死んだ異世界の勇者は現代で15レベ(歳)の女子中学生になる
目覚めのベッド
俺は気づくと、見たこともない世界で目を覚ました。真っ白な天井、真っ白なベッド、ベッドには柵がかけられ、背の高いカーテンはベッドのまわりをぐるりと囲いそこから外の様子は伺えない。カーテンの中の範囲で分かる事といえば俺の腕から何かの管が伸びていること、その伸びた先には袋のようなものが金属製の棒にぶら下げられている。下手に動いてはいけないような気がして、目を開けたままどうにもできず横たわっていた。
「ユウさん、おはようございます~」
女の軽やかな声が聞こえたと思うとカーテンの隙間から現れる。全身を白い服で包んだその女はカラカラと鳴くカートをカーテンの中まで入れ、こちらを向くと大きく目を見張った。
「…っ!!ユウさん、お目覚めになられたんですね!今、ご家族をお呼びします!」
俺を見てユウと呼んだその女は押してきたカートをほったらかしてまたカーテンの隙間からどこかへ行ってしまった。
しばらく経って。数人の足音が聞こえたと思えばどれも知らない顔ぶれが俺の顔を見ると、驚くなり喜ぶなり泣くなりと賑やかになる。どういうわけか分からずただただその光景を眺めていた。
「体温、血圧、脈拍、呼吸数、意識レベル共に正常です。」
先程の女が俺の指先に見たことのない装置をつけたり、腋に何かを挟ませたりしていたと思ったら。同じく白い服に身を包んだ眼鏡の男にそう話しかけた。
「では経腸栄養は中止して経口栄養に移して…」
眼鏡の男は聞き慣れない単語を口にしながら女に支持を出しているように伺える。だが、やはりその後ろに立つ白い服を着ているわけでもなくただ見守るように居る男女はなんなのだろう?
ぼんやりとその様子を見ていると眼鏡の男は俺の身体のすぐそば、ベッドに手をついて距離を縮めるとこう言った。
「ワタリ ユウさん、ここがどこか分かりますか?」
と。
今まで俺は居て居ないかのようにほったらかされてたかと思えば。やっと話す機会ができた、とにかくどういう状況なのか理解させてもらう必要がある。
「えっと…分からないですし、なんでさっきから俺のことをユウって呼ぶんですか?」
質問に答えたが、質問で返してしまった。
と気づくよりも自分の明らかな違和感に気づく。今、舌の上に言葉を乗せたのは俺しかいない。それを話したのは俺しかいない。なのに静かなカーテンの領域に響いたのはか弱い女の子の声。
本当に俺が喋ったのか、とますます混乱していると先程から一歩後ろに居る男女のうちの女が両手を口元にあてがい悲しそうに顔を歪ませた。
「ユウは君の素敵な名前だよ。…じゃあ、君が覚えている事は何かある?」
眼鏡の男は優しい声で質問を続けた。
「俺の名前はエヴァルブで、世界を守るためにセンカードを倒そうと…」
相も変わらず可愛すぎる声で紡がれる俺の思いに違和感を感じながらもただ本当に覚えている事を話した。だが、倒そうと、その言葉の先だけは紡ぐことが出来なかった。
「…はい、わかりました。では親御さんは別室でお話を」
眼鏡の男が納得したように俺から離れると、悲しそうに突っ立っていた男女に話しかけて共にカーテンの向こう側へ行ってしまった。
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