武士は食わねど高楊枝

一森 一輝

2話 貴族の園(2)

 教壇に立つその男性――おそらく教官に、総一郎は見覚えを感じた。というか、数日前にあったばかりだ。これで忘れていたら、健忘症に間違いはないだろう。
「ワイルドウッド先生じゃないか」
 ぽつりとつぶやく総一郎に、ギルが「もう教師の名前を覚えたのか」と感心したように言う。ワイルドウッド先生は、変わらず存在感をあまり発しない柔和な表情で「では、規定説明のミーティングはじめます」と声を響かせた。
 説明は淡々としていたが、後半、場所を移して受けたタブレット、亜人の討伐、聖神法の取得方法などの内容は、なかなか興味深い物だった。一つ不満があるとすれば亜人を討伐せねばならないという事だったが、こちらでは魔獣すら亜人と呼称するらしいから、きっとそういう事なのだろうと解釈している。
 タブレットでスキルツリーを開き、いくつか眺めた。しかし自分が既に使用可能な魔法と比べるとどれも見劣りしてしまって、どうにも決め難い。ギルが、「ぼくはもう決めたよ? イチは、どうするんだい」と聞いてくる。「後でにするよ」と肩を竦めて答えた。正直な話、便利なものがあるとは思えなかったが。
 ひとまず、タブレット・スキルと呼ばれるものすべてにポイントを振った。ここに居る中で少しでも武術をかじっていそうなのは一握りだったから、最初はこんなものでも大丈夫だろう。
 そうすると、五ポイントが余る。スコットランドクラスの聖神法は、非常に平易な言い方をすると、RPGの魔法使いのようなものだ。杖から、炎の球を飛ばしたりする。最初のエリアに属性云々を気にするような相手が出るとも思えず、『ファイア・ボール』(あまりにもそのまんまだ)とその発展形を少し取るにとどめた。これで十二分に闘えるはずだ。
 しかし、遮るものが居た。ギルだ。「あの、済まないが」という風に、頼みごとをしてくる。
「ソウイチロウ。ぼくは君とパーティを組みたいと思っているのだが、そうなるとバランスというものが大事になる。そのことは分かるね?」
「え、うん。確かにそうだね」
「それで、こう言っては何なのだけれど、『サーチ』『ハイド』の二つを取ってくれないか? できれば支援してほしいという事なのだけれど……」
 ギルの申し入れに、ふむ、と考え込む総一郎。自分は素手でも、本当に弱い敵なら何とかなると思う。だがギルは見たところ、武術をやっていたという事はなさそうだ。体つきで、そういう事は把握できる。総一郎は「仕方ないな、いいよ」と言って、『ファイア・ボール』に伸ばしていた手を引っ込めて、彼の言うとおりの聖神法を取った。結局攻撃系の聖神法が一個も取れなかったが、それでも気にするほどではない。
 素手で相手をしろと言われたら、少し戸惑う程度の話だ。
 それから残った説明の後に詠唱室と呼ばれる場所に向かった。ここで、杖を持たずに発音の練習をする。このクラスだけ他とは違っているのだと考えされられた。他にも実演室などがあって、そこは実弾射撃場に似ていた。もっと身近に例えるなら、バッターボックスだろうか。
 説明が一通り終わって、多分定型句になっているだろう鼓舞を受けて、その場は解散した。総一郎は、寮の部屋に向かいながら、自分のすべきことを考える。
「えっと……、とりあえず、なるたけ友達を増やせばいいんだっけ」
 相手は日本で言う中学生で、歩きながら、ふむ、と考えた。反抗期の年頃。友達付き合いも難しくなる年代。アイデンティティ模索の時期。
「……悩んでも仕方がないね。大丈夫、大丈夫。気楽にいけば友達百人くらい軽い、軽い」
 前世で友達がそこまで多かったという訳ではないけれど、こういう事は楽観的な方がいいと総一郎は知っている。
