家族に愛されすぎて困ってます!

甘草 秋

46話 いい加減文化祭の出し物を決めなさい



 プリン騒動があった2日後の月曜日。地獄の期末試験当日である。
 教室に入ると、いつもの世間話で騒いでいた朝の教室と違い、お互いに問題を出し合ったり、一人でノートやワークとにらめっこしている者もいれば、やり忘れた課題を必死に解いている者もいる。
 テストは個人戦であり、全員がライバルなのだ。

 (俺も復習するか。)

 そう思い英語の教科書を鞄から出していると、

「グッドモーニング!」
「ん?あぁ、亜紀斗か」

 亜紀斗が登校してきた。

「おいおい、何だよその反応」
「いや、何で英語なのかなって思って」
「今日の最初のテストは英語表現だろ?昨日の夜一生懸命勉強したんだ!」
「I see(なるほど)」
「ん?なんだそれ?」

 こいつ本当に勉強したのか?
 いや、絶対してないな。

「よっ。近衛、白野」
「おはよう。近衛君、白野君」

 柔風と大星も登校してきた。

「おう。おはよう柔風、大星」
「グッドモーニング!」
「え?どうしたのこいつ?」
「無視していいぞ」
「ひどい!!」

 朝のホームルームが始まる間は友達との朝のコミュニケーションの時間だ。
 教師のいない教室は生徒のもの。当然だ。

「みんなおはよぉー!」

 遅れて橘が登校してきた。
 みんなが橘におはようを返す。

「みんなは勉強した?」

 橘がみんなに質問をした。

「土曜日に遅れた分は勉強したよ」
「私はあんまりかなぁ」
「俺は昨日の夜2時間勉強して、グッドモーニングが書けるようになったぜ!」
「......」
「......」
「......」
「......」
「凄いだろ?」
「......え?それに2時間かけたの?」
「イエス」
「グッドモーニングだけで?」
「イエス」
「亜紀斗......お前どうやってここの高校に入ったんだ?」
「まぁ、サッカーのおかげかな?」
「サッカー様々さまさまだな!」
「白野......あんた逆に凄いよ」
「白野君凄いねー」
「神様に、こいつをこんなに馬鹿にしたのはどうしてですか?って問いたいぐらいだな」
「失敬な!俺だってやればできるんだよ!まだ本気出したないだけなんだよ!」
「そうか、じゃあその本気・・をはやく見してもらいたいねぇ」
「ふっ......まだその時ではない」
「そうですか」
「は〜い。みんな席ついてね〜」

 担任の宇佐美先生が入ってきた。みんなが一斉に席に着き、朝のホームルームが始まる。
 高校生活初めての期末試験に緊張しながらも、俺は案外期末試験が楽しみだったりする。
 初めての事って、なんかワクワクするよね?








それから四日後。

〜♪〜♪

「は〜い。そこまで〜」

 授業の終わりを知らせるチャイムがなり、一学期の期末試験が終わった。教室のみんなが疲労の息を漏す。「疲れた〜」「よっしゃ終わったー!」「まじで難しかったよねー」「色んな意味で終わったー」絶望に浸ったり、歓喜の声を上げたりしている。
 俺も内心、期末試験が終わって嬉しかった。この期末試験が終われば、後は校内文化祭をし、夏休みに入るだけだからだ。

(ま、校内文化祭は何をやるかにもよるけど。なるべく楽なのがいい)

「みなさ〜ん。本来は期末試験が終わったらすぐに帰るのですが、今回はあと1時間だけ時間を設けて、校内文化祭の出し物を決めちゃいたいと思いま〜す」
「「えー」」「はやく帰りてーよー」「ゲームしてー」「先生......可愛い......」

 最後のやつの言い分以外は全部納得できる。俺も早く帰ってゲームしたりダラダラしたい。

「では、伊藤さん。お願いしま〜す」
「はい」

 今回の期末テストは自信満々の伊藤さんが教卓の前に立つ。

「それでは、文化祭の出し物について話し合いを始めたいと思います。この前出された案は、喫茶店、お化け屋敷、映画館、休憩所、クラブハウスです。時間もないのでこの中から決めましょう」
「ちょっと待ってくれよ!」

 立ち上がったのは亜紀斗だ。

「はい。何ですか白野君?」
「俺の案が無いぞ!」
「ごめんなさい、どんな案でしたっけ?」
「サッカーだ!」
「論外」
「何ィ!」

 つっこむのが面倒なので、ここは伊藤さんに任せよう。

「白野君、よく考えてみて。教室よ?」
「教室だからなんだよ。試合は無理でも、リフティングくらいは出来るだろ」
「はぁ......それをしてなんの意味があるの?」
「回数が増える度に盛り上がるだろぅ?」
「盛り上がらないわ。そういうのは部活でやればいいでしょ」
「教室でもやってみたいだろ?」
「いいえ」
「えぇ......」
「もう諦めろよ亜紀斗」

 我慢できず俺も口を挟む。

「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!」
「子供かっ!」
「とりあえず、白野君の案は却下で」
「えぇ!?」
「時間は有限です。この中から決めましょう」
「亜紀斗、その案は来年の楽祭にしろ」

 楽祭がくさいとは、3年に1度開催されている楽大高校の伝統ある文化祭だ。今回の文化祭は校外の人達を入れず校内の学生や教師達の間だけで行われる文化祭で、楽祭は校外の人も歓迎する文化祭なのだ。
 来年の大きな文化祭で亜紀斗の案が採用されることを願う。

「分かったよ。今回は引き下がってやろう」
「随分と上からだな」
「それでは改めて、この案の中から多数決で出し物を決めたいと思います」

  厳粛げんしゅくな多数決の結果、喫茶店が13票、お化け屋敷7票、映画館10票、休憩所8票、クラブハウスが2票だった。
 俺は楽そうな休憩所に手を挙げたが、喫茶店も悪くないな。

「なぁなぁ普通の喫茶店じゃつまんなくね?メイド喫茶にしようぜ!」

 少しチャラめの男子の一人が唐突に提案をした。

「いいじゃんいいじゃん!」「それあるー」「大星さんとか、橘さんとか結構花のある女子いるし、盛り上がるんじゃね?」「それあるー」

 賛成の者は多数いるようだ。
 それに関しては別に反論しない。むしろ賛成だ。俺も大星のメイド服は是非とも見てみたい。

「先生。メイド喫茶は可能でしょうか?」

 伊藤さんが宇佐美先生に質問する。可能かどうかを確認するためだ。
 てっきり、「そんな破廉恥な服はだめです!」とか言いそうだと思ったが、以外に着てみたいとか思ってるのか?

「まぁ、そういうお店で借りてくれば、問題ないで〜す」
「分かりました。では、メイド喫茶に反対の人はいますか?」

 反対の人はいなかった。

「先生、決まりました」
「は〜い。それでは、このクラスはメイド喫茶ということで、この2週間頑張ろー!」

 クラスメイトは大いに盛り上がる。

(はぁ、楽なレジ係とかでいいか)

 内心は少し楽しみにしている春鷹だった。







 お久しぶりです。甘草 秋です。
 投稿遅れてしまい本当にすいません!m(_ _)m
 色々と忙しく、遅れてしまいました。
 今後は、1週間に1話のペースで書いていこうと思うのでよろしくお願いします。

 それではまた。


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