クラス転移で仲間外れ?僕だけ◯◯◯!

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279話 粘体からの猫

死んだことで透明化する力が切れたのかカメレオンの姿は私達にもくっきり見える。
カメレオンの死体はスライムの粘体に取り込まれてる。
その体は数秒のうちに皮がなくなり、骨が露出し、その骨も泡をたてて溶けていく。

「どう考えても普通のスライムじゃない!絶対に気を抜かないで!」

「でも沙耶ちゃん、多分私達を守ってくれたんだと思うよ。」

「そういえば夏蓮の[鑑定]結果は?」

「それが……鑑定不能ってなるだけだよ。」

「それって………[遮蔽]を持ってるってことですかね?」

…………。
スライムには目がないが、視線が合っているような気がする。

「この子ならもしかしたら………[ティム]出来るかも?」

そう言いながら双音が近付いてく。

「危険よ双音!」

「でも、この子の力があれば私はまだ強くなれます。…………………………スライムさん私に着いてきてもらえませんか?」

スライムは沈黙を続ける。

「どうしても近々ある武道会で力を見せる必要があるの!スライムさんの力を貸してほしいの。」

そう双音がスライムに告げるとスライムは何か悩むように体を伸縮させて固まる。
次の瞬間地面の草を消化し始める。

ッ!

交渉決裂!?
そう思い警戒するがどうも違うらしい。
スライムは地面の草を溶かしながら何かしらの形を作っている。

「これって………《待て》……って書いてあるよね?」

「………うん。私にも見える。」

スライムは確認する様に少し動きを止めると近くの木や石を溶かして食べ始める。
しばらく待っているがスライムの食事風景を観察させられている。

「何も……ないね。」

「そうね。…そろそろ暗くなってくるし…帰らないと危険だと思うけど………。」

太陽が山に隠れそうになってきた。
夜の大樹海は昼よりも更に危険だと冒険者ギルドの受付嬢は言ってた。
正直早く帰りたいんだけど………。

「ですね。……またくるからね?スライムさん。」

「?………ムギ。」

双音が別れを告げて帰ろうとするとスライムが回り込んできて通せんぼする。
だけど、敵対するつもりもないらしく、けして手は出してこない。
それと始めてスライムの鳴き声聞いた………。

「…………もうちょっと待とうよ。……双音ちゃんのパワーアップに繋がるし、多少のリスクは我慢しよう。……ここは大樹海入口…最悪の場合は皆で渓谷側に逃げよう。」

普段は抜けてても、日本に居た頃から夏蓮はクラスの女子の半分以上の女の子を纏める存在だ。
今の発言を聞いてると本当に夏蓮の人の善さが伝わる。

「すいませんお二人共………私のために………。」

「気にしないで双音。双音のパワーアップは私達皆の力になるんだし、………それに危険なのは普段のレベル上げもでしょ?それよりほんの少し注意が必要になっただけ。」

その後、魔物が数回出現したけど、ほぼすべて双音が魔物の存在に気付くとほぼ同時くらいにスライムが触手を伸ばし相手を取り込んでいた。
私達を守ってくれてる?のかな?

「まあ、ゆっくり会話でもしてて待ってようよ。」

そうして、三人で雑談をしている。
…………観察していて気付いたのは、このスライムの索敵能力はあのカメレオンの時はともかく他は、ほぼ双音の索敵能力と同格。
スライムがそういう索敵スキルを持っているのか、………それとも……先程から常に何かを食べているこのスライムの食い意地が凄いだけなのかは分からない。
………………でも、………なんとなく後者な気はしてくる。

「………ムギ?……ギュギュ!」

先程までと違い食事を止めて何処か虚空に鳴き声をするスライム。

「!?まさか………この人達……………それでラズ姉が?」

!?
何やら突然人の声が聴こえる。
私達三人の物ではない声に困惑を隠せない。
ここ大樹海の入口。私達以外に人間がいても何一つおかしくは無いけど………。

「…………初めまして。」

そして、その謎の声の持ち主は木々の隙間から姿を現した。

「嘘……。なんで…急に………?」

双音が驚いている。
つまり双音ですら、感知出来できなかったってことね。
これは………。
そして、現れたのは黒髪で小柄な女の子。頭には猫耳が生えている。
それを確認して私達には緊張が走る。
受付嬢の説明によれば、大樹海の5強?の一つ。
あくまでそれは集団での話。
単体なら私達の驚異にはならないはずではあるけど、双音の索敵能力で感知出来なかったという真実。
…………そして何より相対してから私の中の勘が言ってる。………絶対に手を出しちゃ駄目って。
さっきのスライムなら私達三人で全力のコンビネーションで戦えばギリギリ勝てる。予測がずれてても少なくとも勝負にはなる。………おそらくそんな気はしてた。
でも、この娘には何故だか勝てる気がしない……。理由は分からないけど。
他の二人もそれを感じたみたいで額に汗を滲ませてる。




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