家族に愛されすぎて困ってます!

甘草 秋

51話 文化祭2



「いらっしゃいませ〜」
「空いてるお席へどうぞ〜」
「お会計500円になります。500円丁度おわずかりします。ありがとうございました〜」

 忙しい。忙しすぎる。
 教室内を駆け回るメイド服の女子、廊下には長蛇の列、調理場も慌てふためいている。
 俺たち1年3組がだした出し物はメイド喫茶。只の喫茶店じゃ面白くないと考え、メイド服を導入。
 たまたま3組の女子の面子めんつは高い人が多く、まぁまぁ席は埋まるんじゃないかと予想していたが......。

「この量は凄いな......」

 全校生徒の3分の1は来ているんじゃないかと思うくらいの人だかり。
 席は全部満席、廊下にはまだかまだかと待つお客達。ほとんどは男子生徒だ。

「え?嘘だろ!?......何この行列!?」

 色々なところを回ってきた亜紀斗が帰ってくるなり驚いた様子を見せた。

「おお亜紀斗。他のクラスはどうだった?」
「どうも何も多分ここの階にいる客は全部うちらが独占状態だぞ」
「まじかよ」
「まじだ。......しかし、どうなってんだこれ。まだ始まって1時間くらいだぞ」
「あぁ......そうだな」

 今から1時間ほど前、3組のメイド喫茶が開店する前である。
 午前中が当番の俺やクラスメイト達は、開店する準備を終え、後は開店の時間がくるのを待つだけとなった。

「お客さん来るかなぁ?」

 心配になるキュートなメイドの大星。

「大丈夫だって」

 大星の不安を和らげるボーイッシュなメイドの柔風。

「......」

 そして俺はぼーっとしていた。

───キンコーンカンコーン

 鐘が鳴った。いつもは授業の始めを知らせるチャイムだが今は違う。これが開店の合図なのだ。
 これと同時に、メイド服に身を包んだ伊藤さんが入口を開けた。近くに看板を立て、いよいよ開店だ。
 ドタドタと聞こえる足音。
 多分チャイムと同時に目的の場所へ向かう生徒達のものだろう。
 一体この足音はどこで止まるんだろうか。
 足音がどんどん大きくなる。
 そして知る。

───この足音を出している集団の目的の場所が、1年3組の教室だということに。

「なにぃ!?」
「「「お邪魔しマース!!」」」

 俺達の最初のお客は、総勢30人前後の団体客だった。

「い、いらっしゃいませ!お、落ち着いてください!並んで、列に並んでくださーい!」

 一気に賑やかになる3組の教室。たった1分で満席になった。
 その後は、客の勢いが留まることなく。廊下が賑やかになればなるにつれ、「あれなんだろう?」「ちょっと並んでみない?」「なんか面白そうじゃ〜ん」といった行列を見て関心を持った客が並び、また並びの繰り返し。
 そして今に至る。

「いきなり団体客だったのか」
「うん」
「......俺、先輩から聞いたんだけどさ」
「うん」
「なんか大星のファンクラブとかできてるらしいぞ」
「まじで!?」

 そんなことは微塵も知らなかった。
 大星のファンクラブ?何で?アイドルかなんかやってたっけ?

「俺達が入学したての頃、超絶可愛い後輩が来たって上の学年では話題だったらしいぜ。それで、大星の事を学園のアイドル的な目で見てる連中らがこぞって立ち上げたグループがファンクラブってわけだ」
「なるほど。......つまり、最初に来た団体客は大星のファンクラブってことか?」
「分からないけどな」

 確かに、最初の団体客が来た時、妙に大星を指名してたなぁ。
 まぁ、ファンクラブからしたら自分のアイドルのメイド服なんか死んでも見たいだろから当然ちゃ当然か。

「じゃ、俺はまた他のとこ回ってくるわ!」
「おう」

 その後も3組の教室から客が途切れることはなかった。



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コメント

  • ノベルバユーザー240181

    グールプになってます

    1
  • 水野真紀

    続き待ってます
    面白すぎるー
    もしよかったら私の作品も読んでみて下さい

    2
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