クラス転移で仲間外れ?僕だけ◯◯◯!

TNKt_k

256話 タッグバトル

「[鉄装擊][鉄装脚]……。じゃ、行きますよリリアさん。」

リリアさんなんて呼び方をするのも随分久しぶりだ。
間合いを詰めリリアさんに攻撃を仕掛ける。
取り敢えずまずはスキルなしの蹴り!

ガギィーーンという轟音がなる。
流石に当然というべきかリリアさんの大剣に防がれる。
そのまま押し合いをしていたが突如僕の足が焼けるように熱くなる。
それも当然、リリアさんの剣は魔法エンチャントにより、光ほどの高温を帯びている。
金属により威力は殺せても熱を遮断することは出来ない。
僕は堪らず後ろに飛び退く。

「[プラントロック]!」

しかしその瞬間を見逃す程ヒスイは優しくない。
着地地点では樹魔法による触手?が待ち構えてる。

「[エアロダッシュ]!」

触手に接触するギリギリの所で[エアロダッシュ]により落下を止めることが出来た。
しかし今度は触手が上に伸びてきて僕を追いかけてくる。

「……[シャドウロック]。」

しかし次はその触手の影が動き出し、触手に絡み合う。

「皆さんの影を直接操作することは出来ずとも、実体を生み出すタイプの魔法の影程度なら操れます。」

これでヒスイの拘束は怖くない。
地面に降り立ち、戦闘を仕切り直す。
やはり、リリアさんの剣とは相性が悪い。それならヒスイから先に攻略するか?
いや、ヒスイの様子を見る限り、[幻体化]を使ってる。
あのスキルは肉体を魔力状に分解して構成することで物理に対するダメージをほぼほぼ無効化するスキルだったな。
でも、その分魔法によるダメージには弱くなるって効果だったはず。
しかし、ニキスの[影魔法]はその性質上操れる影がない限り使えないし、サブの魔法の[闇魔法]くらいでは幾ら何時もよりダメージが効くからとはいえ、ヒスイの魔耐値を突破できそうにない。
こっちの陣営で精々ダメージを与えれるのは僕の[火擊]とかの属性擊くらいのもんだ。
だが、あれはあれで隙も大きいし、一撃でヒスイを倒しきれる程の威力がない。
そんな隙を見せればリリアさんにやられる。
ニキスがフォローに入ってもリリアさんの高威力の技をガードしきれるとは思えない。
っていうか僕は必殺技とかなくて器用貧乏色が強いんだよなぁ。
異世界物で器用貧乏って鉄板だけど、基本的どの主人公もこれはオリジナルで強い!って技があると思うんだけど僕にはそれがない………。
かといってステータスで人類最強を飛び抜けて強いわけでもない。
物語の主人公みたいに十八番おはこの一撃必殺技とか欲しいわ。
[俺のこの技を溜めるまで時間を稼いでくれ!こいつで決める!]みたいな。………多少隙あっても良いからさ。

ともかくヒスイを先に倒すのは無理。となるとリリアさんを倒すしかないわけだが………。
リリアさんの剣に触れすぎると熱でダメージを受ける………。それなら、リリアさんの大剣が対応できない速度の手数で攻撃するしかない。
そのためにはまずこっちから仕掛ける。

「[断擊]!」

リリアさんは冷静に攻撃を大剣で受ける。
スキルありの僕の一撃とリリアさんのスキルなしの一撃はほぼ同威力らしく、お互いが少しだけ弾かれ合う。
しかし、地面にしっかり脚を付けていたリリアさんと、跳ぶように間合いを詰めてきた僕では体幹の安定性が違う。リリアさんは冷静に武器を構える。

「[アサシンエッジ]!」

しかし、向こうにも強味部分があるが、こっちにも強味な点はある。
それはニキスが遠距離魔法も接近戦も併用できるオールランダーであること。
ヒスイの用な魔法専門職より自由度が高くヒスイの魔法に対応しつつタイミングを見てリリアさんに攻撃もできる
しかも、これだけ近くにいればヒスイも[樹魔法]以外のリリアさんが巻き添えを食らうかもしれないような魔法で攻撃する選択肢は取りづらい。
[水魔法]ならリリアさんごと安全に拘束できるが、リリアさんの大剣が高温過ぎて水蒸気爆発しかねない。したがって[水魔法]も無理。[樹魔法]による拘束は[影魔法]によって対処できる。
これによってヒスイは無効化とまではいかないものの、ほぼほぼ2対1の状況に持ち込める。
こうなれば、威力とか技術とか関係なしに強引に手数でゴリ押せる。

1撃…2擊…3擊……。

リリアさんも最初は危険な攻撃をガードし、他を躱してたものの、次第に対応が遅れ、傷が増えていく。
そして、焦ってしまい判断を見誤る。
ニキスの攻撃に見せ掛けたフェイントに反応してリリアさんが大剣でガードをする。

「しまっ!!」

気付いたようだけどもう後の祭り。
この隙に[火擊]を足で発動、全力で振りかぶる。
このタイミングならリリアさんのガードも間に合わない。

終いの一撃を繰り出そうとした瞬間地面が揺れる。

「この程度てこの私を封殺出来るとは思わないことね。」

その正体はヒスイの[樹魔法]により産み出された幹。
しかしそのサイズは直径5mはあろうかという大木。
これにより地形ごと変えてしまい、僕らはバラバラに飛ばされてしまい、距離を取られてしまった。
再びニキスと接近戦で、リリアさんをおいつめたいところだが、この大木、ニキスによる影魔法では相殺できない。


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