クラス転移で仲間外れ?僕だけ◯◯◯!

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246話 旅立

「あ………、その僕ら明日にこの街を出ようかと思ってましてその挨拶に………。」

フイルミナさんは思案顔になると告げた。

「そうか、思ったより早かったな。」

「あれ?僕らがこの街を出るかもしれないって伝えてましたっけ?」

「いや、単純な推理さ。もしお前らがこの街に定住するなら、あの三人をこの街で保護しようとする筈だ。ならば少なくともこんなに早くあの三人が大樹海に帰ることはない筈。だから君達には何かあの三人を保護できない理由があるんだろうなと思ったんだよ。」

「なるほど…………。何もかもお見通しというわけですか。」

「まあ、美月はお人好しっぽいからな。ほっとけなそうだと思っただけだ。」

「でも推理は微妙に外れですよ。結局、僕はお金を支援するからこの街で暮らしたらどうかと尋ねたんですが、ソミアちゃんに断られてしまいましたよ。」 

「なるほど……。まあ、仕方ないあの娘がそう言うならそれが良いだろ。それで行き先は西か?それとも東?」

「取り敢えずは南に行こうかと………。そのあとは時期を見て東にいく予定です。」

「南と言えば……フエデリア帝国か。今の時期に行くと言えばあそこの武道会か?フエデリアの武道会は世界で一番の規模だが、お前達ならそこそこいい線行くかもな。」

へぇ、そんなのがあるのか。
今の僕らに足りないのは圧倒的に実戦経験、リリアは実戦経験が多いが大剣は使い始めたばかりだし、対人戦を鍛えたいところ。
事実、この前に戦った人拐いのリーダー格には、圧倒的にステータスでは優っているのにかなり手こずったしな。
だが、世界一の武道会なんかに出て目立つのは………流石に怖いな。
仮面を含む変装道具一式買うか?………………コスプレみたいな感じで…………想像してみたが死ぬほど恥ずかしいし止めるか。

「武道会は大変興味がそそられますけど、目的は武器の新調ですよ。」

「ああー、なるほど………確かに実力に武器が見合ってなさそうだな。それはともかく、そのあと更に東か………何が目的か………なんて野暮なことは聞かないが、東側はセレン聖教国にしろガイドミル王国にしろ色々キナ臭い。せいぜい気を付けろよ。」

「ご心配ありがとうございます。…………という事で別れの挨拶に。…………以前の依頼の件も含め大変お世話になりました。ありがとうございます。」

「「「ありがとうございます。」」」「ムギ。」

おー、僕らのパーティー以外の人間とは飯以外では滅多に関わろうとしないラズリが、わざわざ[アイテムボックス]から出てきた。
てか、ラズリさん。貴女最近影が薄くなってますよ。

「あっ、そう言えば美月はフエデリア帝国に言ったあと更に東に行くウサよね?」

あっ、久しぶりこの違和感たっぷりのウサギ語尾を聞いたな。

「ああ、まあ、具体的にどういうルートでいくかは決まってないけどね。」

「もし、セレン聖教国に行くなら気にかけてほしい人がいるウサ!」

「うーん。セレンか………色々キナ臭いらしいしあまり関わり合いたく無いんだよな。」

「まあ、もし通ったらということらしいですし、お世話になったテッシィさんのお願いです。聞くだけ聞いていきましょうよ。」

「それもそうか。」

「ありがとウサ!実は私はセレン聖教国の孤児院出身なのウサ。その孤児院お金がなくて困ってて、それで少しでも負担をなくそうと思って孤児院を飛び出したピョン。十年前の事だから忘れられてるかもしれないけど、お世話になったお姉さんがいるウサ。だからなにかお姉さんが困ってたら力を貸してあげてほしいウサ。」

「そうだったのか。」

前に大樹海出身じゃないと言っていたけど、セレン聖教国出身だったのか。
でも待て?
確かセレン聖教国って、大樹海の獣人達と戦争をしてるんだろ?
なのになんでその国に獣人の子供が何でいるんだ?
まあ、それは今聞くことじゃないか…………。

「了解。もし出会うことがあれば、テッシィさんに助けてもらった分、その人にお返しするよ。」

その後、レンとヘテラさんの二人にも挨拶をした。
レンはヒスイに「今の俺の実力を試させろ!」とか言って模擬戦を挑んでいたがボコボコにされていた。
具体的に言えば、足を蔓に捕まれグルグルだ。
見るだけで気分悪くなる。

「まだまだか…………。いつかリベンジに行くからなぁ~~オェェェ!!」

「レン、ほ、ほら無理するから」

発言だけ見れば、再会の約束の為に負けるの分かってて戦ったって感じでかっこいいが、嗚咽をしながらヘテラさんに介護されている様子はとてもカッコ悪い。

「ふっ、まあ、いつでも挑戦受けてやるわ。」

でも、ヒスイも再会の約束に結構嬉しそうにしてる。
ヒスイにもうちのパーティー以外の交遊関係が出来て良かった。
案外将来、ヒスイもレンとくっついたりすることがあるかもな。

「それはないですよ。それ…………、間違ってもヒスイの前で言わないですくださいよ?………………それに理解して無いわけ無いですよ?」

心の中をリリアに読まれた。
案外お似合いだと思うんだけどなぁ。
あと、最後のやつは黙秘。

その後受付嬢の皆さんにも挨拶し、最後に鬼灯亭の二人に挨拶をして、ガレンディアを発った。

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