「じゃあ、ここでお別れだね。ソウイチロウ。また明日」
「うん、また明日。ギル」
 手を振って別れた。そうだ、と思う。すでに一人、総一郎には友達がいるのである。良いスタートを切っている。それが、総一郎の自信になる。
 寮の、自室に戻った。
 総一郎は、偶然あぶれてしまって二段ベッドが物悲しい一人部屋で生活することになっていた。朝は気にならなかったが、外で行動できない夜は少々寂しい。
 そのため、総一郎は暇つぶしになるものを探していた。持参してきた五冊の本はすでに列車内で読み切ってしまったし、一応持ってきたパソコンもあまり使う習慣がない。これは前世からのものだ。よく同僚に「いいから使え現代人」とどやされた。しかし今の総一郎から見れば彼は十分古代人である。今は亡き彼に合掌。とりあえず聖地の方に向いてぺこりとしておく。
「お」
 整理が途中で止まっているカバンの中を漁っていると、書物が出てきた。何だ、六冊も持ってきていたのかと過去の自分を称賛すると、違和感に気付いて総一郎は片眉をゆがませる。
 『美術教本』と、そこには記されていた。
「父さんの書庫からパクってきた奴じゃないか。そうか、君はこんなところで眠っていたのか……」
 しまった記憶が少々おぼろに残っているばかりのこの書物に総一郎は惹かれて、備え付けの勉強机に向かってページをめくり始めた。なかなか、面白い。そう思い出すと総一郎はぐんぐんと読むスピードを上げていく。読み終わって顔を上げた頃には夕食の時間を過ぎていて、急いで食堂に赴いて職員さんに頭を下げて残りを頂戴したという次第となった。
 貴族の食堂でもすべて美味しいわけではないのだと思わされながら寮に帰ると、談話室に気付いて、こっそりとそこを覗いてみた。そこには何人かの騎士候補生が、テレビを見ながら談笑している。小さい少年とほとんど青年と言ってもいいような年の差のある人物も陽気に話していたため、年齢による格差はないのだろうと見当をつけた。
 総一郎はしかし日本人らしい引っ込み思案を発揮して、入るべきか入らざるべきかを迷い始めた。すると上級生らしい人物に「何を戸惑っているんだ? ……ははぁん? もしかして君は新入生だな? いいだろう、君には特等席だ」とテレビの目の前の座椅子を示される。
「ありがとうございます。いやぁ、下級生が調子に乗ってこんな居心地の良さそうな場所に居たら、ボコボコにされるんじゃないかって心配で……」
「ははは! 騎士学園には年功序列と言うものはないよ。強ければ一目置かれるし、ドン臭かったらそれなりの対応をされる。きみはなかなかジョークが上手いから、ここに座ってもいいんだ」
「なるほど、分かり易い」
 ちょっと生意気かなと思いつつも、そのままふざけた態度を崩さず座椅子に座った。ホームドラマが流れているが、疎い総一郎にとっては何が何やらわからない。
「あれ、ソウイチロウじゃないか」
 そういって姿を現したのは、ギルだった。「やぁ」と手を上げると、彼は先輩の許可を取ってから総一郎の隣を座ってくる。
「君は何というか、どこにでもいるね。先回りされているような気がしてゾッとしないよ」
「むしろ僕がストーカーされているような気がしてくるのが普通じゃない? この場合は」
「勘がいいね」
「何だって、びっくりだ」
 あまりに静かなトーンで冗談を交わし合うから、背後の先輩たちが笑いをこらえている。それに気づいて、二人でにやりとした。結構、彼と自分は似ているのかもしれない。気の合う友達になれそうで良かったと、総一郎はこっそりご満悦だ。
 しばらくテレビ前に居たが、ギルもこういうテレビには疎いとわかって二人で部屋の端に移動した。しばらくは面白かった本の話などをしていたのだが、途中で「それは何だい?」と尋ねられ、自分の手を見る。
