クラス転移で仲間外れ?僕だけ◯◯◯!

TNKt_k

213話 契約

流石にこのままレッドオーガ達を樹海で受け入れるのはリョンさん達に負担を掛けるだけになる。
食糧問題を何とかしつつ、更にリョン達獣人がメリットとなるなにかがなければ。
レッドオーガ達に何か特技があればいいんだけど………。
農耕………はどう考えても適してないだろうな。
あとは狩りとか?
いや、そもそも森の中から食糧がなくなって困っているとリョンさんが言っていたから食糧に成りうる魔物が居ないということ。
レッドオーガ達が狩りをしてしまうと余計に食べ物に困ってしまう。

「鬼幼女。何か特技とかないのか?」

「鬼幼女?なんだそれは?………!あたしのことか!?」

「そりゃ、お前以外いないだろ?それより何かしらないのか?」

「それよりだと!?…………甚だ不本意だがいいだろう。………あたしらレッドオーガの特技に関して言えば力。それだけだ。」

それだけかぁ~。
そんな胸を張られてもなぁ。

「レッドオーガ達が戦闘力があるなら獣人族の仲間としてセレン聖教国と戦ってもらえばいいんではないですか?この樹海で暮らすのなら樹海を襲うセレン聖教国は共通の敵になるでしょうし。」

そんなアイデアを出したのはエミリアさんだった。

「確かに………、それなら一考の余地があるかもしれん。」

リョンさんもさっきまで取り付く隙もなかったが、今は話を聞いてくれそうだ。
それとは反対に声を大にして異論を言う人がいる。
その人物はやっぱり………スィヨンさんだ。

「首領!なんのつもりですか!?」

「現実を見ろスィヨン。我々獣人族はセレン聖教国との戦いで疲弊していて、戦争に勝つどころか戦闘の維持さえ限界に近い。そこにレッドオーガが加わってくれるなら多少の不便は目を瞑るべきだ。許せないのも解る。許してやれとは言わない。たがレッドオーガ達が我々に益をもたらしてくれるということを理解してくれ。」

「…………。」

スィヨンさんはリョンさんの言葉を聞き、返す言葉を無くす。

「とはいえ戦ってくれるのなら無条件で許すという訳でもない。群れの長であるお前が死んだときのリスクの話もあるしな。だが、その話には大変大きな利益があるのも理解した。近いうちに我々獣人族達の主だった氏族の長の会議がある。そこにお前を連れていこう。せいぜい自分達の価値をアピールするんだな。」

「本当か!?」

「取り敢えず、具体的に話が決まるまでは人を襲わず、普通に暮らしていてくれればいい。また呼びに来る。」

猫人達と鬼幼女の交渉は何とか成功したようだ。
あんな幼女を殺すような羽目にならなくて良かった。

「そういえばフイルミナさんはこんな結果で問題なかったですか?冒険者ギルド的に魔物を殺さないと言うのは問題ない行為なんですか?」

「ふーむ。流石にBランクにそこまで詳しいことは解らんが、西大陸の聖国には聖竜が住んでいたりするらしいし大丈夫何じゃないのか?一応ギルド長に報告して対応が決まるまではみだりに人に話さないでくれれば構わないだろう。」

「へぇー。」

聖竜かぁー。
カッコいい見た目なのかなぁ。
気になるわ。いつか見に行けたらいいが、取り敢えずガイドミル王国に用事があるし、西大陸はそのあとになるだろうな。

「なぁ。黒髪。白髪。お前ら名前は?」

「?美月だ。」

「私はリリアといいます。」

「そうか。お前らのお陰で助かった。特に美月があの時あたしを生かそうとしてくれてなかったらあたしらレッドオーガは終わってた。リリアもありがとう。」

さっきまでの強いな態度は何処へ行ったのやら真剣に感謝された。
相変わらず口は悪いけど。

「まあ、僕らはこの樹海とはあんまり関わりがなかったから、言えたことだよ。正直言って獣人族達にとっても、レッドオーガにとっても重要なことなのに簡単に決めすぎた。特にリョンさん達猫人族のみんなには申し訳ない思いだよ。」

「それでも助かった。感謝している。だから今度はあたしが貸しを返す番だ。召喚契約をしょう。」

「召喚契約?」

「知らんか?召喚契約は召喚魔法で魔物を呼び足すために、最も手軽に出来る契約の一つだ。」

「ほうほう。」

召喚魔法。
使役獣とは違うものなのか?

「魔物を使役獣にする使役契約と違い、召喚契約は魔法よって別の場所にいる魔物を呼び出したり出来る。だが、召喚し続けるのにMPを消費し続けるからデメリットもある。そして魔物側が召喚に応じなければ召喚出来ない等の難点もあったりする。使役契約程ではないが支援魔法や聖魔法の効果が大きくなる効果もある。」

なるほどな。
使役獣と違って常に一緒に行動は出来ないと言うことか。
遠くから召喚出来るのは凄いメリットだけど、MPを消費するんじゃなぁ。
て言うか使役獣だと聖魔法とかの効果上がるの知らなかった。

「分かった。召喚契約ありがたく結ばせてもらうよ。」

「では早速名前をくれ。」

「名前がいるの?」

「ああ、一般的な召還魔法では個体識別のために名前が必須らしい。」

うーん。
こうなったら気合いいれて名前を付けなければ。
赤色の髪の毛………レッドオーガ………赤い目。
ルビー………ルビ?
いや、[鬼力]を使った時は赤というよりは紅だったから………くれない………レナ?

「また始まりましたね。マスターの名付けタイム。」

「何ですかそれ?」

「美月様は名付けにこだわりがあるらしく毎回悩んでおられるのですよ。一緒懸命名前を考えてもらってあの鬼娘を幸せですね。」

「そうかな?私の名前を考えた時もだけど多分、単にしょうもないこだわりがあるだけだと思うけど………。」

「ヒスイ!マスターに何てこと言うんですか!」

「だって本当のことじゃん、」 

外野がうるさい。
良いじゃんか!折角、鉱石・宝石で名付けしてるんだからこだわっていきたいのが男の本能。
………紅……紅………紅………紅色と言えば薔薇とかが一番最初に頭に浮かぶなぁ。
よく考えてみればトゲとかも、この鬼幼女を的確に表しているかも?棍棒とか持ってるし、角あるし、好戦的だったし。
でもなぁ。
折角の鉱石・宝石縛りなのになぁ。
………そう言えばローズクウォーツとかローズナイトとか、ローズを名前に含む宝石もあったような………。
決まりだな。

「よし、今から君の名前はローズ。深紅の赤を持ち、美しくもトゲのある可憐で大輪の花。」

「ありがとう。あたしの名前は今からローズ。これからよろしくね。」

ローズが僕の手を握ると何か魔方陣の様なものが手の甲に浮かび消えた。
ステータスを確認すると魔法欄に召喚魔法の欄が増えており、そこに[鬼召喚(ローズ)]の文字があった。 

コメント

  • TNKt_k

    昨日も投稿していたんですが、どうやら上手く投稿出来ていなかったらしい。
    ってことで今日は二話投稿してます。
    お気をつけてください。

    0
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