105話 行動方針

今から森に入って薬草なんかを探してみてるってのも無しではないが………。
仮に薬草が手に入ったとしてもただの薬草を素材にしたアイテムがエクスヒールポーションとかみたいな再生効果のあるアイテムになるとは思えない。
せいぜいヒールポーションが限界だろう。
エクスヒールポーションが創れる可能性も０ではないが、その限りなく０に近い可能性しかないことに一回しか発動できない貴重なスキルを使うわけにはいかない。
そもそも薬草が見つかるかなんて分からないし。

「クッソォ～。せめて怪我をしたのが僕だったら………………。」

怪我をしたのが僕だったら[状態異常妄想]で再生の状態異常にして回復できたのに………自分にしか使えないなんて使えないにも程がある！
いや？別に自分だけというわけでもないのか？
ラズリやニキスのようにティムした魔物には使えるわけだし………………。

そういえば[ティム]のスキル効果はどんな感じなんだ？
もし、人間もティム出きるならリリアさんに再生の状態異常を掛けることができる。
女の子をティムするってなんか犯罪チックではあるけど、そこは後で謝ろう。



ティム

スキル保持者の種族以外の種族を配下の存在にするスキル。
スキルによってティムされた生物は自由意思を持っており、無理やり行動を制限することは出来ない。
稀にティムした生物の感情が保持者に伝わってくることがある。
※人族の場合は(人間・魔人・亜人)以外の種族をティムできる。


そりゃ、流石に人間をティムすることは出来ないか………………。
うーん。
もし、リリアさんが魔物だったらティムは出来る………………。
だったらオーガの血丸薬は使えないのか？
効果は


使用者の筋力値を飛躍的に高める。使用時は他者の魔素が体に侵入してくるので体に拒否反応が出て痺れがでる。更に自らの血を使ったオーガ以外が１日に２粒以上使うとオーガの魔素の汚染が進行し、体が魔物に変質して最終的に死ぬ


体が魔物に変質して最終的に死ぬ…………か。
死んだんじゃ元もこもない。
これじゃ駄目だな。
それにオーガはそこまで知能が高い魔物じゃない。
魔物になってしまったリリアさんがどんな影響を受けるか分からない。
恐らく、体が全て魔物に変わってしまう訳では無いと思う…………恐らく魔物と人間の混血みたいな感じになるんだとは思うがそれはあくまでも予想に過ぎない。
もしかしたら完全なオーガになってしまうかもしれない。


だが、このアイテムに対して[アイテム創造]を使ってはどうだろうか？
このアイテムを命の危険がなく、魔物化させるアイテムに変える。
[アイテム創造]を使えば、元のアイテムよりレアなアイテムが創れられる訳だから、恐らくオーガより更に知性が高い種族になれるアイテムになるはず………………恐らく………………。
一般的に人型の魔物は高位の魔物に成れば成るほど、知性が高くなる本に書いてあったし。
そして、[アイテム創造]素材となるオーガの血丸薬と、親和性が高くて、レアリティの高そうな素材もさっき見た。

だが、こっちも成功の可能性は限り無く低いだろう………………。
さっきの薬草から再生効果のあるアイテムを創るのと同程度には難しい成功確率の筈だ。
望み通りのアイテムが創れるかも分からないし、そのアイテムを使ってもリリアさんが物言わぬ魔物になってしまう可能性も十分考えられる。
だがこれ以上の方法が思い付かない。

取り敢えず、薬草に[アイテム創造]を使う方法と、オーガ血丸薬に[アイテム創造]を使う方法の両方を準備しながら、ついでに一応万が一の可能性に賭けて、周囲に人が住んでる痕跡が無いかも探しておこう。

じゃあ、まずはオーガの血丸薬に[アイテム創造]を使う準備をするとしよう。

「リリアさん。必ず貴女を救ってみせます！」