カオティックアーツ

日向 葵

5:楓の戦い方

 不敵に笑いながら、ぽこりんに向かって楓は走り出す。

 「ぐすん、何やっているのよぉ。相手は最弱のぽこりんでも魔物なのよ。一人で突っ込んじゃ……」

 「心配してくれてありがとよ。でも、あれぐらいなら大丈夫だ。行ってくる」

 「ちょっと待ちなさいよ!」

 後ろからクレハの声が響いたようだが、今の楓は気にしない。
 楓は自分の作ったカオティックアーツのことで頭が一杯だった。

 それもその筈。
 この世界の本を読んで手に入れた、異世界の知識を取り入れて作成した、楓のカオティックアーツ。
 相手が雑魚とはいえ、実践でお披露目できるなんて元の世界にはなかった。
 そもそも、武器型のカオティックアーツが少ないのだ。
 その点を考えれば楓だけのカオティックアーツとも言える。

 そして、少ない時間の中で完成した武器は、そこそこ自身のだった。

 「さぁ、俺のカオティックアーツを見せてやる」

 楓は【ディメンションリング】から二丁の銃型カオティックアーツを取り出す。

 名は【インフィニティ】
 遥か昔、銃という武器が存在した。
 まぁ、カオティックアーツが生まれ、銃などの技術が衰退しても、人気のが銃器だった。
 主に男の子に……

 それはどうでもいい話として、この銃が、魔法技術を用いやすい強力な武器だったので、魔改造した。

 こうして生まれた、銃型カオティックアーツ【インフィニティ】。

 「セット!」

 音声認識により、【インフィニティ】が動作する。
 バシュンっと言う音が響き、次第に【インフィニティ】から少し煙が立ち込める。

 「ポコポコりんんんん」

 「ぽっこぽっこぽぽぽぽこりん」

 ぽこりんは、楓の【インフィニティ】に少しビビっているが、煙が立ち込めるだけなのに気がついて、楓に襲いかかろうとする。

 【インフィニティ】から”ガシャァン”と音が鳴り響く。

 ぽこりんの、軌道がまるわかりの鋭い攻撃を避けながら、カオティックアーツを、次の工程に遷移させるための言葉を放つ。

 「チャージ!」

 キィィィィィィィンと楓の銃型カオティックアーツが鳴り響く。

 あと少し、あと少しで【インフィニティ】が攻撃前の準備工程を終える。
 そしたら、ぽこりんたちは、驚くだろう。

 楓のカオティックアーツの威力を!
 次第に甲高い音が鳴り止んでくる。
 【インフィニティ】が若干、青く光り出す。


 なかなか攻撃してこない楓に、ぽこりん達は激怒する。
 なんで無視されるんだ、と言わんばかりの表情で激怒する。

 そして、我慢のできなかった一匹のぽこりんが楓に突撃する。

 楓は突撃してきたぽこりんを蹴り上げる。
 まるでボールのように軽いぽこりんは、サッカーボール見たく弾けとんだ

 宙に浮かんだぽこりんに【インフィニティ】を構え、放つ!

 ドバン! ドバン! ドバン!

 楓の攻撃で一匹のぽこりんが弾けとんだ。

 その光景を見たぽこりんたちは、楓に恐怖する。
 だが、今更遅かった。

 楓は【インフィニティ】を構えて、撃つ、撃つ、撃つ。

 楓が撃つたびに弾け飛ぶぽこりん。
 ちょっとした地獄絵図になっていた。

 ぽこりんを撃っていたら、弾がなくなる。
 ぽこりんは、楓がもう攻撃できないと思い、襲いかかるが、攻撃の軌道が読みやすい攻撃なので簡単にかわされる。

 「セット!」

 【インフィニティ】がバシュンと音を放ち、次第に煙が立ち込める。

 そうして、同じ工程を繰り返すと、また攻撃できるようになる。

 次第にぽこりんの数が減っていき、この場にいるぽこりんがいなくなって、「ほっ」と息を付く・

 どうやら楓一人で勝てたようだった…… 

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