名無しの英雄

夜廻

24話

次の日の朝俺らはギルドに向かっていた
日が昇ってしばらくしているので首都は騒がしくなっていた
ギルドに入り、受付さんに声をかける
「教皇様の使者ってどの人です?」
「あぁ、それなら別室にいますので声をかけてきます。待っててくださいね」
「わかりました」

しばらく待っていると
「やぁ、君が依頼を受けてくれた冒険者かね?」
「はい、そうです」
「じゃあ早速だがついてきてくれ」
「わかりました」
俺らは使者と共にギルドを出る


首都の真ん中には教皇様が住んでいる立派な建物がある
「これから俺らはあそこに行くんだよなぁ」
と、俺が呟くとスズが
「綺麗な建物だよね…」
と言う
教皇様が住んでいる建物は一言で言えば聖堂だ
だが、その聖堂にはガラスや彫刻などの細かい装飾が施されている
見るものを魅了する美しい建物だ


「では、これから教皇様との謁見になりますのでこちらの部屋で待っていてください」
と修道女が言う
修道女には良い思い出が無いんだが……
「わかりました」
と答えておく
「……スズ?大丈夫か?」
「だ、大丈夫、だよ…?」
謁見を目の前にしてスズは緊張で固まっていた
まぁ孤児だったらしいし…しょうがないな
「どうしても無理そうだったら謁見しなくてもいいぞ?」
「う、うん……でも、参加したい…」
「そうか…まぁ……そう言うなら」
そう言ってスズの頭を撫でてやる
すると少しは緊張が解れたみたいだった


「では、教皇様が謁見なさるのでこちらへ」
俺らは修道女の後に続き廊下を歩く
廊下は外見に負けず劣らずで、素晴らしかった
それほど豪華に飾ることはなく、しかし、落ち着いている雰囲気の中に確かな威厳が入り込んでいる

「こちらが謁見の間になります。私は入れませんので案内はここまでとなります」
修道女は頭を下げて歩いて行ってしまった
「……さて、スズ、大丈夫か?」
「へ、平気!」
「じゃあ行くぞ」
そう言って俺は扉を押した


謁見の間に入るとそこには見るからに柔らかそうな青い絨毯と法衣を着た6人ぐらいの人が並んでいた
「こちらへ来るのです」
謁見の間の綺麗さに見とれ反応が一瞬遅れる
「は、はい」
俺は辛うじて返事をすると歩き出す
が、スズが硬直していたので手を繋いでやる
「!」
やっと現実に戻ってきたようだ
「………」
大人しく手を握り返して後についてくる
ある程度の所まで行き、片膝をつき頭を下げる
「よい、顔を上げてください」
俺は顔を上げ、教皇様を見る
教皇様は長い銀髪の髪と銀色の目を持った女性だった
「この度は首都にいた犯罪組織を解体してくれてありがたく思います。こちらもどうにかしたいと思っていたのですが……中々捕まらずに苦労していたのです」
「は、ありがたき幸せです」
「それで、報酬を払おうと思うのですが…このくらいで良いですか?」
そう言って教皇様の隣にいた秘書っぽい人が大きめの袋を持ってくる
俺はそれを確認して
「ありがとうございます」
「いえいえ、こちらも感謝してもし足りないのです」
そんなに困っていたのか……
「そこでなんですが……報酬の他に褒美を差し上げようと思います」
「褒美……ですか?」
「はい、貴方達はドラゴンも狩ったのでしょう?なら追加で褒美を出すべきなのです。ドラゴンのおかげで大分市場が潤いましたから」
あぁ、なるほど…ドラゴンのせいで経済が回ったのか
「褒美はですね……我が国で採れる希少な金属と宝玉ですね」
「金属と…宝玉ですか?」
「ええ、金属の正式名称はアダマンタイトと言います。宝玉はアレキサンドライトと言います。アレキサンドライトは魔石としても有名で武器に組み込むと切れ味が上がります」
「そのような凄いものを……ありがとうございます」
そう言って俺は頭を下げる
「いいのです。それぐらいの価値はあるということです」
あのドラゴンにそんな価値があったとは…
「あぁ、それとギルドのランクの方も上げさせて頂きますね。ドラゴンを狩れてCランクでは示しがつきませんから」
「何から何までありがとうございます」
「ええ、これからも頑張って下さいね」
そう教皇様は微笑んで謁見は終わりとなった


俺らはギルドに帰ってきていた
俺は受付さんに
「教皇様からランクが上げて貰ったので更新に来ました」
「あ、はい。わかりました。更新しますね」
さて、Cランクから上がるんだからBランクぐらいかな?
「ではこれが新しいランクになりますね」
そう言って差し出してきたのはAランクの文字だった
「………マジですか?」
「ええ、マジですよ?」
いや、嬉しいけども…たしかAランクからは……
「ご存知かとは思いますがAランクからは二つ名がつきますのでご理解ください。こちらの子もAランクですね」
スズもか……?
「確か、二つ名って……」
「ええ、ギルドの方で決めさせて頂きますので明日またギルドに来てください」
「ですよね……」
「カッコイイ二つ名を考えておきますよ!」
イタイ二つ名がつかなきゃいいなと俺は願うばかりだった

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