異世界転移するような人が平凡な高校生だと思った?
22話 脅威 V
ダンジョンの恐らく結構な深層の泉にて。
俺はミスラと作戦を練っていた。
「取り敢えず。状況を整理しよう。俺はミノタウロスと一緒に仲良くダンジョンの深層らしき所まで崩れ落ちた。」
「なるほど」
ミスラは相槌を返し理解している事を示す。
「そして深層とは言ったがここが何回層なのかは正確には分からない」
「ふむ」
「そして俺が落ちた場所にミノタウロスも当然いて俺はそれから逃げてこの泉に辿り着いたって訳だ」
「へっぽこですね」
「.......そしてその泉から全く使えない阿呆神が降臨した」
「貴方が次死んだ時には、地獄に送り付けるように神王に言っときます」
「どうかご慈悲を!!」
とにかく土下座しといた。実際地獄がどんな場所かは分からないけど何千年とかいう単位で痛いのはゴメンだ。
「よろしい。まぁ私が神王に言ってもなんの効果も無いですけどね」
「泉に帰れ!!」
「え..?ちょ!やめなさ──」
ミスラの首を掴み泉に放り投げた。
バシャーンッ!!
大きな水しぶきをたてて顔面から泉に突っ込んだミスラを見て怒りが収まった。
「よし、状況整理はこんな所だな。じゃあ早速これからの事を話し合おうぜ!」
泉の中から出てきたミスラは今までにない真っ赤な顔で俺を睨んでいた。
「........殺す」
「へ?おいおま──」
お前キャラ崩れてるぞ。と言い終える前にその階層に絶叫が響き渡った。
*******************
「お.....おい........何がレベル1冒険者だ......雷ぶっぱなすレベル1冒険者がいてたまるか.....」
丸焦げになった俺を見て満足したのか。ミスラはまた何事も無かったように座り込む。
「神からしたらこんなのレベル1以下です。その証拠に貴方は全然ダメージを受けていません」
「受けてるよ!めちゃくちゃいてぇぇよ!ってか神目線で言ってたのかよ!」
「何故私が下民どもと同じ目線で話をしなくてはならないのですか」
「ついにボロでたなこいつ!」
「ほら、作戦を練るのでしょう?」
「分かってるよ....あれ?というさっき雷使ったか?」
「頭でもボケましたか?ちゃんと見たでしょう。正真正銘雷です」
「でも魔法の属性って火水風光闇だけじゃないのか?」
「そうですよ。ですがそれはただの基礎なのですよ。私がやって見せたのは火と水と風を複合した魔法です」
「え、そんなことできるの?」
「当たり前です。ひとつの属性を極めて別のものに進化させた者だっています。
「例えば?」
「風の魔法は進化すると土の属性として使えます」
「あーなんか納得」
わりと考え方が安直な気もするが。
「あ、そうだ。ミスラ、俺のスキルについてわかることがあったら教えてくれ。正直どれがどういうスキルか分からなくて困ってたんだ」
「.....貴方はこの三日間何をしてたのですか.....そこの岩でも眺めてなさい」
「え....?     いやいや頼むって、それとも自分で理解する為の方法とかがあるのか?」
「えぇあります。だからそこの岩を眺めてどんな岩か、どんな形をしているのか、どんな効力があるのか考えて見てなさい」
「..........分かった」
嫌がらせか?とも思ったが真面目な顔で言ってきたので従ってみる。
岩...岩.......これでいいか。
うーん不格好な形だな。岩職人からしたらこれは芸術性の欠けらも無いですね。はい。
 適当なことを思っていると、次の瞬間、頭から機械的な声が流れた。
〔スキル 鑑定を手に入れました。〕
「へ?」
「スキルはゲット出来たみたいですね。そのスキルで色々わかります」
「はぁぁ!?嘘だろ!?これだけで!?スキルの内容知りたくて知りたくて仕方なかったあのもどかしさを返せ!!」
「貴方はまさかこの世界に来て1人でダンジョンに来たのですか....」
「え?いや?落ちる前までは教官がいたけど。」
「その教官が教えてるはずですよ。そんな初歩的なこと。」
え!?ティファさん!?
「無能だったようですね。その教官は」
「まぁ....無能ではないさ。
それよりまずはスキルの詳細!」
楽しみだなぁ。ずっと溜め込んできた宝箱を開けるような気分だ。
---------------------------------------
名前: 佐野  祐
種族:人間
Lv:  20
体力: 10850
攻撃力:10550
防御力:10260
魔力:20080
知力:10690
運:20550
スキル:
言語理解、進化、魔法適正、幻刀、潜伏、鑑定
称号:
転生者
転移者
######
######
######
---------------------------------------
鑑定は....よし、あるな。
あ、潜伏 いつの間に習得してたのか。
案外スキルってのは簡単に手に入るのかもしれない。
じゃあ早速。
進化   : 1度だけ生物として進化できる。進化した後はこのスキルは消える。
魔法適性    : 火水風光闇の属性の魔法に適正。
幻刀    :  対象に自身の幻を見せることが出来る。だが、本体は消えない。
自身の幻は攻撃されると消える。
潜伏    :  自分の気配を消すことが出来る。
転生者    :  転生したものに送られる称号。
転移者    :  転移したものに送られる称号。
######    :  ################。
######    :  ################。
######    :  ################。
情報が頭に入り込んできた。不思議な感覚だ。
「分かりましたか?」
「あぁ、どれくらいの効果があるのかはよく分からないけど使うとペナルティを負うみたいなものは無かったな。」
「ペナルティを負うスキルなんて殆どありませんよ。少なくとも自然に手に入るものではありませんし。」
「そうなのか。まぁそれはいいとして、ミスラがくれた力ってこの進化と魔法適性ってやつか?」
「....魔法適性.......ですか。」
「ん?あぁ全属性のやつだぞ?」
「....そのスキルを渡した覚えはありませんね。私があげたのはきっと進化というスキルでしょう。つまり貴方が自力で発現させたスキルという事です。」
「なるほど....まぁ前のミスラが言ってた説明を考えればおかしくはないのか。」
(...おかしいに決まってますよ......運がよくたって3属性か4属性なんですから.....つまりこれは潜在的な........)
「ユウ...と呼ぶことにします。いつまでも貴方や下民などではこちらも面倒なので。」
「お前俺の事を下民って呼ぶ時いつも面倒だなって思って呼んでたのか......」
「ところで下民。進化についてですが。」
「直ってないぞ〜?」
「あだ名です。」
「そんなあだ名があってたまるか!!」
「そんな事より進化についてです。」
「切り替え早いなおい...」
「.....あのスキルは今すぐ使った方がいいでしょう。化け物になりたくなかったら。」
「......説明してくれ。」
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