太陽を守った化物
第二十七話~城内殺人事件~
それは熊鍋パーティーを行った数日後に起こった。
お城の内部に異様な死体が発見された。それと同時に、マリアの兄であるジル・フォン・マレリアが行方不明となった。
それでも現王、ルーデシア・フォン・マレリアはだんまりであったが、さすがに城内で起きた事件について、誰も何もしないわけにはいかない。
真っ先に疑われたのは、ハクレイたちだった。
それもそうだろう。彼女らは最近王城に来たばかりのものであり、雇ったマリア以外の人間からしてみれば、王族に媚びを売って城内に入り込んできた者たちだ。そんなものたち、普通なら信用ならないし、真っ先に疑われるのは当たり前だ。
この状況をよく思っていないマリアは、どうにかしてハクレイたちの身の潔白を証明しようと考えた。だが、それはほかならぬハクレイから拒否されてしまう。
「マリア様、私たちは私たちで身の潔白を証明して見せるっ!」
マリアがいたからなのか、ハクレイは拳を固く握り決意を表明する。
マリアは不安そうにしながらも「頑張って」と応援してくれた。ただ、三人同時に捜査に向かうのは認めてくれなかった。
その理由はーー
「三人とも、聞いてちょうだい。最近城内の動きがおかしいの。おそらくなんだけど、お母様が何かしているみたい。そんなときにお兄様が行方不明になるなんてどうも怪しいと思うの」
「ん? もしかして、マリア様も狙われちゃうの」
「あまり考えたくないけど、ハクレイの言っていることは正しいと思うわ。だから、三人のうちだれか一人残って頂戴」
そう、マリアに言われたハクレイたちは、即座にこう答えた。
「ルーイエが残る」
「変態馬鹿が残るわ」
「パルミナっ! お前が残れ。そうすれば私とハクレイちゃんは…………ぐへ、ぐへへへへ、ってちょっと待てっ! なんで私が残らなきゃならねんだよっ!」
「「だって変態だし、役に立たなそう」」
「二人ともひでぇなおい、なんかこう……笑えねぇよ」
と言いつつも、ハクレイの言うことに従うルーイエは、マリアの近くに行き、突然しゃがみこんだ。
まさか、ルーイエがマリアのスカートをのぞこうとしているっ! と勘違いしたハクレイは、一発殴ってやろうと近づいた。
が、近づいて見えてきたのが、ハイライトのない死んだ魚のような目で、床に『の』の字を書くルーイエの姿。
触れるとめんどくさくなりそうだと思ったハクレイは、そっと離れた。
「いや、離れないでよ、もっとかまってよっ!」
「ねぇパルミナ。ルーイエが最近めんどくさくなってきたんだけど、どうすればいいかな?」
「ハクレイ、それを本人の前で言うのは酷よ。多分だけど、ハクレイ一筋になって、女の子に手を出さなくなったせいで、イチャイチャ度が足りないというか、なんというか……きっと人のぬくもりが欲しいのよ」
「うわぁ、本当にめんどくさい。やっぱ死ねばいいのに」
冷めた目でルーイエを見下ろす。その視線にゾクゾクとしたルーイエは恍惚とした笑みを浮かべた。マゾっ気があるかもしれないと感じたハクレイは、あまりの気持ち悪さにっぺっと唾を吐き出して、ルーイエを蹴飛ばした。マリアのにいることを忘れて……。
「ハクレイ、ちょっと落ち着きなさい」
「っは! すいません、マリア様。あまりにも気持ち悪かったので、暴走してしまいました」
「別にいいわ。ルーイエが気持ち悪いということはよく分かったから」
「うう、マリア様まで…………」
ルーイエは部屋の端っこに向かって、再び座り込み、床に『の』の字を書き始めた。
馬鹿なルーイエは放っておき、三人は話を進めることにしたようだ。
「ハクレイ、パルミナ。二人にはまず、身の潔白を証明してもらうわ」
「そのためには何をしなければいけないのかな? パルミナはわかる?」
「身元不明と死体を殺したのが誰だか発見すればいいんじゃない。誰が殺したかわかれば大丈夫でしょう」
「そ、それだっ!」
「……この二人、大丈夫かしら」
あまりにも頼りない二人に若干不安を感じながら、マリアは溜息をついた。
といっても、それは仕方がないことだ。ハクレイとパルミナの仕事は、暗殺などだった。つまり人を殺すことが仕事であり、犯人捜しは専門外なのだ。
果たして二人は自分たちの身の潔白を証明することが出来るのか。
