名無しの英雄

夜廻

17話

「結局戦ってばかりでゆっくり出来てないな……」
俺は犯罪組織との戦いで疲れ果てあのあとすぐに眠ってしまった
「じゃあこれからどうするの?」
少女が聞いてくる
「とりあえずギルドに達成報告しないとな…」



「えーーー!本当ですか!?」
俺は今ギルドの受付にいる
「あぁ、本当だが?」
犯罪組織を壊滅させたので報告に来たのだ
「なにか証拠ありますか……?」
「壊滅させた証拠か?」
そう、俺は依頼で犯罪組織を壊滅させたのだが……規模などを話したらかなり危ない依頼だったらしい
「はい、先程の話が本当なら余裕でAランクの依頼ですよ…?」
「うーん、証拠なぁ……何が証拠になるんだ?」
「例えばリーダーの所持品とか…」
所持品か……それはないけど他のヤバいのだったらあるんだが……
「所持品じゃなきゃダメなのか?」
「いいえ?他のでもいいですよ?リーダーのなら」
これは…アレを出すしかないか……?
「ここで出したらヤバいのがあるから他の部屋で見せてもいいか……?」
俺は小声で言う
「ええ、わかりました…準備してきますね」
「あぁ、わかった。俺もソレを持ってくるから…」
そう言って俺は宿に戻った

ギルドの部屋で受付さんと俺は話していた
「これなんだが……」
「これですか……」
一応布に包んであるのだが受付さんにはバレたようだ
「正気ですか?」
「正気だ」
「これ、私じゃなかったら気絶してますよ……?」
「………」


遡ること数時間
俺は少女にブレスレットをあげた
「ありがとうございます。大切にしますね」
「あぁ、大切にしてくれ。一応形見みたいなモノだからな」
少女は嬉しそうに頷く
「あぁ、それはそうととりあえず聞いてみるんだが……犯罪組織のリーダーの顔わかるか?」
「はい、わかりますよ?」
「あぁ、じゃあこれはリーダーだよな?」
そう言ってマントの中からリーダーの首を持ちながら少女の前に突き出す
「っっっ!?」
ばたんっ
少女は倒れてしまった……
「あれ?コイツ気絶したぞ?」
突っついてみるが完全に気絶していた
「これ、そんなかなぁ?」
俺の持っている首はキチンと綺麗に首を刈られていたのであまりグロくはないはずだ…
「まぁ、起きたらでいいか…寝よ」
そう言って俺は寝た…

少女は起きてから記憶を整理していた
「確か…私は気絶して……」
「あ、起きたか。悪かったな、いきなりあんなモノ見せて」
「いいえ、大丈夫です」
そう、私は孤児だったこともあって死体やグロイのは結構慣れている
何しろ普通に道端に死体が転がってたし……
「あ、そう言えばあの首ってリーダーで間違いないか?」
「はい、間違いないないです」
「あぁ、わかった。今日はギルド行くからな。一緒に来てくれ」
「はい、わかりました」


という訳でギルドにリーダーの首を持ってきたのだが……
「これ、証拠になりますか?」
「ええ、証拠としては十分ですけど…」
「けど?」
「これを持ち歩くのはちょっと…」
「……」
いや、俺も持ちたくて持ってたわけじゃないし……
「と、とりあえず!依頼は達成ですので受付の方へ行っておいて下さい」
「わかりました」

「お待たせしました。今回の報酬は教皇様が直々に賜れるので使者が来るまで少し時間がかかると思います」
「わかりました。あ、あとこの少女は犯罪組織の奴隷だったのですが…どうなりますか?どこかで引き取るのですか?」
「??」
受付さんは首を傾げている
横を見ると少女の目は捨てられた子犬みたいにうるうるしてる
受付さんは何かを理解したようで
「あぁ!その奴隷は君のものだよ。いやーこっちの国じゃあ常識だから説明するの忘れてたよ」
「あぁ、そうなんですか…」
横を見ると少女は期待したような目で俺を見てくる
俺は少女の頭に手を置いて優しく撫でてやる
「よろしくな……」
さて、武道大会まであと少し

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