クラス転移で仲間外れ?僕だけ◯◯◯!

TNKt_k

235話 偵察

「おいゴラァ!!さっさと出ねぇとこの場で殺しちまうぞ?」

「っ!ふざけんな!」人を攫っておいて何て言い草だ!」

「止めようよカリム!殺されちゃうよ!」

ここは人攫いの人達の野営してるテント。
私達以外にも人攫いの人達につかまっている人族の女達がいるけど、みんな下を向いて無言でうつむいてる。
みんな攫われてきたからいつも落ち込んでいるけど、今はいつもよりさらに空気が悪い。
それは今あそこで文句を言ってる男の人の末路を知ってるから。
ここにいる攫われてきた人族の女の人は基本的に最初二人以上で捕まってる。
でも今はその時一緒に攫われてきた人はいない。
なぜなら捕まった次の日に共に連れ出され目の前で殺されたから…………。
そしてそのまま目の前で見せつけるように、判別がつかなくなるまでその死体をバラバラにするって聞いた…………。
それで連れるまでは、逃げて帰るという顔をしているのに、帰ってきたときは絶望した表情になっちゃってる。
一度人攫い達の目を盗んで逃げたお姉さんが居たけど、すぐに見つかって連れ戻されてきた。
その人はその日から二日間人攫いのテントから出てこなかった。
夜中十痛みを訴えるような絶叫が聞こえてきて、二日後に帰ってきたころには片腕が無くなってて、虚ろな瞳であまり話さなくなってしまっている。
それ以降私たちの中で人攫い達の意向に逆らうことはタブーになった。

「…………ねぇ、ソミアちゃんあの人…………。」

「……うん…………。でも…………。」

隣には攫われてからずっと一緒にいるチャロちゃん……。
今は人の心配なんてできない。
私も怖いけど………はチャロちゃんよりお姉さんだから必ず守ってあげないと。

「‘‘**>?*+km{`(&#”!{{}。」

なんだろう?
人攫い達が騒いでる。

「おい!おまえらはここにいろ!」



〈二キス視点〉

「空から見るとかなり見えますね………ですが………いませんね…………。」

「それで二キスちゃんはどんな風に守ってくれるの?」

「二キスの[影魔法]にかかれば、下からの魔法攻撃も防げます。それに今は[影魔法]最も強い時間帯、光が強ければ強いほど、影は濃くなりますから。」

二キスの影を操作しながら答えました。
地上から50m近く上空ですし弓矢は脅威にはなりません。
[影魔法]は名前を聞けば暗い系の魔法で夜に真価を発揮しそうですが実際は逆、周囲の光が強ければ強いほど強くなる魔法なのです。
今は昼時、並みの魔法攻撃ぐらいでは二キスの影を突破できません。
問題があるとすれば、今の二キスは空中で操れる影は二キスの影しかなく、使える影の体積がかなり少ないことですが…………まあいざとなれば強引に何とかします。

「っ!この匂いは……焚火の匂いです!」

「どっちの方~?」

「あちらです!」


匂いの方に数分飛び続ける半径10m程の範囲で適度に木々が伐採されている場所が見えてきました。
完全に木を切って広場にしている訳ではなく、少し木を残しているところがいかにもって感じです。

「あれで間違いなさそうですね~。できれば攫われた人たちの状況も確認したいところですけど…。」

「何かあれば守りますし、もっと近づいてもいいですよ」

「りょ~かい♪」

かなり近づきましたが女性の姿は見えませんね。
もちろん猫人族の姿は見えません。

「まあそれでも、あの集団で間違いはないでしょうけど………。」

「っ!なんか急に人がいっぱい出てきたよ?」

下の方では慌ただしく人がテントから出てきてこちらを見上げて来てますね。
あっ……弓を…………。

「二、二キスちゃぁ~ん!?大ピンチだよ?矢が!矢が!」

「任せてください[影操作]!」

「矢を射ってきましたし確定ですね。」

「ね、ねえ!次は魔法が!」

矢が効果がないと見たのか[火魔法]が飛んできています。
しかもかなりの広範囲・高威力………。
本来二キスのスタイルは回避からの奇襲って感じなのですよね。
どちらかというと守るのはラズ姉の本分なのですよね。
まあ、ラズ姉は残念なことに人の言葉を話せませんないから意思疎通に困るだろうし、案外結構思いから二キスが適切なんだろうけど。

「降ります。美月様を呼んできてください。」

「も、もう呼んでるよ。私は少し離れる……よ?」

「わかりました。」

そう言いながらフィヤさんの背中を降ります。
そして直ぐに[擬人化]を発動し、下から迫ってきていた[火魔法]を短剣で切り裂き地面に降り立ちました。



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