クラス転移で仲間外れ?僕だけ◯◯◯!
193話 閑話 フイルミナの考察
「くそが、こんなんでランクアップ失敗になったらどうするんだよ。」
このリオガン率いるパーティーは、腕前に関して言えばCランクに値するものがあるだろう。
これまでC・Dランクの魔物との戦闘もなんなくこなしている。
その点から戦闘力は問題ない。
だが、それ以外はどうだろうか?
自分のパーティー以外との協調性も低いし、先程からお金になるであろう植物や小昆虫を見逃しているしな。
まあ、それだけが全てではないが肝心の魔物に関しても、先程から運のみで場所を探ってる。
魔物の位置をスキル、或いは経験や知識で発見する。それも大切な事だ。
魔物の位置を知ることで不意な遭遇や格上との戦闘を回避する意味もある。
今回は可哀想だけど、ランクアップは難しいかもしれん。
「ちっ、こうも魔物に合わないとなぁ………。場所を変えるか?」
そんな私の思いを裏腹に彼等は魔物との遭遇が無いのをただの運と片付ける。
それにしてもなぜここまで魔物に遭遇しない?
大樹海と言えば魔物の宝庫、二時間も探索してたった三度しか戦闘がないなんて………。
こんな時にテッシィとミレオン、他の待機組のメンバーが居れば、リオガンの護衛をさせて単独での索敵・周囲の状況確認が出来るんだけど………。
本音を言えば、一度ここから逃げて別の方向に行きたいところではある…………。
だが、その判断を私が下すのはこのランクアップクエストの目的にあってない。
出来れば、彼ら自身が撤退という判断を下してくれると助かるんだけど………、それなら危機察知能力という点での評価も出来るし。
「もう少し奥まで進むか?俺らなら問題ないだろ。」
!?
ただでさえ不安が残る状況なのにここから更に奥に!?
「待って!これ以上奥にいかれると私もいざというとき貴方達の命を保証できない!」
「あー?なんだよ試験官様?このまま魔物に会えずクエストが終わったら、てめえ責任取れんのか?」
「こんなに魔物に遭遇しないなんておかしい!ここは一旦引くべきだ。」
「命を張れずに何が冒険者だ!?腰抜けで運良くBランクになった分際で口を出すな!」
っく~~!!
こっちがお前らのためにわざわざ止めてやったのに!
もし何かあって助けんぞぉ……。
!
殺気!
この感じは魔物じゃない!
これは緊急事態だ。
「おい、お前ら!止まれ動くな。」
「!?なんだよ急に?」
急な私の声に不思議に思いながらも、リオガン達は動きを止める。
目にも、耳にもなにも異変はない。
殺気まであった殺気も勘違いと言わんばかりに消えた。
普通の冒険者なら勘違いだと思うだろうが、私は[魔力探知]を持ってる。
この能力なら周囲の魔力反応を大まかに探知できる。
五感ではなにもおかしいところが無いのに、周囲約20mの範囲に魔物以外の魔力反応が4つもある。
魔物が居なかったのは彼らの集落が近くに有ったからか?
くそ!このバカパーティーがもっと慎重に探索してればこうはならなかったのに!
いやまだだ、彼らとは不可侵だしなにも手を出さなければ、戦闘にならずに抜け出せるはずだ。
取り敢えず念のために、保険を使っておくか。
「すまない。君達の生活圏を脅かすつもりはなかった。直ぐに帰るから許してもらえないか?」
「あ?誰に言ってっっ!?」
リオガンが困惑しながら訪ねてきたが、森の木々の間から一人の人が現れたことで言葉が止まる。
そして、現れた人の頭には耳、尾骨からは尻尾が生えている。獣人族だ。
「リオガン!武器は構えるな!今は私の指示に従え!」
突然の出来事にリオガンパーティーは武器を構えようとするが、注意する。
…………見た目から察するに獣人族の中でも猫人族だ。
遭遇したのが猫人族で、まだ運が良かったのかもしれない。
好戦的な狼人族や虎人族なら、対話のチャンスがないが、猫人族なら話が通じる。
「お前たちは、何をしにここに来た。」
よし!やっぱり彼らには対話の意志がある!
「私達はここに魔物の討伐と食べ物採集にきた。」
「悪いが信用できない。だが、もし君たちが武器を放棄して逃げるなら、敵対の意思はないと判断する。」
 
ちっ!
仕方ないか。
武器は買い戻せるが、命には変えられない。
私単独なら彼らと戦闘しても余裕で逃げ切れると思うけど、リオガン達を連れて逃げるのは無理臭い。
そんな私の思いと裏腹にリオガンは怒気を発する。
「ちっ!こっちが下出に出てりゃ調子に乗りやがって、相手は一体だ囲っちまえば問題ねぇ!!」
リオガンの言葉に彼らのパーティーメンバーが武器を抜く。
ばっ!
奴等は他にも隠れてんだよ!
それを合図に木々の中から彼等の仲間が出てくる。
「やはり本性を表したかこの人間共!貴様らごときにこの森は奪わせん!」
「奪われた仲間のためにも死んでもらう!」
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閲覧履歴間違えて削除してしまった
殺気まであった殺気になってますよ、間違ってなかったらすみません