ。まぁ国なんだけどね…」


「サイレントヒル?なんかゲームに出て来そうな名前…」


その時、アリスが瑛斗の肩から銃弾取り除く事が出来、ピンセットのようなもので瑛斗の目の前にその銃弾を持って来た。銃弾には、血が所々に付いていた。


「銃弾、取れたよ。食べる?」


アリスが瑛斗の口元にその銃弾を近づけた。


「よ、よかった取れたのか…って食べるかよ。死ぬだろ」


「冗談だよ。あと少しだけ治療するからもう少しその状態でいてね」


銃弾を瑛斗の口から離し、アリスは再び治療を始めた。アリスの笑った顔が瑛斗の頭の中に残る。妙に胸がドキドキとしている。一目惚れなのかもしれない。治療をしているアリスを瑛斗は見ていた。


――赤髪もいいし、優しいし、目もなんか他の人と違うし、胸も結構あるしスタイル抜群だし………ん?


視線を感じ瑛斗は葵のいる方へ視線を向ける。そこには、うつむき、肩を小刻みに震わせている葵がいる。そして、葵が瑛斗に近づいてくる。怒っているのかどうかわからなかった。そして顔を上げ瑛斗を見た。


「い、今アリスちゃんの事変な目で見てたでしょ!」


「えぇ!そんな事無いって!」


「アリスちゃん、私よりおっぱいあるしスタイルいいもんね…瑛斗?」


葵の胸は、まな板や滑走路と呼ばれているようなサイズではなかったがそれに近い胸のサイズだった。葵はそれがずっと悩みだった。そしてアリスの胸は人並みくらいの大きさだった。


「い、いや?俺は葵の方が好きだよ?ずっと小さい頃から、一緒にいるだろ?俺は葵が大好きだよ」


泣き出しそうな葵にそう言った瑛斗。葵はそれを聞き本当かどうか瑛斗に聞いた。本当の事だと何回も伝え、ようやく葵が許してくれた。何回「大好きだ」と言ったのかわからないくらい瑛斗はそれを言ったのだった。





しばらくして、治療が完全に終わった。しばらく安静にする事をアリスに言われ、アリスは席を立ち何かを取りに行った。撃たれた左肩はまだ痛みが残っているが、その痛みは数時間すれば消えるらしい。



アリスが、どこからかポスターのように巻かれている紙を持って来て、瑛斗が治療するときに使っていたベットの上は広げた。


「この国の周りの地図だよ」


アリスが紙を開き、見ながらそう言った。そしてそれは地図だった。しかし、社会科の教科書や地図帳など載っている世界地図とは明らかに違う。日本どころか他の国さえもわからない。そして地図に載っている国の形は世界地図、どこを探しても載っていないような国の形をしている。


「も、もしかして…俺たち…」


「違う、世界に…!」





「来ちゃったのか!?」


2人が地図を見ながら声を合わせ、そう言った。

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