異世界転生~神に気に入られた彼はミリタリーで異世界に日の丸を掲げる~

鈴木颯手

第三話 人口四人、住居一軒の日本帝国

魔力の残量が15となった良太は早速魔力回復ポーションを使うことにした。青い液体飲むと体に何かが見ていく感覚に襲われる。確認すると魔力が40になっていた。どうやらきちんと回復できたようである。
「さて、腹も減ったし何か食料を出すか」
そう言うと良太は『食料一覧』から食料を選ぶ。食料は調理済みの物が高くなっているようだが今回は何故か魔力が1のカレーライスを三つ出した。部屋にカレーライスの香ばしい匂いが漂う。ソファーで遊んでいた輝夜はその匂いに誘くつられている。
「何じゃその美味しそうな物は?」
「カレーライスっていうん食べ物だ。ちょっと待っていてくれ。朝霞を呼んでくる」
良太がそう言って外に出るとドアの前で博美が立っていた。
「朝霞今いいか?」
「はい、問題ないでですが」
「いま、腹は減っているか?」
「そうですね…、小腹と空腹の中間くらいでしょうか」
その言葉に良太は頷く。カレーライスが無駄にならなくて済みそうだったからだ。
「なら、料理を用意した。圭吾は一旦注視して一緒に食事をとるぞ」
「いいのですか?私なんかと」
「問題ない。来い」
良太はそう言って博美を呼ぶリビングではカレーライスをみて涎を垂らす輝夜の姿があった。その様子に苦笑しつつ博美に席に着くように言って自分も座ると手を合わせていただきますという。それを見ていた輝夜と博美も真似ていただきますと言って食べ始める。
「うむ、少し辛いが美味じゃな」
「本当です。初めて食べましたがこれほど美味しいとは」
「お主はこれが初めての食事じゃろうに」
「そうですね稲荷様」
二人は楽しそうに食べるが良太は黙々と食べる。これは両親の影響で食事中に話はしてはいけないと言われているからだ。尤も、輝夜が話しかけてくれば頷くくらいはするが。
やがて食べ終えるとカレーライスの入っていた皿とスプーンは消滅した。どうやら料理についてくる皿は消えるようだ。この後博美は圭吾に戻り輝夜と良太は家の探索に入った。思った通り水は通っておらずトイレも使えなかった。
探索を終えるころには夜に夜になっており再び博美を呼んでカレーライスを食べると博美に寝てもいいが警護を任せ良太と輝夜はそれぞれ眠るはずであったがここでひと騒動が起きた。
「…」
「ダメか?」
「ダメ」
「なぜじゃ」
輝夜が一緒に寝たいと言って言うことを聞かないのだ。妹もそういう事をしてきたことはあったが中学に入学するころにはそういう事もなくなった。それでもブラコンではあるのだが。
だが、いつまでたっても折れない輝夜に良太はついに折れた。
「…分かった」
「やった!」
輝夜は喜びベッドの中へと入っていく。良太も呆れつつ輝夜同様入っていく。その日案の定輝夜に抱き着かれてなかなか寝付けない良太がいるのであった。

























朝起きて『食料一覧』から一つ魔力30のそばを出して三人で食べた。博美の話では特に異常はなかったようだ。
食べ終えた良太は魔力回復ポーションを飲んで二人目の臣民制作に取り掛かる。現状博美への負担が大きいからだ。作ったのは男性。がっしりした体格で年齢は30中間。良太よりも大きい彼は博美同様敬礼する。
「自分は郷田政成と言います!よろしく、お願いします!」
「こちらこそな。朝霞と一緒にここの警護を頼むぞ」
「はっ!」
政成は奇麗な敬礼をするのであった。良太は半日経つのを待って魔力回復ポーションを飲むと輝夜と博美、政成を連れて外に出た。三人に向かって良太は言う。
「三人には話していなかったが俺の目的はこの世界に日本を作ることだ。だが、その国で俺は一番にはならない」
「どうしてですか?建国者が国のトップになるのが普通だと思うですが」
博美がそのように聞いてくるがその疑問に良太は答える。
「それが普通の国ならな。だが、俺が作るのは日本だ。を中心とする日本を作りたいのだ」
「じゃがそれは不可能じゃぞ。いくら自分の子孫でも地位的に不可能じゃ」
「分かっている。だが、この世界に天皇陛下を伝えることが出来る。それだけでもやる価値はある」
「なるほど。分かりました。私は鹿島様に生み出された存在。何処までもついて行きます!」
「俺もついて行きます!」
博美と政成は賛成する。良太は輝夜に視線を向ける。
「輝夜はどうだ?」
そんな良太に輝夜は不敵に笑う。
「愚問じゃな。わしは言ったはずじゃぞ?お主と何処までも一緒に行くとな」
輝夜の言葉に良太は頷くとある物を召喚する。
「なら、今この時をもって宣言する!この場所に、今は人口四人、住居一軒だがここに日本帝国を建国する!」
そう言って良太は召喚した日の丸の国旗を勢いよく地面に突き刺して宣言した。その姿は太陽の光で輝きどこか神々しさすら見せていたのであった。





☆★☆★☆★☆★☆★大陸の北東に位置するそれなりに大きいこの島には二つの王国が存在していた。一つが南方を支配するパララルカ王国、もう一つが島の北西にある島を拠点とするシードラ王国。そのうちの一つ、シードラ王国では無法地帯と呼ばれるパララルカ王国とシードラ王国の支配地域外に罪人を追放する刑があった。これは一週間に一回、酷い時は毎日のように行われていた。これは圧政を敷く都市アインザックの領主に逆らうものが多いためである。
今日もその罪人がシードラ王国で東側に位置する都市アインザックから追放されようとしていたがその姿は小さな少女であった。少女はボロボロの衣服に少ない食料と水を持たされると都市を守る城壁の外へと追い出された。
少女は痛む体をこらえて都市から離れる。何時までもここにいると城壁の上から矢で撃って来るからだ。
少女は当てもなくふらふらと歩いていく。無法地帯に入る事は軍でもない限り出来ない。そのため今後少女は餓死と寒さに襲われることになるのだ。さらに言えばこの辺には狼が出没するため海岸沿いを歩いていく。ただひたすらに何かを求めて歩いていく。やがて人の骨が増えてくる。どうやら前の罪人たちはこの辺で力尽きたようだ。少女は少しづつ水を飲みながらただひたすらに歩き続けた。
夜になると狼に怯えながら見つからないことを祈って眠り明るくなればひたすら歩き続けた。しかし、四日もたてば少女も力尽き倒れてしまった。しかし、少女は薄れる意識の中人がこちらに来るのを見て安心したように意識を失うのであった。

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