男の娘、転生してもやっぱり自分を貫く

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#9 女子会(私は見た目は女の子だからセーフだよぉ)


「その服やっぱり良い服だねぇ?こんな服なんて始めて見たよ?この街の服屋は全て見に行ったことある筈なのにぃ~。」

「この服は、そこの裏道にある服屋ミリアで売ってるよ。」

「あ!あの店はこの街でもトップクラスのお店だよね。あれ?あそこは流行には耳聡いけどぉ、デザイナーとかは居なかったから、そんなデザインの服を作るとは思えないなぁ?」

「えーとね、実はこれ私がデザインの原案描いてて、それを元にミリアさんに調整してもらって作っまてもらったの!」

「えっ!凄い!レアちゃんスゴすぎるよぉ~。」

さっきから服について話しているのはノンナちゃん。
服装は子供にしては結構大人びたような感じで、髪は茶髪でちょっと癖のあるツインテールだ。
身長はちょっと高めかな?とはいえまだ子供だから将来的にはどうなるか判んないけど。
年は一個上で4才みたいだけど、私と同等に話してくれてとても話しやすい。
多分とってもいい人なんだろうなぁ。
実家は防具屋さんで、無骨な防具に囲まれて育ったから、そんなのが嫌で可愛い服が好きになったらしい。

「ん。」

…………ん?
次は別の娘だ。
どうやら手に何か持ってるみたい。

「あ、ありがとう。」

どうやらお菓子を分けてくれるみたいだ。
あっそう言えば………

「そう言えば、家からお菓子を持ってきてるんです。皆さん食べてください。」

そうだ!
仲良くなれたらお裾分けにと思って昨日お母さんと簡単なクッキーを作ったんだった。
この世界では、砂糖はまあまあ貴重な物みたいだけど一般家庭で全く無いってほどでは無いみたい。
このくらいなら、そこまで相手も遠慮しないと思う。

「ん!いいの?」

「もちろん。食べてぇ。」

「………………♪甘い♪」

さっきからお菓子をくれたり、私のお菓子を食べてる子はアリアちゃん。
金髪で肩口まで髪が延びている。それでいて癖がついていてカールを巻いている。
身長は小さめで無口で結構表情の薄い女の子だけど、食べ物が関係しているときだけは物凄い表情がコロコロ変わっている。
いわゆる、ゆるフワ系無口キャラなのかな?
でもそんなに大切なお菓子を分けてくれたってことは、やっぱりいい娘なんだたろうな。
実家は食堂を経営しているみたい。正直ピッタリ過ぎると思う。
そんな中アリアちゃんの目の前にあるクッキーの山に隣から手が伸びてきた。

「えーい。私も貰うわね。…………!こ、これって砂糖が使われてるわよね?…………いいの?こんな良いもの貰っちゃって?」

「うん。いいよぉー。今日同年代お話相手を探しに行くから、その人達と一緒に食べようと思ってお母さんと作ったの!」

「こ、これ手作り!?凄いわね。」

今話をしているのは、カナリアちゃん。
今は、ビックリしながら手を口元に当てている。
髪は赤毛でストレートのロングヘヤーだ。
身長は普通くらいかなぁ?
この子達と出会ったばかりで関係性を掴みきれてないけど、恐らくこの三人組のまとめ役なんだと思う。
結構私にも配慮して話題を振ってくれるし、とぉ~ってもいい人。
年は一番上の5歳でどうやら2ヶ月前に祝福教会でステータスを貰ったらしい。

前にも説明したかも知れないけど、この世界では五歳になると教会に行って職業神官って言う人にステータスを授けて貰えるみたい。それで自分に適性のある職業から一つ選んで自分の職業にするみたいだ。
別にステータス上で特定の職業になったからといって別にその仕事をしなければいけない訳では無く、ただたんにその職に関するスキルを覚えれるみたいだ。
職業は初めは2つ選べて本人のレベル次第で選べる職業の枠が増えていくみいだ。
因みにスキルってのは色々説明されたけどよく分からなかった、多分ゲームとかの特技みたいなものだと思う。

