名無しの英雄

夜廻

13話

男性はいきなりの事で固まっている
「なァなァ、あの少女はなんなんだァ?希少な種族ってなんだァ?」
「!?」
「早く答えた方がいいんじゃねェのかァ?」
「なんで彼女の事を知ってる…?」
「ァ?そんなン最初から聞いてたからだろォが」
「最初から……?」
「そんなんどォでもいいんだ。お前は少女を闇奴隷にしようとしたのかァ?」
「……」
「…ダンマリは肯定と捉えるぞ」
「……」
コイツは闇奴隷と関係がありそうだなァ
とりあえず闇属性魔法で拘束しとくか
男性を影で拘束する
「とりあえず少女を追いかけてみるかァ」

チラリと腕からブレスレットが見えた


路地を進んでいくとさっきの少女が蹲っている
俺は少女に近づく
「なぁ」
声をかけると少女はこちらを向く
「困ってるなら助けてやろうか?」
「……なにいってるの?」
「さっきのヤツらは俺が殺した。お前の連れは無事だ」
「……」
「関わっちまったのはしょうがない。だからお前の現状を説明しろ」
やはり…そうか
「私は奴隷なの…主人さまに言うなって命令されてる」
あぁ、なるほどね
そりゃ言えないわ
「じゃあ、主人は誰だ?」
「……私と一緒にいた人」
「コイツか?」
そう言って俺の後ろで拘束されている男性を掴んで持ち上げる
「!?」
「なぁ、主人様よ。なんで闇奴隷に落とそうとしたんだ?」
「……」
「ダンマリかよ」
少女が
「闇奴隷ってどういうこと……?」
「コイツがお前を闇奴隷に落とそうとしたんだ」
「……」
2人とも黙ってしまい埒があかなくなってしまった



少し時間は経って俺はギルドにいた
もちろん男性の方を突き出すためだ
受付に行き
「すみません、コイツがこの少女を闇奴隷にしようとしていたんですけど…」
「闇奴隷ですか……今問題になってる組織の人間ですかね。男性はこちらで尋問しますね」
ん?組織?
「組織って?」
「あぁ、君はこの国に来たばかりだったね。組織はこの国の首都の犯罪組織の事でやってるのは闇奴隷はもちろん。殺人から強盗までなんでもやってるのよね…」
こういう事って騎士がやるもんなんじゃないのかな?
「ギルドではどうする事も出来ないんですか?」
「いえ、一応依頼は出ているんだけど危険過ぎて受ける人がいないのよ」
あぁ、そりゃそうだ
俺はあの時気配遮断してたから良かったけど普通に殺そうとしたもんな
「じゃあその依頼を俺が受けますよ」
「え?危険って言ったばかりなんだけど…」
まぁ俺にも理由があるからな…
「まぁ、壊滅だけならどうにかなるでしょう。報酬はなんですか?書かれていませんけど…」
そう、壊滅だけならどうにかなるのだ。ただリーダーを暗殺すればいいだけだからな
「報酬は教皇様が決めるらしいわ」
あぁ、なら大丈夫か
「わかりました。犯罪組織のアジトとかってわかってるんですか?」
「スラムの方だって噂だけど…」
スラムか…
「わかりました。ありがとうございます」
さて、この少女をどうするか…
宿に適当に泊めとくか…

宿をとって俺が少し準備の為に出ていき、その間に少女は眠ってしまったようだ


深夜、少女は目を覚ました
辺りを見渡すが助けてくれた少年はいない
「……?」
少女は記憶を確かめる
宿を少年がとって、部屋について、疲れて寝ちゃったのかな……
少女は少年が帰ってくるまで大人しく待っていた……



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