「あー、これは『美術教本』って言って、日本から持ってきたものなんだ」
 食堂に行く際に部屋に置き忘れ、そのまま手荷物として持ち歩いていた一品である。それに、「ほぅ!」とギルは感心した風な声を漏らす。
「ソウイチロウ。君は芸術まで心得があるのか。君の博学っぷりには舌を巻いていたけれど、これは庶民にしておくには勿体ないほどの教養だな」
「いやいや。買いかぶらないでくれよ。これは父にもらって物で、最近読んだばかりなんだ」
「ああ、そうなのかい。早とちりしてしまって済まなかったね。ちなみに、読んでの感想は?」
「面白かったよ。実際に自分も始めてみようと思うくらいにはね」
「それは素晴らしい事だ。明日、放課後に画材を買いにいかないか?」
「え、クエストをしに行くんじゃ?」
「いいや、父上から申し付かっているんだよ。先走って狩りに出かけても、クエスト受注で手間取るし、雑魚相手に怪我をするしでいい事なんかないってね。明後日、あるいは明々後日にするつもりだよ」
「へぇえ。なら、僕もそれに従っておこうかな」
「そうしたほうが無難なはずさ」
 肩を竦められ、そう言うつもりならと頷いた。
 翌日の放課後。街に出ると、石造りの建物が多く、中世の色合いを強く残していると感じた。そういう場所は、独特の雰囲気があって総一郎は好きなのだ。靴が石畳を叩く音も気に入った。
 異国の経験があるとそういう細かな違いに目が行って楽しいのだが、ギルは馴染み切っているのだろう。「ずいぶんと楽しそうだね。そんなに絵を描くのが楽しみなのかい」と少し的外れな事を聞いてくる。
「じゃあ、早速探しに行こう。何処なら売っているんだろう。オイ! そこの」
 少々声色を硬くして、ギルは通行人を呼び止めた。最初は怪訝な表情だったその人は、制服から総一郎達を騎士候補生と見て取って、急に畏まった態度を取り始める。画材を売る場所を知っているかとの問いに、彼は肯定を返した。道筋を聞いて、成程と頷くギル。
「ソウイチロウ、聞いたかい。街の少々外れの方という事だ」
「あ、うん……。あのさ」
「ん? 何だい」
 総一郎は微かに眉を顰めながら、ギルに尋ねる。
「仮にもこちらは教えてもらう側なんだからさ、もう少し丁寧な言い方にしたらどうなんだ?」
「……? おかしなことを言うな、ソウイチロウは。ふむ、しかしソウイチロウと呼ぶのは言いなれないな。どうしても妙な訛りが残る。愛称を聞いてなかったね。何て呼べばいい?」
「それは好きに呼んでくれて構わないけど……。おかしなことって、どういう事さ」
「だって、イチ、彼は平民だろう? 僕たち貴族ではないんだ。質問して答えられなかった相手を殴るというのでもないのだから、よく主旨が分からないな」
「それだけで殴る人がいるの!?」
「ああ。父の友人が父の主催のパーティに来た時、酒が入っていたからか我が家のメイドを殴ってね。この時は手が付けられなくて大変だったよ。普段はいい人なのだが」
 考え込むように、彼は顎に手を当てた。そこで、やっと総一郎は実感するのだ。身分差のある社会というものを。
 視線を伏せて渋い表情で居たのをギルに指摘され、慌てて取り繕い、画材を売っている店へと向かった。初心者向けの、描き易い絵の具などを紹介してもらい、それらを購入する。その後、結局目に入った喫茶店で一杯の紅茶を飲んで、総一郎達は寮へと戻った。
 ギルの対応は、もうそういう物なのだと割り切るしかない事なのだろうか。
 日本からイギリスに移って、多くの文化の違いと言う物に遭遇した。郷に入っては郷に従えというから、ある程度は気にせずたのしくやってきたつもりだ。だが、今回の様に割り切るのに時間がかかる事もある。亜人をどうしようもない敵対勢力と見做すのもそうだったし、今回の貴族のそれこれというのも同じだ。
