クラス転移で仲間外れ?僕だけ◯◯◯!

TNKt_k

197話 合流

「おい、まさかその娘お前のところのシャドウキャットなのか?」

ビルさんに訊かれる。
ヘンリーさん・ミレオンさんも返答をまっているようだが…………。
[擬人化]のスキルを持っている魔物は少ないがいない訳じゃないらしいしそこまで驚くとは思わなかった。

「ええ、うちのニキスは[擬人化]を持っているので。」

「お、…おお!!おおおおお!凄い!凄いぞ!初めて見ました!是非!観察させてもらえませんか!!?」

ミレオンさんが興奮している。
その様子に疑問を感じているとヘンリーさんが真剣な顔で言った。

「[擬人化]を使える魔物は超貴重だ。尚且つ[ティム]されてる奴なんてそうそういない。そもそも[擬人化]を魔物が覚えるには一定の知性と最低でもBランク級の強さがいると言われてる。………もしもあの娘を売ろうとしたら城が買えるくらいの値段だぞ?………今回は助かったが、あの娘を大切にするなら迂闊に[擬人化]を使わせないか、常に[擬人化]を発動させた状態で獣人ってことにしとくことをオススメするぞ。」

「マジですか…………ニキス一人で城………。今度からは常に[擬人化]させとこうかな。忠告ありがとうございます。」

ミレオンさんはニキスを研究したいらしく、熱烈にアプローチしているがどうやらニキスに嫌われたらしく落ち込んでいる。

すると、木々の奥からまた別の魔力を感じる。
警戒しているとそこから現れたのはフイルミナさんとリオガンさんパーティ………あとは……獣人族か?

「無事で良かった……。彼らは大丈夫か?」

「フィルさんも無事でしたか。まさかいきなり襲われるとは思いませんでした。正直言ってヒスイさんとニキスさんが居なければ私はもうこの世に居なかったでしょう。相手も無傷で全員捕縛してしまいましたね。」

「そうか、それほどの実力だったとはな。」

「それでそっちの彼は?」

「彼の名前はリョン=テェン。猫人族の中のタミスという群れの首領らしい。彼等はここダレン王国近くで仲間を拐われたらしく気が立っていたらしい。命を狙われた以上許してやれとは言わんが、我慢してくれ。」

人拐いか。
仲間を拐われたとあれば森に侵入してくる人間に敵意を持っていてもおかしくない。
まあ、僕らは怪我もなく危うげなく戦えたし、今回のことは水に長そう。

「まあ、私自身は怪我もないですし構いませんよ。それにしてもこの国で獣人族を拐う人間がいるとは恐ろしい話ですね。盗賊や傭兵崩れの類いの仕業と言ったところでしょうか………。」

「幸い彼等もガレンディアに報復する気はないらしいが、願いを二つほど聞いてほしいらしい。一応報酬代わりに魔物の素材をくれるという話だ。ひとまず話だけでも聞きに行くべくタミスの集落にいく予定だ。ランクアップクエストに関しては森を抜けるまで継続して続けるものとしよう。」

元々ただのランクアップクエストだったのにキナ臭い話になってきたな。
まあ、猫人族の集落というのも興味があるし、何より猫耳美女を堪能したいが、こっちに殺気がバンバン飛んできてて癒されるとは思えないんだよな。

「な!まさか首領!人間を我々の集落に連れてくるつもりですか!」

声を挙げたのは先程1番最初に攻撃を仕掛けたスィヨンと呼ばれた猫人。
その他の拘束されている猫人も不満の表情を見せている。

「そのつもりだ。あの問題は今の我々ではどうにもならない。人間の力がいる。」

「人間の力などいらぬではないですか!」

「タミスの民の中でも腕利きの私とお前を選出したパーティーでも勝てなかったのだ。他の連中を集めても無理だろう。」

「であれば、他の氏族に応援を頼めば…………我々獣人族の力を集えば対応出来るはずです!」

「分かっているはずだろ?今は我々獣人族はセレン聖教国の連中と戦っている。そんな今、樹海の反対側のこの辺りにいる氏族など戦いが出来ぬ氏族か、我々のように戦争で男手を失い滅びの道しかない氏族しかいない……………。そんな彼等に助けなど期待出来るはずもないだろう?」

猫人族首領のリョンが諭すような声でスィヨンに言った。

「それは…………。」

その言葉に猫人達の空気が重いものに変わる。
確か何時だったかビルさん達が、セレン聖教国との戦争はもう少しでセレン聖教国の勝利で終わりそうだと言っていたが確かにそうらしい。

「もう我々の氏族はかつての力はない………。人間を頼ることでしか存続できない。分かったら暴れるな。…………すみませんが彼女らの拘束を解いていただいても良いか?」

「仕方ないわね。もう襲ってこないでよ?」

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