お城の内部に異様な死体が発見された。それと同時に、マリアの兄であるジル・フォン・マレリアが行方不明となった。
それでも現王、ルーデシア・フォン・マレリアはだんまりであったが、さすがに城内で起きた事件について、誰も何もしないわけにはいかない。
真っ先に疑われたのは、ハクレイたちだった。
それもそうだろう。彼女らは最近王城に来たばかりのものであり、雇ったマリア以外の人間からしてみれば、王族に媚びを売って城内に入り込んできた者たちだ。そんなものたち、普通なら信用ならないし、真っ先に疑われるのは当たり前だ。
この状況をよく思っていないマリアは、どうにかしてハクレイたちの身の潔白を証明しようと考えた。だが、それはほかならぬハクレイから拒否されてしまう。
「マリア様、私たちは私たちで身の潔白を証明して見せるっ!」
マリアがいたからなのか、ハクレイは拳を固く握り決意を表明する。
マリアは不安そうにしながらも「頑張って」と応援してくれた。ただ、三人同時に捜査に向かうのは認めてくれなかった。
その理由はーー
「三人とも、聞いてちょうだい。最近城内の動きがおかしいの。おそらくなんだけど、お母様が何かしているみたい。そんなときにお兄様が行方不明になるなんてどうも怪しいと思うの」
「ん? もしかして、マリア様も狙われちゃうの」
「あまり考えたくないけど、ハクレイの言っていることは正しいと思うわ。だから、三人のうちだれか一人残って頂戴」
そう、マリアに言われたハクレイたちは、即座にこう答えた。
「ルーイエが残る」
「変態馬鹿が残るわ」
「パルミナっ! お前が残れ。そうすれば私とハクレイちゃんは…………ぐへ、ぐへへへへ、ってちょっと待てっ! なんで私が残らなきゃならねんだよっ!」
「「だって変態だし、役に立たなそう」」
「二人ともひでぇなおい、なんかこう……笑えねぇよ」
と言いつつも、ハクレイの言うことに従うルーイエは、マリアの近くに行き、突然しゃがみこんだ。
まさか、ルーイエがマリアのスカートをのぞこうとしているっ! と勘違いしたハクレイは、一発殴ってやろうと近づいた。
が、近づいて見えてきたのが、ハイライトのない死んだ魚のような目で、床に『の』の字を書くルーイエの姿。
触れるとめんどくさくなりそうだと思ったハクレイは、そっと離れた。
「いや、離れないでよ、もっとかまってよっ!」
「ねぇパルミナ。ルーイエが最近めんどくさくなってきたんだけど、どうすればいいかな?」
「ハクレイ、それを本人の前で言うのは酷よ。多分だけど、ハクレイ一筋になって、女の子に手を出さなくなったせいで、イチャイチャ度が足りないというか、なんというか……きっと人のぬくもりが欲しいのよ」
「うわぁ、本当にめんどくさい。やっぱ死ねばいいのに」
冷めた目でルーイエを見下ろす。その視線にゾクゾクとしたルーイエは恍惚とした笑みを浮かべた。マゾっ気があるかもしれないと感じたハクレイは、あまりの気持ち悪さにっぺっと唾を吐き出して、ルーイエを蹴飛ばした。マリアのにいることを忘れて……。
「ハクレイ、ちょっと落ち着きなさい」
「っは! すいません、マリア様。あまりにも気持ち悪かったので、暴走してしまいました」
「別にいいわ。ルーイエが気持ち悪いということはよく分かったから」
「うう、マリア様まで…………」
ルーイエは部屋の端っこに向かって、再び座り込み、床に『の』の字を書き始めた。
馬鹿なルーイエは放っておき、三人は話を進めることにしたようだ。
「ハクレイ、パルミナ。二人にはまず、身の潔白を証明してもらうわ」
「そのためには何をしなければいけないのかな? パルミナはわかる?」
「身元不明と死体を殺したのが誰だか発見すればいいんじゃない。誰が殺したかわかれば大丈夫でしょう」
「そ、それだっ!」
「……この二人、大丈夫かしら」
あまりにも頼りない二人に若干不安を感じながら、マリアは溜息をついた。
といっても、それは仕方がないことだ。ハクレイとパルミナの仕事は、暗殺などだった。つまり人を殺すことが仕事であり、犯人捜しは専門外なのだ。
果たして二人は自分たちの身の潔白を証明することが出来るのか。
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