 何故受け入れられないのだろうと、ベッドで寝転びながら考えた。きっとそれは、総一郎が貴族ではないからなのだ。
 友人の冷たい視線が、自分に向けられるのを恐れる気持ち。
 弱い。と声もなく呟いた。こういう時、総一郎の思考は日本語に置き換わる。祖国が恋しいという感情なのか。
 日本の現状は今、闇に包まれている。
 人に成り代わった人食い鬼。元々居た亜人。そして取り残された人々。それらの事は何も分かっていない。日本奪回計画というのも立ち上がっているが、アメリカ人が立ち上げたような物は行ったっきり帰ってこないという話だ。
 そもそも、日本の様に加護の概念がある国は少ない。中国は持っているものの、日本に比べて亜人の絶対数が少ないというのがある。あの国は日本の純亜人の受け入れは一番多かったが、元来あの国に居る亜人は多くが山に籠っていて、加護を授けてくれる親切なものは少なかったのだ。
 アメリカでは、日本人難民の受け入れにほぼ失敗の兆しを見せているという。ただの日本人ならまだ良かったのだ。エルフなどの混血も、初見では分かりにくいから問題は無い。だから難点は、亜人の特性を強く保持したハーフという事になった。
 ――白ねえは、今頃何をしてるんだろう。総一郎は想像する。だが、過去の記憶と混同し、最後には歪んで破綻してしまうのだ。
 その日はまだ、画材に手を付けなかった。
 翌日、総一郎は昨日と同じように素振りをこなし、カーシー先輩――名前で呼ぶのを許してもらった――と軽く雑談をして、シャワーを浴びた。その後気が急いて、誰もいないだろうと予想しながらも教室に足を運んでいた。
 何故なら今日から聖神法を習うのである。教科書は既に配布されていたから、初級呪文程度は暗記してしまった程だ。思えば昔から総一郎にはそういう所がある。端的に言えば好奇心の犬なのだ。
 もっとも、杖の細かい振り方の記述がないから、それはスキルツリーで解放せよとのことなのだろう。今の内に面倒なのを覚えて、実戦ですぐに使えるよう、という配慮なのかもしれない。
 教室内に足を踏み込むと、予想に反して教室には先客がいた。金髪を肩口辺りに短く切り揃えた少女である。よく見れば、顔の横辺りの髪の毛の一部を左右一か所ずつ、三つ編みにしている。自己主張の少なく、趣味がいいなと思いながら少し遠くの席に座った。彼女は本を熱心に読んでいたから、近くに座っては邪魔だろうと思ったのだ。
 やる事もなくその後ろ髪を見つめていると、そういえばスコットランドクラスの新入生代表を読み上げていた子だった。そりゃあ熱心でも不思議はない。と総一郎は興味を失い、昨日と同じように『弱者の円環』を読みだした。
 しばらくすると、「やぁ」とギルが総一郎の肩を叩いた。顔を上げて挨拶すると、他にも二人の男子が総一郎に挨拶する。「昨日談話室で仲良くなってね」と紹介してくれた。それぞれ、ホリスとヒューゴという名前らしい。「よろしく」と二人と握手して、教師が来るまで雑談した。
 ホリスはギルと、ヒューゴは総一郎と相性がいい事が分かった。ヒューゴはあまり格の高い貴族ではないらしく、気取ったところのない総一郎とは話しやすいようだった。ホリスはブラックユーモアが上手く、それがギルの心を射貫いたらしい。スターリンをネタにしたジョークでギルは爆笑していた。随分と古いネタを……。と思わないでもない総一郎。
 そうこうしていると、教師がやってきた。この教室はスコットランドクラスの端だから、恐らく、ヘイ先生だろう。彼は、スコットランドらしい赤毛で恰幅のいい人だった。髭が無く髪も短くて、その清潔感に白いローブと長い木のロッドが良く似合っている。
