クラス転移で仲間外れ?僕だけ◯◯◯!
164話 終幕
《………………。》
レディアと子竜は向かい合って話をしているようだが何を話しているかは翼分からないからいきなり攻撃される可能性もない訳じゃない。
「お疲れ様です美月様。そちらの方はどうでしたか?」
「いや、ソロで空中戦ならヤバかったかも。そう言えば、あのラズリのスピードはリリアのお陰でしょ?ありがとう。助かったよ。」
「あぁ!お力になれたのなら良かったです。私の筋力値による投球力と、ラズリの形状変化によるホーミング能力さえあれば空中の的に当てるのは勿論、目に見えない敵にも動かれなければ百発百中ですよ。」
なるほど、よくあんな遠くからウィンドワイバーンの翼膜に当てたなぁ。と 思っていたがラズリが軌道修正していたわけか。
「美月さん!こっちは気が気でなかったんですよ!? 龍さんの機嫌は悪くなっていく一方でしたし、胃が痛かったです。」
そう言ってきたのはエミリアさんだ。
正直申し訳ないが戦闘でまともに戦ってなかったし存在感薄かったなぁ。
「そりゃごめん。でもこっちもなるべく早く助けてきたよ?子竜を無傷にするために、代わりに僕が怪我したんだよ?」
そう言って脇腹の所を見せる。
怪我は[状態異常妄想(再生)]の力で治している途中で中々エグい見た目をしている。
「ちょっ!………その……見せないでくださいよ。………こんなこと言っては失礼かもしれませんが見ていて辛くなってきます。」
まあ、数ヶ月前まで王女様だったわけだし、こんな傷見たくないだろうな。
てゆーか僕もあんまり見たくないし……何て言ったら良いか……胸がキューッと締め付けられるような感覚に囚われてしまう。
そんな話をしているとレディアの方は話が終わったようでこちらに向き直った。
《余の娘が世話になった。》
「いや、まあ構わないよ。幾らなんでも生まれたての子供が殺されるのを見過ごすのは、しのびないですしね。」
それは良いから!
戦いを止めると言ってくれ~~!!
《早速、戦いを再開しよう。》
さすがにそこまで都合良く気を許してくれないか。 
《………と、言いたいところではあるのだが………、我々は誇り高き龍族。家族を助けてもらった相手を蔑ろにすることは家族を蔑ろにするに等しい…………。》
おお!
と言うことは!!
《………お主らと戦って強さも理解できた。何者かに拷問・洗脳されてしまう程弱くなさそうであるし、人柄もそこそこ信用に足るだろう。お主らのせいでこの島に存在が世に明るみになるリスクも少なかろう。…………もしも何かあって島や世界樹の存在が人族に知られても娘を助けた結果。甘んじて受け入れよう。》
「じゃあ、僕らは島を出ても良いんだな?」
《ああ、構わん。………あとこれを小僧………ではないな名をなんと言う?》
「僕か?僕は美月輝夜だ。」
《そうか、それでは美月輝夜にこれを渡そう》
そう言って体を震わすと一枚の龍鱗が落ちてきた。
30cmくらいのサイズだろうか?
そしてレディアは鱗に手をかざし力を込めるようにしたあと僕に渡してくる。
「……これは?」
《余の鱗だ。余の力を込めた。余はレヴィアタンでもかなりの地位におるゆえこれを見せれば、ほぼすべての水龍とセイレーンの一族は友好的であろう。必要があれば使えばよい。》
おお!
凄いなぁ。
これで航海中に他の水龍に襲われるリスクは無くなったわけだ。
?……てかセイレーンって?
《セイレーンが気になるのか?………奴等は魔族の一種で上半身は人に酷似しているが、下半身は魚という変わった奴等だ。奴等は陸に上がれば様々な種族に襲われるゆえ、我らの僕となることで他の外敵から身を守っているのだ。》
「あー、人魚のことか。」
人魚かぁ。
いつかチャンスがあれば見てみたいもんだなぁ。
だけど………魔族なのか…………狂暴な種族じゃないと良いけど……………。
《ん?人魚とはマーメイドのことであろう?確かに見た目は似ておるがあれらはセイレーンとは別物であるぞ?》
え?
セイレーンとマーメイドってどっちも人魚で同一のものじゃないのか?
《セイレーンは魔族だが、マーメイドは亜人族つまり人に近い種族だ。その他にもマーメイドは主に植物や海藻を食べるが、セイレーンは雑食で、陸地にいる大型の魔物を海中に引きずり込んで食べたり、昔は人間も食べていたようだ。あとは牙もある。》
やべ!
セイレーン怖すぎ!!
牙かぁ~~。
「出会うならマーメイドがいいなぁ。」
《奴等は仲が悪いからゆえ、間違ってもマーメイドに余の鱗を見せようものなら魔法で袋叩きにされるかもしれぬの。よくうちのセイレーンが「あの無駄乳お化けどもめ!目の前で気持ち悪い物をぶらぶらさせやがって!あの脂肪噛みちぎってやる!!」と言っておったかの?》
…………何となく分かった。
取り敢えずマーメイドは巨乳が多くて、セイレーンは貧乳なんだろうなぁ。
《まあよい、無駄話もこの辺にしておこう。お主らも行き先があるのだろう?》
そうだった!
準備万端だし、早速島を出よう!
「あぁ、世話には…………なってないな。まあ、又機会があればよろしく頼む。」
そう言いながら[アイテムボックス]から船をだす。
《その………なんだ……余も礼儀に欠いていた悪かったの。》
!
ここに来てまさかのツンデレだと!
そう思うと今までの攻撃も可愛く………可愛く………いや、さすがにないな。
一撃死級の攻撃をポンポン撃ってきたし、その………一応人妻だろうし、そもそも種族違うしな。
「…………キュイキュイキュキュ。」
?
船に乗ろうとしたら後ろから音が聞こえて振り返ると、子竜がレディアの後ろから出て来て鳴いている。
《娘が「怖がっちゃってごめんなさい!助けてくれてありがとう」と言っておる。》
「気にしないでくれ。短い間だがとても………面白かった。さようなら」
………………。
だんだん島が遠くなっていく。
「あぁーあ。世界樹と島が遠くなっていくな。」
ヒスイが珍しく声を沈ませて独り言をしている。
「後悔してるのか?」
何をとは言わない。
「いや!最後のお別れと再開の約束をしてただけ!さようならお母さん。また帰ってくるからね!って!」
船はエミリアの指示の元、大陸に向け進んでいく。
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