精霊使いと冠位の10人
神草埜々3
埜々が見回りの準備をするために支部内にある自分のデスクから仕事用の手帳を探していると後ろから声をかけられた。
「埜々っちお久ー!」
肩を叩かれ振りむむとそこには見知った顔があった。
「奏さん!?」
滅多に支部に姿を出さない黒金奏の姿がそこにはあった。
「珍しいですね。奏さんが支部にいるなんて」
「ちょっと、欲し.....じゃなかった。用事があってねー」
「はははは.....」
苦笑いしかできなかった。
何が欲しいかを聞くのは怖かったので尋ねなかった埜々であった。
「埜々っちはどうしたの?」
「なんかこれから大きな作戦があるそうで、私は留守番でこれから街の巡回です」
「ああ、そういえば今日だったねそれ」
「知っていたんですか?」
「私にも召集がかかっていたからねー。けどパスしたよー」
招集拒否などすれば普通は除隊ものなのだが、彼女はなぜか許されている。
奏はすごい人だという噂は各支部でも出ているのだがその実態はわからない。
「じゃ私は帰るよー。用事も済んだし。じゃあね埜々っち」
「あ、はい。お疲れ様でした」
そう言って奏はそそくさと帰っていった。
「じゃあ私もお仕事しようかな」
埜々は手帳を手にとってその場を後にした。
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