「新騎士候補生たちよ、初めまして! わたしはワルター・ヘイ。スコットランドクラスにおける、聖神法の教師の一人だ。初めに言っておくが、スコットランドの聖神法は事物干渉のみと、非常に偏っている。その為難しいと思われがちだが安心してほしい。何せ私のような太っちょでさえ習得できるんだ。君たちに出来ない訳がない」
 太っちょのくだりで、数人が噴き出した。総一郎は笑わないまでも、愛嬌のいい先生だ、と口端に笑みを湛えて彼の演説を眺めている。
 だが、ギルは少々不満げな様子だった。「先生」と声を出す。
「仮にも貴方は教師なのだから、己の品格を下げるようなことはしないでいただけませんか? ……それとも、そうでもしないと生徒の心を掴めないとか?」
「嫌な言い方をするものだな、グレアム。だが、わたしが太っちょである事は間違いのない事だろう? 君の父上の様に、もっと寛容になってみるべきだ。彼も誇りを重んじたが、ユーモアを介することは出来た。今の君は潔癖症だ」
 にやり、と人の悪い笑みで、ギルを諌めるヘイ先生。さらりとモントローズ侯爵との関係を漏らすあたり、実力者なのだろうと思わせられる。彼はその後、「では一度、全員の名前を確認しておこう」と名簿を取り出して、生徒の名前を挙げ始めた。
 人数が多いのを知っていた為大丈夫かと眉を顰める総一郎だったが、改めて見れば少ない。どうやらさらに数グループに分けてあるようだった。当たり前と言えば当たり前だ。
 ギルが呼ばれ、ホリス、ヒューゴが連続し、少しして総一郎の名前が呼ばれる。
 だが、何処か様子がおかしかった。
 ヘイ先生は総一郎の名を呼ぶ直前、息を呑んだように言葉を詰まらせた。すぐに呼び直されたが、そこには憎悪と言っていい感情が込められていた。僅かに教室が騒がしくなる。戸惑って先生の方に目を向ければ、彼は仄暗い視線でこちらを凝視していた。
「……な、何ですか?」
「――何ですかではないだろうが、この汚らわしい亜人との混血が!」
 怒鳴り声が、教室中を反響した。ざわめきが明確な混乱を持って倍加していく。総一郎は、自分に向けられた言葉が信じられなかった。
「何故、それを今言ったのですか? その事は卒業と共に発表する手はずだったはずですよね……?」
「わたしはそんな事を聞いていない! ……ソウイチロウ・ブシガイト、その計画を知るこの学園の教師の名を全て上げろ。そうすれば、ひとまずここでお前を討伐するのだけは止めてやる」
 『討伐』という単語に、総一郎は頭をガツンと殴りつけられたような感じがした。彼は、総一郎が人間でさえないと言いたいのか。
 周囲の鋭い視線に怯え、静かな恐慌状態で総一郎は何をすることも出来なかった。身じろぎさえ出来ない緊張が彼を強く縛り付けていた。
 トン、と音がした。ヘイ先生がロッドの端で教壇を叩いた音らしかった。彼は目をつぶっている。開くと同時に、こう言った。
「ワイルドウッドだな、お前をここに招き入れたのは」
「……!」
「覚えておけ、亜人。そして新騎士候補生たちもだ。聖神法の風属性は、音をも司り、相手の心の声さえ聞き取る。中級以上の騎士に、隠し事は通用しないという事だ。――今回は明白な不備があった為、この授業は自習とする! その亜人が暴れ出さないよう、見張っておくよう!」
 言うが早いか、彼は踵を返して教室から出て行ってしまった。残るのは新騎士候補生と、その冷たい視線にさらされる総一郎のみとなった。少年は、恐ろしくてギル達の顔を見ることも出来ない。ただ、先ほどまで肩が触れ合うほどだった距離がどうしようもなく遠ざかっているのを、震えるその身で実感する他ないのだった。

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