クラス転移で仲間外れ?僕だけ◯◯◯!

TNKt_k

258話 精遺物

それぞれ武器を仕舞い立ち上がるとニキスが近寄ってくる。

「…………すいませんマスター。」

…………1つだけ気になることがある。

「ヒスイ………さっきの速すぎないか?」

「地上に出しちゃうと影が出来てニキスに武器を与えちゃうからね。地面の中で成長させて準備してたのよ。」

…………くそ~。
[状態異常妄想(魔力視)]で戦闘終盤は周りを特に観察していたが、ヒスイが何度も[樹魔法]を使ったせいで地面の中も魔力がぐちゃぐちゃになってて気付けなかった。

「………それにしても速すぎます。ニキスの[アサシンエッジ]は必要最低限の予備動作しかなかったです。幾ら地中で準備しててもニキスが何処から現れるか分かってないと[樹魔法]を当てるなんて無理です。」

「ニキスが影に潜った時点で怪しかったのよ。それに輝夜が何時もしないような戦い方してるように見えたから何かあるなと思ってて準備してたのよ。」

…………戦略面では戦闘慣れしてるこの二人にはまだまだ及ばないか………。
ニキスも自分が最後の一撃を決める!というところで負けてしまい悔しそうにしている。

「凄いです皆さん!武道会の対人トーナメントよりも高レベルにさえ思えた戦いでした。」

サバウさんをはじめ、轟音を聞き裏庭に来ていたフレウラさんの弟子の人達が絶賛してくれる。

「凄い戦いではあったが………うちの試し切り用の裏庭がボロボロなんだが………。」

「あっ…………アハハ………ハ…………すいません。」

フレウラさんには誤り倒し許してもらって、工房の中に戻る。

「はぁ~。さっきのでお前らの戦い方は分かった。確かにあれなら並の素材で作った武器じゃ使い物にならんだろう。」

リリアが魔法エンチャントしたせいでボロボロに溶けて溶解した剣を持ちながらフレウラさんが呟く。
………てかあれぐらいボロボロになってたなら無理矢理撃ち合いを続けてたら[鉄装擊]がダメになるより先にリリアさんの大剣を破壊できてたのに!

「にしても、改めて見てもこれまた凄い量だな。…………ん?これって?」

フレウラさんが動揺している気配を感じて、見てみると何かの木材を持ってる。
なんだっけそれ?
そんな綺麗な木目のある植物系の魔物っていたっけな?
向こうの島で自生してた木か?

「こいつは精霊の気配を感じる。まさか精遺物か!?」

ん?なんだ精遺物って?

「あっ。それ私の………」

私のって………あぁ!
ヒスイのってことはつまり島の中心に生えてたばかでかい木、世界樹、つまりはヒスイの御神体か!
精霊に関係するものだから精遺物ってことか?

「それ使えば強い武器が作れるんですか?」

リリアが尋ねる。

「………………木材という性質上、単体で武器を作るのは無理だろうが、共に鍛える素材次第では……………聖剣すら作れるかもしれない。」

おお!聖剣!
燃える!勇者装備感がある。

「聖剣造り挑戦したい。だがこれ程の品………失敗は出来ない…………。聖剣は歴史上数本しかない超貴重な物、情報も製法も各国が秘匿にしていて、個人で作るなら物凄い数の試行錯誤をしなければ作れないような代物だ。………素材を絶対に無駄にしてしまう。………………そもそもこれ程の力を感じる精遺物……いったい何処で?…………最低でも大精霊、もしかしたら精霊王にも匹敵するクラスの力を感じる。」

何処で手に入れたって………………本人に貰ったんだけど。
どう説明するか………。
全員で目配りをする。

ぶっちゃけ聖剣は欲しい。
そして多分ヒスイが居れば精遺物は幾らでも作れる。
試行錯誤もし放題だ。
どうも話を聞いている限り精遺物は貴重らしいし、それをたくさん出せば確実に怪しまれる………。
とはいえ試行錯誤で聖剣を作れるクラスの鍛治師なんて次にいつ会えるか分からない。
…………五人での視線会議の結論は出た。

「サバウさん、フレウラさん口固いですか?」

「?………どう言うことだ?」

「私は商人、それが契約ならばけして口を割りませんよ。」

「まあ、俺も不用意に秘密を漏らすような真似はしない。」

「じゃあ、すみませんがお弟子さんや他の人に話が聞こえないようにしてほしいんですが…………。」 

聖剣を作ってもらうならサバウさんの協力も必要だろうし、フレウラさんはサバウさんの紹介だ。
フレウラさんに伝えるなら、サバウさんにも伝えておこう。

「奥に書斎がある。集中出来るように完全防音だ。着いてこい。」

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