で、カナリアはそのステータスの祝福で職業に賢者の適性かあってそれを職業にしたらしい。
賢者という職業はかなりのレア職業で、これと同レベルのレアリティの職業の職業適性を持っているのは1000人に一人位しか居ないらしい。
とっても凄くて、努力次第では、王都の何らかの才能に長けた人ばっかりが通っている技術指南学校にも行けるくらいなのだが、実家であり、今私達が話し合っている場所であるここの雑貨屋を継ぐみたいだ。

それから四人で話続けた。
私が持ってきたクッキーを作ったのは私だと言ったらアリアちゃんが、私を捕まえて「持って帰る………。」と言ったりして、カナリアちゃんが一生懸命宥めたりとかなり楽しい時間だった。
結局的には次回も、私がクッキーを作って持ってくることに落ち着いた。
まあ、お菓子作り好きだからいいけどねぇ?

その他にも、八百屋の倅が向かいの宿屋の娘の事を好きだったとか、メインストリートのお菓子屋さんの新商品の話とか、色んな事を話した。
昔は女子の恋愛トークなんて性別が男の私には分からないことが多かったけど、やっぱり前世で女の子と女子トークしたりすることが増えていく内になんとなく価値観を共有出来て、今では結構恋愛トークとかもイケるようになってきた。

最初に私を脅かしてきた謎のお姉さん、実はカナリアちゃんのお母さんなんだけど、名前はレリアナさんというみたい。
で。そのレリアナさんがオヤツやジュースを差し入れてくれた。
途中からは店を切り上げて、一緒にお話に参加していた。

「あっ!私の家お父さん心配性だから、もうそろそろ帰るね。」

お父さんは心配性なのだ。
まだ外は結構明るいけど、いい友達も出来たし、早めに帰るとしよう。

「うん。またおいでよ。お母さんもいいよね?」

「勿論よ。こんな可愛い娘なら大歓迎よ。男の子ってのは流石にビックリしたけどね。」

「えへへへ~~。すいません。」

そう。会話し始めて一時間位経った頃に自分の性別を伝えたのだ。
初めはビックリしてたけど、深いことは考えないノンナちゃんとお菓子以外に関心の少ないアリアちゃん、人は結局中身というカナリアちゃんのお陰で直ぐにまた普通に話せることが出来た。
逆にレリアナさんはそれを聞いた後から「男!…………ほんとに?ちょっと脱いでみて!!」とか言っててカナリアちゃんに「お母さん恥ずかしいから止めてよ!!」と怒られてた。
レリアナさん的には、可愛ければ問題ないみたいだ。
さっきからことあるごとに撫で回してくる。

「次はまた別の服を着て見せてちょうだいねぇ~。待ってるよぉ~。」

「うん。とっておきの服着てくるね。」

ノンナちゃんはやっぱり服が気になるみたい。

「………………………………。」

アリアちゃんは無言だ。
恐らく次もお菓子持ってきてね。って言いたいんだと思うけど、流石に別れ際でそれを言うのは、不味いと思ったのか口を噤んでいるみたいだ。
それでも、顔に【クッキー食べたい!!!!!】って書いてあるかの如く、気持ちが伝わってくる。

「また、お菓子持ってくるね。」

自然な流れでそう告げると分かりやすく顔がパァ~って笑顔になった。
今にでも小躍りしてしまいそうな位、機嫌が良さそうになっている。

「………………♪」

「そう言えば、レアちゃんのお家はどこ?危ないかもしれないし付き添おうか?」

皆に別れを告げているとレリアナさんが聞いてきた。
あー、私が一人で帰れるか心配してくれてるのか…………。
まあ、私の家はメインストリートの先だし迷子になることも、人目があるから犯罪に巻き込まれる可能性も低くて安全なんだけどね。

「えーとですねぇ~。私のお家はあれです!!」

そう言ってメインストリートの先にある私の家を指差す。

「「「「………………………………ええぇぇ!!   」」」」

三秒位の沈黙のあと、三人の大きな驚愕の声ともう一つ小さな驚愕の声が夕方の町に拡がっていった。


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