クラス転移で仲間外れ?僕だけ◯◯◯!

TNKt_k

226話 閑話引退Cランク冒険者の引率

俺の名前はラッド元Cランク冒険者だ。
15歳から冒険者になってからゆっくり冒険を進め、30歳でCランクになった。
Cランク冒険者と言えば、ようやく二流の冒険者になれたという所、このまま一流の冒険者になれると思っていた
しかしそれから8年間ランクは上がることも無くセンスのある後輩は瞬く間に俺を抜いてった。
クエスト達成率はせいぜい70%、レベルは36でここ二年変化はない。
同期の奴らは20%は死んで、30%は怪我が原因で引退、30%は歳で引退、10%はBランク以上冒険者の一流の冒険者に、そして残った10%が一週間までの俺。
40歳も間近に迎えながら夢を追いかけていた。
しかし一ヶ月前ある日、突然現れた新人冒険者はたった数日でDランク冒険者になって、Cランク進級クエストさえ受けようとしていた。

俺が何年もかけてようやくたどり着いた場所にたった一ヶ月でたどり着いた彼らに嫉妬した。
しかしそれと同時に限界を知った。
このまま一流の冒険者死ぬまで冒険者として生活したとしても、レベルは10も上がらないだろう。
そんな強さではBランク冒険者になったところで埋もれて消えるだけだろう。
それを理解してから冒険者を止めた。
すると冒険者ギルドから知識を買われて新人育成指導をすることになった。
そして前々から良い雰囲気だった近くの旅館の宿娘と結婚した。
9歳年下の姐さん女房に尻に敷かれながらも暖かい日々を送っている。
しかし新人達を見ていると時々眩しく見えてくる。
俺が諦めた未来を頑張って手に掴もうと頑張っている後輩達の姿が……。
今日の後輩は獣人で噂の新人冒険者達のパーティーの一員らしい。
一体どんな可能性を見せてくれるんだろうか。

「サクッと倒してマスターの所に戻りましょう。」

「私も及ばずながら手伝わせて頂く。」

新人にありがちな慢心だ。
ゴブリンを舐めてかかるのはミスだ。
確かに単体ではかなり弱い。
だが!ゴブリンの新価を発揮するのは武器を使った集団戦。
剣を持ち前線支える個体、弓を使い中距離から牽制する個体、そして遠距離から魔法で殲滅する個体、他にも攪乱する個体などたくさん居る
そして何より恐ろしいのは群れのためなら少しの犠牲は躊躇わないと言うこと。
死をも恐れぬ決死の特攻に狂気し、そのまま実力を発揮できずに死んでしまう冒険者も少なくはない。
相手の数を見て不利だと思ったら直ぐに撤退すること。
それが23年の冒険者生活で学んだことだ。

「街の西側でしたね行きましょう。」

そう言った瞬間に二人の少女の姿がかき消えた。

「なっ!」

そう思ったがただ移動しただけだった。
西側を見てみると彼女らは俺を待っているようだ。
こいつは……ただの新人じゃねぇ。
だが、俺も一度はCランク冒険者だった男、そう簡単に新人に負けねぇ。
俺も全力で走るが、それでもこの二人を抜けねぇ。
こいつら少なくとも新人クラスの実力じゃ有り得ねぇ速度だった。

「この臭い匂い!ゴブリンです!」

そう黒髪の猫耳少女が言いその方向に駆けていく。
そして茶髪ので強気そうな猫耳少女はそれについて行く。

「お、おい!油断するな様子をみてか……」

俺は注意をしようとしたが言おうとしたころには二キスと呼ばれていた少女は、ゴブリンが居るらしい方向に向かって走っている。
まあ、今日のクエストならおそらく危険は無いだろうが、いつかは危険かもしれない。
俺の同期もセンスが有る奴から死んでった。
生き残ったのは僅か運良く生き残ったセンスの持ち主、天才の中の天才、そして安全に逃げた俺ら。
いずれも少ない人数だ。

「おい!しっかり遠くから確認しながら行動し……っ!?」

おいおい!
ゴブリンの群れかと思ったらこいつはゴブリンの上位種の混成集団じゃねぇか!
あれはナイトゴブリン!それにシャーマンゴブリンにマジックゴブリン、アサシンゴブリンまで居る。
そしてオマケに奴らのボスはジェネラルゴブリン、Cランク級の魔物だ。
俺でさえ1対1での討伐は厳しい!
おそらく数日前に討伐されたゴブリンの群れの取り逃がしは偶然じゃねえ!
奴らがこっちの戦力を見るために送り出した捨て駒だったんだ。
そして予定通り群れは壊滅し、奴らの群れの本体に俺らの戦い方を教えてしまった。

「おい!一旦引くぞ!」

「どうしたんですか?目標のゴブリンですよ?」

「あんたが行かないなら私達は先に行くぞ?」

「ちょっ!待てっ!」

クソッ!
俺の制止の声も聞かず二人の少女はゴブリン達に向かっていった。
これだからなまじ力のある素人は手に負えねえ。
実力に経験・知識が見合ってねえ。
相手がただのゴブリンじゃないってことを理解してねえんだ。

ゴブリンの群れは二人の存在に気付き慌ただしく動く。
もう……手遅れだ。





「クラス転移で仲間外れ?僕だけ◯◯◯!」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く